うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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治療の効果
お薬による治療でも、食事やサプリメントによる治療でも、治療の効果を判定することはとても大切なことです。

風邪のときに処方されたお薬の効果は、風邪が治ったという自覚症状の改善で判断すればよいでしょう。

癌に対する治療の効果は、5年生存率という基準が良く用いられます。

痛みの専門科であるペインクリニックでは、治療の効果はほとんど全てが患者さまが『良くなった』といわない限り治療の効果はありません。それがペインクリニックの大変なところであり、医師としてやりがいがあるところでもあるのですが、いまひとつ科学的な実証を積み重ねるということでは、他の治療とことなり困難なことです。

栄養療法では、『○○を飲んだら、××の症状が良くなりました、ありがとうございます!!』と言うのが、改善した証拠とされていました。
この良くなった体験談は、とても貴重な証拠なのですが、この証拠に科学的な根拠が伴わないために、医学の分野ではなかなか受け入れてもらえない理由のひとつでした。

治療効果をどのように科学的に確かめ、次の治療へ役立てるか・・・。それは栄養療法がしっかりとした治療法であるかどうかを医療従事者へ知らせるためにせるために大切なことです。

体内のビタミンやミネラルの状態を知るために、毛髪をつかうことがあります。同様に爪を使うこともあります。。
私たちは、血液を使って体内の状態を細かく予想します。
毛髪、爪、血液など、それぞれに特徴があり、一長一短と言えるかもしれません。

しかし、これまで脳の機能と栄養で書いてきたように、人間のからだでは、瞬間瞬間で、いろいろな物質を作り代謝すると言う作業を繰り返しています。
そして統合失調症やパニック障害などの症状を来す、神経伝達物資
は、その全てが血液に含まれる栄養素から生合成されるます。これらの物質を作るための原材料は、全て血液を介して供給されているのです。

クリニックで治療していても、なかなか自覚症状の改善が得られない方がいらっしゃいます。そのような方でも、定期的な血液検査によって徐々に改善傾向を確認することで、継続した治療によって改善ができるかどうかのおおよその予想はできます。

しかしもちろん、自覚症状も血液検査データもなかなか改善しないこともあります。
私たちはそのような患者さまからこそ多くのことを学ばなくてはならないと考えています。
| ひとりごと | 23:51 | comments(1) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養5
これまで数回にわたり、感情や行動を左右するのはシナプスに分泌される神経伝達物質(栄養素から作られる)であることを書きました。

それでは、どのようにして物質が心や行動を左右するのか、複雑なメカニズムをできるだけ簡単に説明したいと思います。

これまで説明してきたように情報が神経繊維を伝わるときには電気信号になっています。電線に電気が流れてビリッとするのとは異なり、神経細胞の膜をはさんだイオンのやり取りによって生じる電位差が、次々と海の波のように伝わりながら進んでいきます。
この電位差を生むために必要な栄養素がナトリウムなのです。ナトリウムを栄養素と呼ぶかどうか議論があると思いますが、いわゆる塩ですね。

ですので、トリプトファンだとかGABAだとかを小難しく議論する前に、しっかりと塩分を摂取しているかどうかが、基本的な脳の機能を発揮させるために重要になるのです。
血液中のナトリウム濃度の異常は、意識混濁など精神状態というか脳の機能障害に直結するのです。熱射病などで意識がもうろうとしてくるのもこのような状態に近いものです。

そしてシナプスに分泌される神経伝達物質に興奮が伝わります。ここで十分に注意しなくてはならないことは、我々が食事やサプリメントから摂取した栄養素が、すぐに脳内で機能するのではないということです。
つまり、情動や行動を瞬時に左右させる物質ですので、いつでも作れれるようにしなくてはならないのです。
今日は、食事が摂れなかったから、車が走って来てもなんとも思わず、よけることもしなかった・・・・ということにはならないのです。
| 統合失調症 | 17:55 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養 4
昨日は、人の感情や行動が、脳内の神経伝達物質(栄養素)によって調節されていることを書きました。

同じような場面に遭遇しても、びっくり仰天される人も、平気な顔でいられる人も居るのです。そのような性格の個人差というものも、分泌される神経伝達物質の違いによって説明が可能になっているのです。

と言うことは、性格まで物質(栄養素)で規定されていると言う事ができるかもしれません。性格は変えられるのでしょうか?個人差を埋めることができるのでしょうか?

