うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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妊婦さんと鉄
JUGEMテーマ:健康


昨日は、医師・歯科医師向けのセミナーで講師をしました。
内容は、血液駅検査データの読み方のアドバンス編というもので、特に貧血をどのように評価するかがメインテーマでした。
鉄の代謝を正しく理解することが、ある意味人の身体の状態を正しく知ることにつながります。
鉄は植物、細菌、もちろん人間も含めて地球上のほとんど生物にとって必要不可欠な分子です。ところが地球上の鉄は3価のイオンの形であり、生物が利用するのはとても困難な形になっています。様々な場面で生物は鉄の取り合いをしています。
人は、常に鉄欠乏の危険にさらされているので、一度吸収した鉄を大切に利用し身体の外へ意図的に排泄することはありません。それでも毎月月経を繰り返すことによって、女性はさらに鉄代謝の面では厳しい環境にさらされています。

ここ数年、新宿のクリニックでは、他の施設で不妊症の治療をしている患者さんが、栄養状態の改善を目的に受診されることが多くなりました。通常の不妊治療に栄養療法を加えることによって、妊娠することができた患者さんの数が増えてくることによって、やはり妊娠が成立するためには良好な栄養状態が必要なんだろう・・・と感じています。

その栄養状態のなかでも、鉄代謝の改善は妊娠成立には良い影響を与えます。
妊娠中は、月経がなくなるにもかかわらず多くの妊婦さんが妊娠中には貧血になり鉄剤の補充が必要になってしまいます。妊娠によって消費される貯蔵鉄は500mgと言われています。血清フェリチンの値とすると、理論上60〜70に相当します。つまり妊娠は、その期間は月経による出血がないにも関わらず、普通では利用しない貯蔵鉄を大量に消費することなのです。
ところが9月8日のシンポジウムで講演された大宮レディースクリニックの出居先生のデータでは、不妊症で治療する患者さんの86%の方がフェリチン50未満であることを示しています。妊娠によって減少するフェリチンが60〜70であることを考えると、不妊症の患者さんのフェリチンが50未満であることが問題であることを理解していただけると思います。

さらに母体が鉄欠乏である場合には、低体重出産が増えることなどは古くから報告されています。
また妊娠中の鉄欠乏が産後のうつ、不安、認知機能の低下などと深い関係があることが報告されています。
そのほかにも、子どもが鉄欠乏の場合には、精神神経系の発達に支障が生じることなども古くから知られています。

妊婦さんにとって鉄がいかに重要であるか、セミナーでなんどもなんども強調して話しました。
休み時間にある先生が面白い話をしてくれました。ギリシャ神話では、これまでの歴史で金の時代、銀の時代、銅の時代が終わり、現在はなんと鉄の時代として伝えているとのことでした。
人の栄養摂取が、狩猟採取から農耕中心に変化したことによって鉄欠乏は人類共通の栄養の問題と海外の教科書には書かれています。

そしてもっとも大きな問題は、現在の日本の参考基準値を用いると鉄欠乏が正しく評価されないということであると思います。

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