うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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一年ぶりの来院
JUGEMテーマ:健康

金曜日の八重洲クリニックの診療で、懐かしい名前が記されているカルテ回ってきました。1年以上も受診されていなかった患者さんです。

20歳代の女性の患者さんで、以前は過食症の治療を目的に遠くから来院してくれました。
夜中にだらだらと食べてしまうことが多く、異常な量を食べることもしばしばでした。詳しく話を聞くと、麻薬中毒のように糖質を摂取することもしばしばでした。

低血糖症のメカニズムを検査データから説明し、少量のタン白質を摂取することと運動の重要性を話しました。
最初は、なかなかコントロールできなかった食欲も、少しずつ改善した来たのは日常生活にジョギングを取り入れることが出来るようになったときでした。
そしてこの患者さんは、昔から走ることが大好きだったこともあって、10kmの市民マラソンまでにも参加できるようになりました。
その頃には、過食も収まり、夜に襲ってくる食欲もなく、同時に襲ってくる不安や泣きたくなってしまう感情もなくとてもよい状態になりました。
それは、治療を始めて約1年が経過した頃でした。

そして先週の金曜日の久しぶりの来院でした。
クリニックを訪れてくれたのは、調子が悪くなってしまったために血液検査による全身状態のチェックと、もう一度しっかりと栄養療法を受けることを目的にきてくれました。
過食症の症状が出たため、血液検査を受けようと思われるなんて、それだけですばらしいことですね。心療内科や精神科に行って、血液検査もなくすべてメンタルが原因とされ投薬治療が始まることを避けることが出来ます。

調子が悪くなったために受診してくれたのですが、この1年の間に彼女は、走ることはがんばって継続していたそうです。
その結果として、3回のフルマラソンに出場しました。

ホノルルマラソン
東京シティマラソン
ゴールドコーストマラソン

これらのフルマラソンのすべてに完走しました。その証明の3つのメダルを僕に見せるために持ってきてくれました。それぞれとてもきつかったことでしょう。特に最後に出場したゴールドコーストマラソンの時には、様々な症状が生じており不安定な状況での出場だったそうです。
過食傾向が出てきたときも、糖質での過食をしてしまっては取り返しがつかなくなることが予想できたので、大根を丸々かじり続けるなどの努力をして悪循環を作らないように踏ん張っていたそうです。

血液検査の結果は、次回の受診時にお話することになりますが、おととしの初診時のデータよりはよいと思います。栄養療法のスタートは、以前よりも進んだところから始まるでしょう。

最後に、結婚が決まったこともうれしそうに報告してくれました。お相手は、4年以上お付き合いをしている方だそうですので、彼女の一番つらい時期も知っているそうです。
今回の結果からポイントとなる栄養障害を指導し、また一度食事を含めた総合的なアプローチをすることで、良好な状態になり結婚生活を向かえることができると思いました。
| 強迫性障害 | 23:22 | comments(14) | trackbacks(0) |


強迫症状の改善
JUGEMテーマ:健康


通常の精神科的な治療でコントロールが困難と言われている症状に、強迫症状というものがあります。

それは不潔であるという考えや、戸締まりしたか?などが自分の意志とは無関係にくりかえし生じ、それを止めるために手を洗ったり、繰り返しの行動をしたり・・日常生活に大きな支障を伴うようになります。多くの場合は、外出が困難になってしまったり、不安を払拭するために家族にも同様の行為をするように強要することもあります。

本日、血液検査結果を解析した患者さまは、とても重度の強迫性障害のため、来院時には多数の薬剤を服用し、それでも消失しない症状に疲れきっていました。
初診は、2006年7月ですので、1年半この治療を継続してくれています。

血液検査結果は、肝臓や腎臓などの臓器の機能を評価する従来の方法だけではなく、分子栄養学的に見ると、交感神経の緊張度合いなどを読み取ることができます。
強迫症状が強いときには、緊張していることが多いため、交感神経の緊張所見が血液で出てくるのです。

以前は、一人で外出ができないので親や兄妹が必ず一緒に来院し診察室へも同席していました。どうしても払拭できない不潔観念が頭を占め、険しい表情と鋭い目つきであったことを覚えています。
治療初期は、徹底した食事の変更とサプリメントによる栄養アプローチを中心に行いました。明らかな身体の疲労感の改善などは、この患者さまへ明るい何かをもたらしたのではないかと思います。
1年ほどは皮膚症状が改善したり、体調が改善したりしていました。しかし強迫症状は軽度の改善を自覚するものの、根本的な解決には至っていませんでした。

そこで、八重洲のクリニックでの診療をカウンセリングと併用することに変更し、栄養アプローチと精神アプローチの2本立てにしたのです。

そして今回の血液検査になりました。

結果は大変すばらしいものでした。
初診時に見られた交感神経の緊張所見は、どの項目も改善傾向を示しています。
自覚症状でも、強迫症状の著しい改善が示されていました。
患者さん一人で受診することができるようになっており、日常でも外出を楽しむことができるようになっていることが書かれています。

栄養の吸収は、主に胃や小腸の機能に依存します。
この消化吸収は、自律神経に支配されており交感神経の緊張時には、吸収が阻害されてしまいます。
しかし極度の緊張状態のときには、カウンセリングなどの精神アプローチが入り込む余裕がありません。

この患者さんは、根気良く栄養アプローチを継続いただき、ちょっとだけできた隙間に精神アプローチが入り込み、全体の調子を整えてくれたという印象を持ちます。
”心と身体はつながっている”
そのことを良く示してくれている経過だと思いました。
| 強迫性障害 | 23:15 | comments(2) | trackbacks(0) |


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