うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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オーソモレキュラー療法
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ビタミンBと鉄の重要性〜エントリーセミナー@沖縄
6月9日〜10日と沖縄に行ってきました。
沖縄訪問はすでにお伝えした通り、新垣形成外科20周年記念パーティーへゲストとして参加し、オーソモレキュラーについて話をするのが一番の目的でしたが、せっかく沖縄へお邪魔することになったので、沖縄のドクターへなにかセミナーができないかということで、なんと土曜の18時30分〜20時30分というナイトタイムのスケジュールが企画されました。


準備期間も短かったにもかかわらず、大勢の医師・歯科医師、すでにオーソモレキュラーを実践されている医療機関のスタッフの方々にお集まりいただきました。


タイトルとして依頼されていたのはエントリーセミナーと言うことだったので資料作りでは、自分がオーソモレキュラーを取り入れ始めた頃に立ち返ってみることにしました。


今でこそ、多くの栄養素を病態改善のために用いており、その方法をセミナーなどでお伝えする立場になっているのですが、オーソモレキュラーに出会った20年前には半信半疑でおそるおそるクリニックを訪れる患者さんの病態改善に応用していたのです。


なんといっても、その始まりは「ヘム鉄」を用いた鉄代謝の改善でした。
従来の処方箋で対応できる鉄剤では消化器症状が生じたり、フェリチンだけが上昇し、臨床症状の改善が乏しいことを経験していたのですが、ヘム鉄を使うことによって実に多くの女性の愁訴の改善が得られたのです。


その後は、ビタミンB群を付け加えるようになりました。
実は、鉄を体内で利用するためにはビタミンBがとても必要なのです。
そのため鉄を補充しても期待したような改善が得られないときにビタミンB群を追加することで、また多くの患者さんの改善が可能になりました。


ビタミンBはTCA回路を回す上で、あらゆるビタミンB群を必要とします。
・ビタミンB1不足で糖質を
・ビタミンB2不足で脂質を
・ビタミンB6不足でアミノ酸を
それぞれアセチルCoAに変換できないのです。
つまりビタミンB群が不足することは、エネルギー代謝にも強く影響する問題なのです。


ストレスや、糖質摂取過剰、アルコールなどで消費された結果、体内で不足しているビタミンB群が補充され、タンパク質代謝が改善してくると、補充された鉄が効果的に利用されるようになるため、貯蔵鉄であるフェリチンの上昇はゆっくりになります。


ときに一度上昇したフェリチンがビタミンB群の補充などによって低下することすらあります。
フェリチンはあくまで貯蔵鉄を反映する数値なので、ヘモグロビンなど鉄を含むタンパク質への鉄が満たされ、鉄を含む酵素や組織への鉄の供給などが優先されるのです。


これはオーソモレキュラー栄養医学の基本として、よくお伝えすることなのですが、
「栄養素の不足はその栄養素を多く含む組織や臓器、またはその栄養素を多く消費する組織や臓器のトラブルの原因になる」ということ。
ビタミンB群や鉄の不足によって影響を受けるのは、ミトコンドリアの多い組織。
つまり、卵子・心筋・骨格筋・肝臓・脳になります。

血液検査から臓器のトラブルを判断するだけではなく、栄養の過不足や代謝のトラブルを見つけてそこを補正するのがオーソモレキュラーなのです。
その臓器の機能を十分に働かせるためには、そのための最適の物質の濃度が必要です。
その濃度には非常に個人差があり、通常の食事からだけでは得ることができません。


今回のエントリーセミナーでは、鉄とビタミンB群に絞って2時間話をすることにしたので、エントリーとはいえ、かなり突っ込んだ内容で資料を作ることができました。


その他にも鉄欠乏と精神疾患、成長期の心の発達の関連性について、また妊娠・産後の鉄欠乏などについては臨床も交えてお話ししましたが、脳の機能を正常に保つ上で鉄とビタミンBは非常に重要な栄養素であることをお伝えできたかと思います。


特にビタミンBに関しては、抗酸化物質・糖化抑制物質として今後抗酸化アプローチの中心的な役割の存在になっていくのではないでしょうか。


沖縄では数名の医師がオーソモレキュラーを実践してくれていますが、20周年を迎えた新垣形成外科の新垣実先生は、10年以上前から勉強会へ参加していただいています。

形成外科のクリニックですが、オーソモレキュラーではあらゆる病態の患者さんの治療に応用してくれています。


遠く沖縄でも、この考え方が受け入れられ日々の診療に応用されるようになって本当に良かった!!



