JUGEMテーマ:健康
令和3年5月14日、寄生虫博士として知られる東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生がお亡くなりになられました。
藤田先生は、免疫にかんする著書も多数あり特に腸と脳の関係について多くのことを学んでいました。藤田先生の著書を読んでいた時に、自分の著書から引用されていることを知りつてをたどって連絡を取り始めたのが7〜8年ほど前でした。メールの返信にて、藤田先生も以前から溝口の活動に注目してくれていたとのことでした。そして2019年4月、自分が講師を務めるセミナーへ講師としてご登壇いただくことになりました。
「腸もれ」があなたを壊す腸内細菌があなたを救うというタイトルのもので、事前に参加者はほとんどが医師であることを伝えていたので、免疫の分野ではかなり細かい内容についてもお話しいただきました。
特に印象的だったのは、生後自分の腸内フローラを形成するのは、生後1年半の期間に腸内に侵入してきた菌のうち、自己のIgA抗体と結合してものだけがフローラを形成できるというものでした。さらに経腟分娩と帝王切開、母乳栄養と人工栄養の違いがあっても、生後一ヶ月後には腸内細菌には違いがなくなるものの、生後3ヶ月後から1年の期間で腸内細菌には大きな個人差が生じるとのことでした。結局は生後の栄養摂取とIgA抗体の調節によって腸内細菌には個人差が生じ、指紋のように個々でことなるものになるとのことでした。
そしてとても興味深かったのは、大切なのは善玉菌を増やすことでも悪玉菌をへらすことでもなく、日和見菌を多くすることだということでした。
その他、嚙まなくてもおいしいと感じる食材は避けなさいとか、お腹を温める重要性なども印象に残ったお話でした。
藤田先生が寄生虫や腸内細菌、さらに免疫に注目するきっかけになったのは、研究のために訪れた発展途上国では、排せつ行為も衣服の選択も食器洗いも、沐浴も、さらには子供たちの水遊びもすべて同じ川で行われているにも関わらず、花粉症やアトピーの子供はいないし、大人の肌もきれいで肥満の人は誰もいないということに気づいたことだったそうです。
コロナ対策として徹底的に衛生を重視している今とは真逆の環境がアレルギーを防ぎ免疫を高める生活習慣だとしたら、これからは別の問題が出てくるかもしれませんね。
お話はユーモアに富み、とても気さくに対応していただきました。
多くのことを教えてくれた藤田紘一郎先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。