統合失調症パニック障害などの神経疾患と診断されてしまっている方の多くに突発的な破壊衝動を自覚される方が多くいらっしゃいます。
その衝動は時に過激な行動を伴うことがあり、物を見境なく壊してしまったり、あるいは自らを破壊するような傷をつける行動をとることがあります。

薬で治療されている場合には、全体的な感覚を鈍麻させられるような作用で、すべての感情が抑えられるためにその結果として破壊衝動やそれに伴う行動が改善したかのように判断されることがあります。しかし詳しく問診すると、破壊衝動の本質の部分に変化がないことをよく経験します。

栄養アプローチでは、これらの破壊衝動や行動の変化に特徴があります。物を壊すときにも、見境なくではなく壊れにくい物を壊すように変化したり、自らを傷つけるときにも衝動的ではなく、冷静な判断を伴いながら自傷行為をするようになります。そのときには、周りの人には変化がわからないのですが、本人には明らかにこれまでと異なる変化が自覚されているのです。

衝動的な行動を頻繁に起こす患者様の場合には、ご家族の苦労は想像を絶するものがあります。時にはいつか自分は傷つけられるであろうと思いながら生活をされていることも多くあります。
患者様とご家族に、心から平安な時間が持てるように、粘り強くサポートを行っていくのがこの治療になるのです。

そして感動的と言える質の改善を得られるのも、一般的な投薬による治療ではなく、この治療法だからと言うことができます。私達スタッフは、その光栄な機会に立ち会うことができることに、価値と仕事への報いを見出しているのです。

先日もお伝えしましたが、9/18・19の連休は全国から30名以上のドクターが分子栄養学を勉強しに集まりました。その何人かは、すでに栄養アプローチを日常の診療に取り入れており、多くの成果を出しています。5歳の自閉症の患者様へこの方法と取り入れ、先生や親も驚くような改善を経験されたドクターや、血液検査データの読み方を取り入れることにより、これまでただただ症状を抑える投薬しか方法がなかった疾患に対して、根本的な治療ができるようになった喜びをお話いただく、70歳を超えた大先輩のドクターまでいらっしゃいました。
確実に正しい知識を、医師達も欲しているのです。決してこれまでの方法論が間違っているのではなく、異なったアプローチも可能であるということを多くの医師に伝えなくてはならないと思っています。

今日も横道にそれてしまいました。
また日をあらためて、栄養と脳の機能についてお伝えしたいと思います。

このブログからいただいたご質問に関しては、個人的なご質問にはお答えできないこともあることをご了承ください。
またご質問の内容によっては、このブログ上で取りあえげてお答えしたいと思っております。その点をあらかじめご了承いただきご質問いただければと思います。

今後ともよろしくお願いします。
| 統合失調症 | 17:47 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養3
統合失調症うつ病パニック障害などの精神神経疾患の分野では、脳内の神経伝達物質についていろいろとわれています。そのために脳の機能と栄養について、これまで2回にわたり説明してきました。
それは、とかくセロトニンだとかノルアドレナリンだとかの神経伝達物質ばかりが注目されていますが、実際の神経細胞の中を信号が伝わるときには、電気信号として伝達されることや、その電気信号として効率よく情報が伝わるためには、神経線維を取り囲むカバーが必要であり、そのカバーにはコレステロールが十分になくてはならないことを説明しました。そのコレステロールからちょっとわき道へそれていたのです。

さて、今回は電気信号として伝わった情報が神経伝達物質へ変化し、その物質(栄養素からなる)が次の神経細胞へ情報を伝える場所である、シナプスというものの全体的な機能について説明したいと思います。