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| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 10:32 | - | - |


オーソモレキュラーと母子栄養
6月2日(土)は第5回母子栄養懇話会学術集会にて管理栄養士さん向けに『オーソモレキュラーと母子栄養』についてお話しする機会を頂きました。
演者は自分が、座長は宗田マタニティクリニックの宗田先生が務めて下さいました。


妊娠成立にまず大切なのはタンパク代謝が出来ているかどうかの正確な判断で、通常の血液検査でも測定する項目ALT / AST、LDH、BUNはタンパク代謝を見る上で非常に重要なポイントです。


BUNは通常腎機能の評価と言われていますが、オーソモレキュラー的な概念から見ると、タンパク質がちゃんと摂れて代謝されているかの指標になります。


BUNが低いのはタンパク代謝が悪いことを示しますが、タンパク代謝においては妊娠成立や病態改善のためには必ず同化〉異化でなければならないのです。


また妊娠を希望される場合、微小の炎症や血栓を見逃さないことも重要なポイントになります。
特にピルなどホルモン剤を使っている女性はCRPの値が多少高くなる傾向があります。
オーソモレキュラーでは、CRPは0.05以下を至適範囲としており、いわゆる「基準値」の概念とは異なることもここでお伝えしました。


CRPと同じく血清銅が高値になるのも炎症を示唆しており、これは血栓ができやすい状態になっているということなのですが、オーソモレキュラーではこの血栓をどのくらい溶かしているかの指標としてDダイマーを小数点第2位まで細かく測ることで微小な血栓溶解を評価しています。


Dダイマーは高くても低くても問題なのですが、ホルモン剤を使用している女性はこの値が高く出る傾向にあります。
つまり血栓ができやすい状態であるため、血栓を作りにくくするEPA/DHAやできた血栓を溶かす作用をもつナットウキナーゼの併用が大切になってくるのです。


次に、鉄や亜鉛の重要性をお話ししました。
妊娠中の鉄欠乏は産後のうつ・不安・認知機能・ストレスと深い関係にあります。
そして産後のコレステロール低下は不安、怒り、うつの有病率と有意差があることも知られています。


赤ちゃんは生まれてから約1年間は深刻な鉄欠乏状態です。
生後2、3ヶ月で鉄・亜鉛不足になるのですが、鉄や亜鉛不足のお母さんから生まれた赤ちゃんは母乳から充分な鉄や亜鉛を得られないので、重度の不足状態となり、これはアトピーやおむつかぶれなど皮膚のトラブルにも繋がっていきます。
このように母体の栄養を満たすことは赤ちゃんの健やかな発育の上でも非常に大切なことなのです。


他にも妊娠に重要な栄養素としてビタミンDが挙げられます。
ビタミンDはその受容体が子宮内膜・子宮筋層・卵巣・子宮頸部・乳腺に存在しており、
ビタミンDの体内濃度が低い方は卵胞発育や妊娠率が低下しますし、ビタミンD濃度が高い女性は体外受精の妊娠率が高くなるというデータも存在します。


そして甲状腺は女性ホルモンとのクロストークがあるので、厳密にコントロールすることが大切です。
甲状腺ホルモンは卵巣において卵胞の成長と成熟を促しますが、甲状腺が低下すると、卵巣機能が落ちて卵胞の成長を阻害したり排卵障害の原因になってしまいます。
潜在性甲状腺機能低下症の場合は上記理由からも妊娠率は低下するため、不妊治療においても、不定愁訴の改善においても「甲状腺機能の正常化」は非常に重要なポイントになるのです。


今回は女性の妊娠と出産に絡めて母子栄養からオーソモレキュラーを知ってもらうべくお話しさせて頂きました。
お話を聞いてくださった管理栄養士の皆さんには、ぜひ明日からの栄養指導に今回得た知識を生かして頂けたらと思っています。






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| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 13:47 | - | - |


国際オーソモレキュラー医学会殿堂入りについて柳澤先生が素敵な記事を書いてくださいました。
「統合医療でがんに克つ」vol.120(株式会社クリピュア発行)の6月号に国際オーソモレキュラー医学会会長の柳澤厚生先生が、自分の医学会殿堂入り授賞の記事を書いてくださいました。

出版元に許可を得て、記事の方を公開させていただきます。宜しければご覧ください。

これからもオーソモレキュラーの普及に尽力し、患者さんをはじめ仲間の皆さんに色々な形で貢献できたらと思っています。


柳澤先生、素敵な記事を本当にありがとうございました。






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| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 13:39 | - | - |


NPO法人がんコントロール協会の森山 晃嗣先生と対談
今日は7月に発売予定の糖質制限ドクターズのムック本第2弾(ぴあムック)の取材で、NPO法人がんコントロール協会の森山 晃嗣先生と対談の機会を得ることが出来ました。
森山先生、大変勉強になりました。
ありがとうございました!


