2008.08.06 Wednesday
サプリメントの成分表示
JUGEMテーマ:健康
サプリメントは、食品衛生法などの食品を扱う法律によって内容量などの表示について規制されています。
今回は、そのためにかえって内容が良くわかなくなっていることや、誤解を招くことになっていることをお伝えしようと思います。
クリニックで使用している鉄剤は、名称を『ヘム鉄』と言います。このブログでもお伝えしたように、動物性食品に含まれる鉄にはヘム鉄が多く、植物性の食品には非ヘム鉄が多く含まれます。
ヘム鉄と非ヘム鉄では、吸収方法が異なるため、私たちの身体(腸の粘膜)は、全く別の栄養素と判断しているようです。
ところが食品表示を制限する法律では、鉄をヘム鉄と非ヘム鉄を区別することは定めていません。そのため、鉄を含むサプリメントでは、鉄として何mg含まれていると言う表示になります。腸管は別の栄養素と区別しているにもかかわらずです。
このようなことを前提に、サプリメントの表示を見てみましょう。
クリニックで使用している『ヘム鉄』をタイプA、一般に市販されている低価格を売りものにしている『ヘム鉄』をタイプBとしましょう。
1カプセルに含まれる表示されている鉄の量
・Aタイプ → 8mg
・Bタイプ → 6mg
この量がサプリメントで表示義務がある栄養素の量になります。
しかし実際には、鉄の全体に占めるヘム鉄の量に大きな差があります。
1カプセルに含まれるヘム鉄としての鉄の量
・Aタイプ → 5mg
・Bタイプ → 0.16mg
1カプセルあたりの値段
・Aタイプ → 90円
・Bタイプ → 10円
Aタイプは、1カプセルあたりの値段は、9倍になります。しかし鉄を中心としたサプリメントで原材料が最も高額なものはヘム鉄になります。
Aタイプは、Bタイプの約30倍のヘム鉄を1カプセルに含有させています。
ところがサプリメントの名称が同じ『ヘム鉄』と書かれていて、そしてラベルの表示に
”鉄 ○mg”
と書かれていたら、その鉄が全てヘム鉄由来の鉄と一般の方々は判断されてしまうのではないでしょうか?
Bタイプの大部分を占めるヘム鉄以外の鉄の材料として何を使っているのかまでは知りませんが、Aタイプの残りの3mgの鉄も、普通の非ヘム鉄ではなく、吸収効率を考えた鉄を含む原材料が使われているのです。
今回ご紹介したように、ラベルに表示されないところで様々な工夫がなされています。また逆に見るとラベルの表示を同じようにしていくらでもコストを低く抑えることは可能なのです。
鉄剤は、女性によく選択されます。
貧血を指摘されたことがある女性には、医者から出された鉄剤は胃腸障害の副作用が強くて飲めなかったとおっしゃることが多くいらっしゃいます。
そんな女性も、ヘム鉄であれば安心して服用することができます。
このように本来であれば、保険適応とされるべきものですが、現在の制度から考えると保険の薬になることは無いのです。