昨晩お会いした精神科教授は、統合失調症の治療についても現在の精神科学会のトレーニングを積んだ経験豊かな精神科医以外は扱ってはならないというお考えでした。(かなりしつこいですね...自分も)
今日、カウンセリングした40歳代男性の統合失調症の患者さんの経過についてお伝えし、現在の精神科治療の問題点について提言できればと思います。
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約5年前に、強い妄想と希死念慮が発症。
数回の入院治療を含め発症後は投薬治療を継続されていました。
初診時は、主治医からは陰性症状と言い渡されていましたが・・・・
・記憶力、集中力の低下
・感情の平坦化、無表情の顔、意欲の低下
・ときおり襲ってくる”死にたい”という感情
などに苦しんでいらっしゃいました。
新宿を初診されたのが、昨年2月ですので1年5ヶ月前になります。
その時の投薬は、
エビリファイ
セロクエル
ドグマチール
アキネトン
レンドルミン
サイレース
酸化マグネシウム・ウルソ
初診時の検査データでは、やせ形でないにも関わらず 総コレステロール値が低く、その他ではビタミンB群の重篤な不足がありました。
また血糖調節障害があり、いわゆる低血糖症の状態でした。
そして2回目3回目の検査結果から鉄の不足が存在することが分かってきました。
この患者さんにたいしての新宿での僕のサポートは、
食事指導と不足栄養素の補充と代謝の改善です。
決して精神科教授が言うような、統合失調症の治療を門外漢の素人がやったわけではありません。
その一つの理由は、この患者さんのお住いが九州なので新宿での投薬の調整が困難であったからです。
糖質制限の食事を実行し、検査データからその時その時に必要な栄養素を補給する治療を1年5ヶ月にわたり実行した結果は次の通り。
<投薬内容>
セロクエル 25mg 1錠 寝る前
アキネトン 1錠 寝る前のみ
・仕事にも毎日通い、最近では多少の残業もすることが出来る。
・意欲も保たれ、通勤のためにバイクを購入し乗っているが、春などはとても気持ちよいと感じながら通勤できた。
・たまに薬を飲み忘れて寝てしまうことがあるが、そのときには少し沈んだ気分がでることがある。
・副作用は全くない。
検査データの変化は次のようなものでした。
○ 総コレステロールの上昇 → これは総合的な栄養状態の改善を示します。
・コレステロールの低値は、うつ病やうつ症状との関係が多く指摘されている検査データの問題点です。
・コレステロールが低い統合失調症の患者さんは、自殺のリスクが高く衝動性が亢進します。
○ 一時的に上昇した尿素窒素の最低下
・この結果はおそらく仕事量の増大などによる、ビタミンB群の消費増によるものと考えられます。
・労働やストレスなどによって大量のビタミンB群を消費する体質なので、今後もビタミンB群の補充は状態がよいときでも継続することが望ましい。
カウンセリングの最後には、最低量のセロクエルは継続し無理に減薬や断薬を試みないこと、アキネトンは現在の投薬量であれば不要であることが予想できることなどを話し合いました。
1年5ヶ月の期間でスムーズに減薬され、しかも就労も問題無く出来るほど改善されました。
くりかえしますが、新宿で僕がサポートしたのは
「食事指導」と「栄養素補給」のアドバイスです。
その結果が統合失調症の投薬を劇的に減量することを可能とし、陰性症状と言われていた無感情の患者さんが、バイクで気持ちよいと感じながら、残業まで出来るようになっているのです。
そしてその背景には、代謝の改善がありコレステロールについては多くのエビデンスが存在するのです。
このような視点が、現在の精神科医師育成トレーニングにはきっと欠けているのでしょうね。。。。
夕べのことは、自分がかなりしつこい性格であることを再確認させてくれました。
このような内科的な視点を、一人でも多くの精神科医が持つようにならなくては、莫大な患者さんたちがただただ投薬を継続されることになってしまうのです。