私達が、感動したり、怒ったり、悲しんだり、びっくりしたり・・・いろいろな感覚を感じます。またそれらの感情にたいして、泣いたり、笑ったり、ドキドキしたり、汗が出たり、走って逃げたり・・・いろいろな行動をとります。

これらの感情や行動は、基本的には脳内の神経細胞を電気信号で伝わってきた情報が、シナプスの中に出てくる神経伝達物質の種類に依存すると考えてよいでしょう。かなり文学的な表現になりますが、しょっちゅう怒ってばかりいる人は、興奮系の神経伝達物質がシナプス内に放出され、いつものほほんとしている人は、癒し系の神経伝達物質がシナプス内に放出されやすいと理解してよいかもしれません。

しかし人間ですので、危険な状況の時にはそれなりの神経伝達物質がシナプス内に放出されないと、危険な状況でも幸福感を味わうようなことになりかねないのです。極限の状況では、そのようなことが起こることもあるのですが・・・。

そして、また大切なことがあります。それは、神経伝達物質は臨機応変に瞬時に放出する種類や量を調節しなくてはならないことです。
つまり、刻一刻と変化する環境に、いつまでも前に放出された神経伝達物質の影響があると対応ができなくなるのです。
これは、神経伝達物質の産生と消去が瞬時に行われなくてはならないということです。

さらに人間の多くの感情や行動をつかさどる脳の、必要な場所に必要な量だけ、上述のように瞬時に産生と消去が行われなくてはならないのです。
的外れの場所で、神経伝達物質が作られても効果がないだけでなく、多くの不利益をこうむることになるのです。

これらの神経伝達物質の適材適所で、必要量が、必要なときに産生され、瞬時に消去される、という機能の破綻によって、統合失調症うつ病パニック障害などの神経疾患から、強迫神経症などの病態も説明されるようになってきたのです。

SSRIなどの薬剤は、一見このような神経伝達物質のアンバランスを補正するような薬理作用があるのですが、よく考えるととても生理的な作用ではなく、長期間の服用により多くの副作用が生じることがよく理解できます。
| 統合失調症 | 23:12 | comments(0) | trackbacks(0) |


コレステロールと精神症状
コレステロールについてもう少しお話します。

とにかくコレステロールに対する誤解は、根深く健康診断の説明でも220を超える場合には、患者さんの方からこの世の終わりのように落ち込まれることがあるので困ります。

本日診察した患者さまのデータでも、スタチン系という日本生まれのコレステロールを下げるお薬をお飲みになり、コレステロールは200以下に下がり抑うつ傾向、筋肉のこわばりなどを訴えられているの経験しました。現在では、投薬が不要であるので、服用中のお薬をどんどんやめてみて、影響を確認したいののですが、他のドクターから処方されているので大胆にはできません。このあたりが精神疾患に対するお薬のように慎重な減薬が不要なのでとてもやりやすいのですが・・・。

このような日常診療の場での経験ではなく、しっかりとした研究でも低コレステロールと精神症状に関しては多くの報告があります。

たとえば、有名な雑誌であるランセットには、血中コレステロールの低下が脳内のセロトニンの低下を招き、攻撃性を抑制する機能が低下することが書かれています。また最近では、学校でトラブルを起こし退学する生徒には、低コレステロールの子供が多いことがアメリカの統計で指摘されています。

その他にも、鶏卵とコレステロールの関係や、コレステロールと有病率や死亡率などの関係など、お伝えしたいことが多くありますが、本題から外れてしまうのでまた別の機会にと言うことで。

コレステロールは我々のホルモンの機能・・身体機能や、神経活動を正常化する・・精神機能を、良好な状態に保つためにはとても重要な栄養素であることを是非ご理解ください。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:22 | comments(3) | trackbacks(0) |


