うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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オーソモレキュラーと母子栄養
6月2日(土)は第5回母子栄養懇話会学術集会にて管理栄養士さん向けに『オーソモレキュラーと母子栄養』についてお話しする機会を頂きました。
演者は自分が、座長は宗田マタニティクリニックの宗田先生が務めて下さいました。


妊娠成立にまず大切なのはタンパク代謝が出来ているかどうかの正確な判断で、通常の血液検査でも測定する項目ALT / AST、LDH、BUNはタンパク代謝を見る上で非常に重要なポイントです。


BUNは通常腎機能の評価と言われていますが、オーソモレキュラー的な概念から見ると、タンパク質がちゃんと摂れて代謝されているかの指標になります。


BUNが低いのはタンパク代謝が悪いことを示しますが、タンパク代謝においては妊娠成立や病態改善のためには必ず同化〉異化でなければならないのです。


また妊娠を希望される場合、微小の炎症や血栓を見逃さないことも重要なポイントになります。
特にピルなどホルモン剤を使っている女性はCRPの値が多少高くなる傾向があります。
オーソモレキュラーでは、CRPは0.05以下を至適範囲としており、いわゆる「基準値」の概念とは異なることもここでお伝えしました。


CRPと同じく血清銅が高値になるのも炎症を示唆しており、これは血栓ができやすい状態になっているということなのですが、オーソモレキュラーではこの血栓をどのくらい溶かしているかの指標としてDダイマーを小数点第2位まで細かく測ることで微小な血栓溶解を評価しています。


Dダイマーは高くても低くても問題なのですが、ホルモン剤を使用している女性はこの値が高く出る傾向にあります。
つまり血栓ができやすい状態であるため、血栓を作りにくくするEPA/DHAやできた血栓を溶かす作用をもつナットウキナーゼの併用が大切になってくるのです。


次に、鉄や亜鉛の重要性をお話ししました。
妊娠中の鉄欠乏は産後のうつ・不安・認知機能・ストレスと深い関係にあります。
そして産後のコレステロール低下は不安、怒り、うつの有病率と有意差があることも知られています。


赤ちゃんは生まれてから約1年間は深刻な鉄欠乏状態です。
生後2、3ヶ月で鉄・亜鉛不足になるのですが、鉄や亜鉛不足のお母さんから生まれた赤ちゃんは母乳から充分な鉄や亜鉛を得られないので、重度の不足状態となり、これはアトピーやおむつかぶれなど皮膚のトラブルにも繋がっていきます。
このように母体の栄養を満たすことは赤ちゃんの健やかな発育の上でも非常に大切なことなのです。


他にも妊娠に重要な栄養素としてビタミンDが挙げられます。
ビタミンDはその受容体が子宮内膜・子宮筋層・卵巣・子宮頸部・乳腺に存在しており、
ビタミンDの体内濃度が低い方は卵胞発育や妊娠率が低下しますし、ビタミンD濃度が高い女性は体外受精の妊娠率が高くなるというデータも存在します。


そして甲状腺は女性ホルモンとのクロストークがあるので、厳密にコントロールすることが大切です。
甲状腺ホルモンは卵巣において卵胞の成長と成熟を促しますが、甲状腺が低下すると、卵巣機能が落ちて卵胞の成長を阻害したり排卵障害の原因になってしまいます。
潜在性甲状腺機能低下症の場合は上記理由からも妊娠率は低下するため、不妊治療においても、不定愁訴の改善においても「甲状腺機能の正常化」は非常に重要なポイントになるのです。


今回は女性の妊娠と出産に絡めて母子栄養からオーソモレキュラーを知ってもらうべくお話しさせて頂きました。
お話を聞いてくださった管理栄養士の皆さんには、ぜひ明日からの栄養指導に今回得た知識を生かして頂けたらと思っています。






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| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 13:47 | - | - |