対談の内容は「がんと糖質制限」についてでしたが、とても良い対談ができたと思います。
皆さんも発売を楽しみにしていてくださいね!


森山先生率いるNPO法人がんコントロール協会主催で7月開催の第24回日本がんコンベンション(https://gancon.jp/main_application/)には自分も今年初参加させて頂きます。


がんとオーソモレキュラーについてお話しさせて頂く予定ですが、ご興味のある方は是非お申込み頂けたらと思います。


まずは今週土曜日の母子栄養懇話会。
そして日曜日はクリニック15周年記念パーティー。
イベントが目白押しです!



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| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 13:23 | - | - |


血液検査データから栄養状態を評価する〜オプティマルレンジのすすめ〜
第18回日本抗加齢医学会ではランチョンセミナーに続き、実地医科スキルアップセミナーでオプティマルレンジについてお話しさせて頂きました。





オーソモレキュラーは既にご存知の方も多いですが、molecule(分子)を整えて(ortho)栄養素を最適な量を用いることで病態を改善させる治療法です。


オーソモレキュラーが従来の医療とは大きく異なる点は『オプティマルドーズ(至適量の栄養素) /オプティマルレンジ(検査データの至適範囲)』という概念です。


これは通常医療で使われる『参考基準値』とは全く異なるもので、オーソモレキュラーではオプティマルレンジの概念から見て、病態改善のために最適な(至適な)量をある一定期間投与することを重要視しています。


その量は通常良しとされている量よりもかなり高用量となり、同じ病態でもかなり個人差があります。
つまりそれぞれの至適量をとることが大切であり、基本的には全ての病態改善の基礎となるのは食事の変更と生化学的な補正です。


オーソモレキュラーでは血液検査データの見方も通常医療における参考基準値との比較ではなく、その検査数値から細胞内の働き、細胞外の働き、その補酵素の状況まで見ての判断になります。


精神薬を複数服用中の52歳うつ病の女性は、クリニック来院時、全てが参考基準値内のデータでした。
それをオプティマルレンジの概念で見てみると、

・ALT/ASTのバランスからビタミンB6不足
・LDHから乳酸代謝の低下(ナイアシンの不足)
・BUNよりタンパク代謝の重篤な低下


がある事が分かります。


食事指導でタンパク質の摂取を増やし、ビタミンB群、ナイアシンの補充を行った結果、患者さんは大量の精神薬から離脱することが出来ました。


一般的にデータの判断として用いられている参考基準値は母集団の95パーセントが占める範囲を表したもので、正常値でなく、あくまで『参考値』です。
つまり母集団には潜在的な栄養障害を持つ方が多く含まれているため、基準値では栄養面での正しい評価をすることができないのです。


参考基準値のもう1つの問題点は
検査結果には『上昇させる因子』と『低下させる因子』があり、たまたまバランスが取れるポイントが検査値になってしまうという事です。
つまり上昇させる因子が低下させる因子より大きければ基準上限を超えますし、基準値内でも実は、上昇因子も低下因子も酷い状態でバランスが取れている可能性もあり得ると言うことなのです。


栄養療法で参考にしているオプティマルレンジは、通常は参考基準値内で狭い範囲になることが多いですが、生化学的な理論や病態改善にとって必要な濃度として設定するため、基準値外にオプティマルレンジが設定されることがあります。


本来は『上昇因子も低下因子も少なく代謝的に安定している状態』が最もバランスのとれた状態なのですが、血液検査データをこのオプティマルレンジで評価することで、詳細な代謝トラブルの評価が可能になります。


オーソモレキュラーでは従来の診断基準や症状ベースの診断と異なる生化学的診断による治療が可能になるので、ぜひ多くのドクターにオーソモレキュラーの概念を取り入れて頂き、日々の診察に役立てて頂けたらと思っています。




本日は学会最終日ですが、すでにオーソモレキュラーを取り入れているドクターから、この検査データの読み方を知ってから診療が楽しくなり、今までと違った治療ができるようになって嬉しい。そしてナイアシンを使って不登校のお子さんが登校できるようになった・・・など嬉しい報告をいただくことができました。

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| 学会報告 | 15:49 | - | - |


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