コレステロールについて
先日のブログで、うつ病や統合失調症とコレステロール値の関係について書きました。
うつ病とコレステロールに密接な関係があることは、多くの報告で知られていますが、統合失調症にも密接な関係があることが、当クリニックを受診される多くの統合失調症と診断された多くの患者さまの血液検査データからも明らかです。
ちょっと時間的な余裕ができたら、膨大な検査データの統計処理をして皆様にもお伝えしようと思います。
また、僕の2冊目の著書でも書きましたが、多くの精神症状が総合的な栄養アプローチによるコレステロールの上昇とともに改善し消失することがあります。血液検査データの読み方は、医師でも困難な部分がありますが、コレステロールが150以下のような場合には、総合的な栄養アプローチによってコレステロールが上昇することを目標にされると良いでしょう。

ここで、多くの方がコレステロールは高いと悪く、低いと良好のような感じをもたれていると思います。この誤った常識については、書ききれないほどの反論があるのですが、ここでは本筋から離れるので控えましょう。
多少の参考までにご紹介するのは、日本脂質栄養学会のような専門学会では、動脈硬化の原因としてコレステロールは否定されています。大阪守口市の膨大な健康診断の結果からも、コレステロールが高いほど死亡率が低い事実などが報告されています。

このようにコレステロールの迷信と異なる事実の数々とは別にして、我々の身体にとってコレステロールが重要であることは、紛れもない事実なのです。
私たち人間の身体が機能するためには、多くの酵素やホルモンが必要であることは皆さんもご存知だと思います。
それらの酵素やホルモンの多くは、たん白質を原材料に身体の中で作られます。(酵素やホルモンを呑んでもダメなのはこのためです)しかし、男性らしさや女性らしさと言った、種の保存にとても必要なあり方を規定する性ホルモンと、病気やストレスなどのときに大量に合成され分泌される副腎皮質ホルモンのひとつであるステロイドホルモンは、たん白質が原材料ではなく、コレステロールが原材料になるのです。
このように種の保存や、病気に対する抵抗力を左右する、人類にとって最も重要な働きをするホルモンがコレステロールから合成されるということを考えるだけでも、コレステロールが低ければ低いほど良いという迷信は間違っていることを漠然と理解いただけると思います。

大坂守口市のデータでも、コレステロールが160を下回ると急激に死亡率が上昇することが明確に示されていました。

もちろん肥満や不摂生を伴う高コレステロール血症で、中性脂肪や糖尿病を伴うような場合には、総合的に判断する必要があることを再確認しておきます。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 19:27 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養 2
脳の機能と栄養について語られるときに、とかく注目されるのがセロトニンです。これは最近はやりのSSRIなどのお薬が、この物質の代謝に関わるためです。

しかし、脳の機能について語るときに、シナプスまで行き着くために長い神経細胞の軸索という繊維を電気信号が伝わらなくてはならないことを書きました。

その軸索を電気信号が伝わるためには、ちょうど電気器具を動かすためにコンセントに差し込むコードのように、電気が伝わる銅線とその周りのゴムというかビニールの絶縁体のような構造が必要になります。

軸索に伝わる電気信号をシナプスを介して次の神経細胞へ伝えるために、軸索は髄鞘(ミエリン鞘)が取り巻いていて、電気信号が漏れずに効率よく伝わるようにしています。

この髄鞘には、通常では悪者の代表のように扱われているコレステロールが非常に多く含まれています。その他には、DHAなどの栄養素も多く含まれています。

これまで、うつ病と低コレステロール血症の関係はいろいろと言われていますが、その他の精神疾患とコレステロールの関係はあまり指摘されていません。

当クリニックでは、統合失調症と診断されてしまった患者様の全員に詳細な血液検査を行っておりますが、うつ病と診断された方だけでなく、統合失調症と診断された患者さまの多くに、低コレステロール血症を伴うことを経験しています。そして、この低コレステロールと低血糖症は密接な関係があり、総合的な栄養アプローチによりコレステロールが上昇することにより、多くの症状が改善することも経験として理解しています。
| 統合失調症 | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養
昨日までの勉強会の熱気がまだ続いています。
今朝から、参加いただいた日本中の医師たちから、勉強会に対する感想や今後の決意のようなメールを頂いています。
我々の身体や心の症状は、生化学的な反応として先ずは捉える必要があること。これまで個性とか遺伝とか言われていたことすら、生化学的に見ると栄養でカバーできることが多いことなどを、参加されたドクターはつかんで頂いたようです。

