2011.02.06 Sunday
脳脊髄液減少症の続き
JUGEMテーマ:健康
脳脊髄液減少症は、交通事故や不意な転倒などの外力が脊椎に加わったことがきっかけとなり、脳脊髄液が漏れだしてしまうことによって起こる様々な症状をまとめて表現した症候群です。
むち打ち症と言われ、長期間にわたり症状が継続している方の中には、脳脊髄液減少症が含まれていることが多くあるのですが、この病態についてが全ての医師にしられていのではないため、精神的なトラブルを含めた他の病気へ診断されてしまっていることが多くあります。
造影剤を用いた検査やMRIなどによって、脳脊髄液が漏れていることが疑われたり確認できたりしたときには、脳脊髄液の漏れをふさがなくてはなりません。
脳脊髄液減少症で特有な治療法に、患者さん自身の血液を硬膜外腔へ注入するブラッドパッチという治療法があります。
硬膜外腔は、脊髄を囲んでいる脳脊髄液がもれないように包んでいるくも膜を裏打ちしている硬膜の外側にある非常に狭い隙間のことです。狭い隙間に針先をとどめて、そこへ血液を入れるという手技です。
脳脊髄液が漏れているであろう穴をふさぐために血液を入れるので、新鮮な血液でなければ組織の損傷を修復することができません。そのため、針の先端を硬膜外腔にあることを確認して採血したばかりの血液を注入します。
このときの採血は、もし万が一細菌などが含まれてしまい、その感染した血液を硬膜外腔へ入れてしまうと大変危険なことになります。そして採血したての血液を注入しないと効果が得られにくくなってしまいます。
ブラッドパッチは、行なう医師としても緊張する手技の一つであります。
さて、そんな緊張する手技をもちいてブラッドパッチを行なっても、残念ながら脳脊髄液減少症の症状が改善しない患者さんが少なからずいらっしゃいます。
以前にもこのブログでお伝えしましたが、ブラッドパッチの効果が得られにくくなる原因の一つに栄養の問題が関係していると感じています。
通常では、傷ついている組織の断面には、血小板が集まりフィブリンを形成しとりあえずの傷の修復を行ないます。
その後は、コラーゲンの産生をはじめ多くの細胞の働きで元通りの組織へ修復していきます。
フィブリンを形成する前駆物質であるフィブリノゲンはとても半減期の短いタンパク質です。
栄養状態が少しでも悪くなると、半減期の短いタンパク質の機能が落ちてしまうことは、なんどもブログでお伝えしてきたことです。
『栄養状態がわるかったら、いくらブラッドパッチを行なっても無駄だ』
これは、北海道でブラッドパッチを行なっている脳外科医の話だそうです。
脳脊髄液減少症で苦しまれていた北海道の患者さんから伝え聞いた話しです。
ポイントを押さえた、簡潔な表現です。まさにそのとおりです。
そして最後に、なぜいまさら脳脊髄液減少症とカテゴリーの名称を変更したかというと。。。。。
つい先日、栄養アプローチのみで脳脊髄液減少症が治癒した患者さんが診察室で話してくれたのです。
自分は、検査で脳脊髄液の漏れが確認できた脳脊髄液減少症だった。
なにか良い治療法がないか、インターネットで検索していたけれどなかなか栄養療法にたどり着かなかった。
それは、先生のブログのキーワードが、脳脊髄液減少症という正式名称ではなく、低髄圧症候群となっているからだ・・・
この患者さんは、栄養アプローチだけでブラッドパッチを行なわずに能脊髄液の漏れがなくなり、当然症状もキレイに改善されていました。
ブラッドパッチは、病気の治療に薬を使う方法ではありません。
ところが入れる血液のパワーがないと傷がなおらないのです。
そして、栄養アプローチで血液のパワーアップが行なわれたら、ブラッドパッチが不要で改善したのでした。
じつは、このような患者さんがすでに数名いらっしゃいます。