2008.01.18 Friday
アトピー性皮膚炎の改善と検査データの変化
JUGEMテーマ:健康
今日は久しぶりにアトピー性皮膚炎の患者さんの治療経過についてお伝えします。
日本皮膚科学会は、アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインの中心を、今でもステロイド軟こうの使用にしています。
症状が烈しいときに、その『火消し』的な使い方でステロイド軟こうを使用しなくてはならないことはありますが、その病態のメカニズムを勉強するとステロイド軟こうを塗り続けることによってアトピー性皮膚炎を根本的に改善させることは、困難であろうと言うことが想像できます。
ステロイドを使って治ったという方は、ステロイドを使って火消しをしている期間にこれからお伝えするような身体の改善が得られたということではないでしょうか?
さて今日ご紹介する患者さんは、10代前半の学生さんです。
生後2ヶ月からアトピー性皮膚炎と診断されています。
これまでのブログでも紹介したとおもいますが、生後2〜3ヶ月は赤ちゃんの体内で最も亜鉛の貯蔵量が減少するときです。
そのために亜鉛欠乏性の皮膚疾患がとても出やすい状態になります。その皮膚症状があたかもアトピー性皮膚炎と良く似ているのです。
生後2ヶ月でアトピー性皮膚炎と診断されてから、ステロイド軟こうやワセリンによる保湿を続けていらっしゃいました。
受診されたときにも、布団のシーツは血だらけになるような症状でしたが、幸いなことにあまり強いステロイド軟こうを使用していませんでした。
通常の皮膚科の先生は、アトピー性皮膚炎の患者さまへ血液検査をすることはめったに無いでしょう。検査したとしてもあまり役に立たないアレルゲンの検査をするていどではないでしょうか?(この検査はとても高額なのです)
この患者さんの検査結果でアトピーの活動性や治療に重要な項目について下記に抜粋します。検査は初診時、10ヵ月後、1年半後の3回分のデータです。
1年半後 10ヵ月後 初診時
IgE IU/ml 880 1600 2400
LDH IU/l 190 230 263
フェリチン ng/ml 24.7 22.9 19.0
一般的にアトピーの活動性を示すと言われているのがIgE抗体です。
栄養療法によって順調に低下しています。
また新宿のクリニックでは、LDHという項目も活動性を良く示すものとして評価していますが、この値も順調に低下しています。
フェリチンは、これまでも何回かせつめいしましたが、体内の貯蔵鉄の量を示すものです。まだまだ不足していますが、初診時と比較して上昇傾向にあります。
皮膚の症状は、確実な改善傾向を示しています。
自分で皮膚をつまんでもやわらかくなり、しっとりとしてきているそうです。
また嬉しいおまけとして、集中力がとても付いてきて勉強もはかどり成績もうなぎのぼりということでした。
アトピー性皮膚炎はアトピー体質という言葉があるにも関わらず、内科的にその体質を検査し対処することは行われていません。
いつまでこの国では、ステロイド軟こう中心の治療が皮膚科で行われるのでしょう??
諸外国の対応へも目を向けてもらいたいものです。