さて、今日から脳の機能と栄養ということについて少しずつ書いていこうと思います。

数ヶ月前にアメリカのマイケルレッサー先生の翻訳本が出版されました。タイトルは『脳に効く栄養』です。マイケルレッサー先生は、カナダのホッファー先生と並ぶ分子整合精神医学の巨匠で、膨大な統合失調症やうつ病などの患者さまの治療実績が在る方です。
この本では、ユニークな問診によってタイプ分けを行い、それぞれのタイプに対する栄養アプローチを書かれています。
その質問と、タイプ分けはとても興味深く、なかなか的を得ていますので、クリニックのスタッフでも一時期流行りました。

当クリニックでは、常に血液検査データに基づいて栄養素を選択します。冒頭でかかれたように、身体の症状も心の症状も、患者さまの身体の中で起こっている生化学的な反応によるものであるとすると、やはり情報としてはその時の血液検査が最も適当と判断しているからです。

話が横道にそれましたが、脳の機能を十分に発揮させるためには、効果的な栄養素の補給が必要になります。
ここで、脳はブドウ糖がエネルギーなので、砂糖を食べましょうなどど言う間違った情報を真実であるとされている方には受け入れられないかもしれません。砂糖を食べなくても、脳に供給されるブドウ糖は足りなくなりませんので安心してください。

脳が機能するためには何が必要であるか?そのことを書くまえに、脳について少し説明しなくてはなりません。

皆さんご存知のように、脳は神経細胞の集まりです。そして神経細胞と神経細胞はシナプスという接合部分を形成します。そのシナプスには隙間(シナプス間隙)があり、その隙間の情報を伝達する物質が神経伝達物質という物です。とかくセロトニンだのGABAだのといった、神経伝達物質が注目されているために基本的な問題点がおろそかになる傾向があり、そのことは大きな問題だと思っています。

神経細胞は長細い形をしており、その長い距離の情報を伝えるのは、神経伝達物質ではなく電気的な刺激なのです。この神経細胞内の情報伝達を迅速に正確に行えるようにしなくては、神経伝達物質をいくら良くしてもシナプスまで情報が伝わらないということです。

神経細胞の長く伸びてシナプスを形成する神経終末までの部分を軸索といいます。電気的な信号がこの軸索を通って次の神経細胞へ情報を伝えるのです。つまり軸索における情報伝達を滞りなく行えるようにすることが、脳の機能として、いの一番になるのです。

それでは、この軸索の情報伝達の機能を高めるために、何が必要で有効であるか・・・・次回からいよいよ栄養の話になって行きます。

| 統合失調症 | 16:26 | comments(0) | trackbacks(0) |


勉強会終了しました
今日のブログの内容などをアップするかどうか迷いましたが、とても感動した二日間だったのでご報告いたします。

この2日間の連休は、当クリニックが実践している分子整合栄養医学の勉強会をドクター向けに開催しました。

日曜日の13時から22時まで、今日は9時から16時まで。ハードスケジュールでした。九州や北海道から参加いただいたドクターは、朝4時に起きて飛行機に乗り、夜の10時まで勉強でした。

参加されたドクターは、皆さん通常の薬を中心とした治療法では患者さまを治せないことに悩み、いろいろと勉強会などに参加した結果、学会や雑誌、書籍などでこの方法を見つけてくれた人たちです。

大変ご高齢な先生もいらっしゃいましたが、死ぬまでこの方法を勉強して毎日の診療で患者さまへ貢献していきたいというコメントには、こころから感動を覚えるものでした。

精神科、心療内科のドクターも3名参加いただきました。
統合失調症、パニック障害、うつ病などは、低血糖症を中心とした栄養障害が原因であることがとても多い疾患群です。低血糖症を中心とした栄養障害が原因で精神症状を呈しているばあいには、統合失調症、パニック障害、うつ病などの診断名にもかかわらず、通常の精神科のドクターが処方する薬剤では、ボーっとするだけで根本的な治療にはならないのです。

今回参加いただいたドクターには、マスコミにも取り上げられることが多い方がいらっしゃいます。マスコミで正確な取り上げられ方をすると、このようにブログを書くよりも、ずっと多くの方の知るところになります。
これまで、テレビには良い印象がありませんが、どうか正確に取り上げてもらうことを祈るだけです。

今回参加されたドクターたちの熱気は、今後の日本の医療を変えていく可能性を感じるものでした。

また来週から、統合失調症をはじめとした精神疾患と栄養の関係について少しずつご紹介したいと思います。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0) |


統合失調症の診断
本日、40歳代の女性の血液検査データの分析をしました。
彼女は、20歳頃に幻聴などの症状が生じ、統合失調症の診断で約20年間投薬治療を継続して行われています。
現在は、いわゆる統合失調症に特有な症状はなく、疲労感や人とのストレスなどが主な症状として記載されていました。

どうにか日常生活は行われているもの、強い疲労感があり軽度の活動性の制限があります。結婚はされておらず、ご両親と生活されています。

その方の血液検査データから読み取れた情報は以下のとおりです。

・重度の鉄欠乏
・亜鉛欠乏
・たん白摂取不足と、たん白質の代謝低下
・重度なビタミンB6欠乏
・低コレステロール
・ミネラル不足
低血糖症・交感神経緊張状態

はっきり申し上げて、大変ひどいものです。
これでは、強い疲労感や眠気、抑うつ気分、感情のコントロール不可、皮膚症状・・・なんでもござれというデータです。

そしてこの患者さまが診断されたのは、20年前にあった『幻聴』という症状が根拠なのです。
昔も今も統合失調症などの精神疾患を診断するためには、患者さまが訴える症状に重きが置かれています。なぜそのような症状が発症するのかは、遺伝とか性格(気質)とか、環境(ストレス)などで片付けられれています。
最近では、DSM分類というアメリカの精神疾患の分類と診断の手引きというものが、精神科のドクターの診断の基準になっています。
その本の中には、精神疾患を臨床症状から診断するときに、精神症状を生じることが多い身体疾患が、診断や治療に深い関係があるために、関係が深い一般疾患は併記しなさいと付録までもうけています。
おそらく、一般の精神科医はこの付録部分を読まれた方はいらっしゃらないでしょう。(いたらごめんなさい)

この付録には、我々医師であればよく知っている、精神症状を引き起こす身体症状・・・例えば、肝硬変時の肝性昏睡や髄膜炎などが記載されています。そしてその付録の後半からは栄養疾患として、各種ビタミン欠乏症、ミネラル異常、鉄欠乏性貧血までしっかりと載っているのです。残念ながら低血糖症は載っていないんです。

とまあ、精神科医がつかうマニュアルの後ろの方に付録として載っているために注意されないですが、栄養障害は多くの精神症状を引き起こすことは事実なのです。

仮定の話は嫌いですが、冒頭の患者さまが発症直後から栄養アプローチに出会っていて改善されたとしたら・・・・
お薬を飲む必要がありません。毎日元気に生活できます。疲れたときは疲れたときですが、一晩寝ると治ります。 きっと素敵な結婚をされていたでしょう、お薬がありませんから、何の心配もなくお子さんを作られていたことでしょう・・きっと今とは違っていたはずです。

このブログをお読みの方は、訴えだけで診断されないようにしてくださいね。

明日から2日間は全国から集まった医師たちへ、分子栄養学の真髄を提供します。
ブログはちょっとお休みするかもしれません。なんと言っても僕が受け持つレクチャーは、明日の夜8時からのセッションですので・・・。
| 統合失調症 | 15:57 | comments(0) | trackbacks(0) |


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