うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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講演会のお知らせ
今回は、分子整合栄養医学特別セミナーのご案内です

この特別セミナーの何が特別か?というと・・・・
僕の師匠である、金子雅俊先生が講演をされるということです。通常では、一般の方への講演はおこないません。
これは大変な貴重なチャンスです。
是非、この機会をのがさず参加して、勉強してください。

私、溝口も講演いたします。

講師:金子雅俊先生 『生活習慣病と栄養療法』
   溝口 徹   『うつ、パニック障害、統合失調症と栄養療法』

日時:12月10日(土)13:00〜17:00(開場12:30)
場所:東京ウィメンズプラザ ホール
定員:250名
申込:新宿溝口クリニック 03−3350−8988
参加費:2000円  お申込後、振込みただきます
締切り:11月25日(金)

*東京ウィメンズプラザ 渋谷区神宮前5−53−67
03−5467−1711
青山こどもの城となり
渋谷駅 徒歩12分
表参道駅 徒歩7分

この日の講演会で、当クリニックで行っている精神疾患に対する栄養療法の実際の方法と、一般的な経過をお話させていただきます。
このブログをお読みいただいている方の一人でも多くの方に参加いただければ、とてもうれしく思います。
| - | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養11
脳の正常な機能を維持するために多くの神経伝達物質やそれに関係する栄養素が重要な働きをしていることを書いてきました。

脳の機能がおとろえることによって起こる、認知症は脳内のアセチルコリンの枯渇が原因として考えられたことがあり、そのためにアセチルコリンの原材料になるレシチンが有用と考えられてきました。しかし、アルツハイマーの場合には、レシチンの単独投与では改善がなく、アルツハイマーの病態は、アセチルコリンの減少だけが原因ではないことが確かめられました。

しかし、脳内でのレシチンの役割は大きく、特に脳の発育にはとても重要であることがわかっています。
ここで、レシチン呼ばれる栄養素について少し紹介します。

レシチンといわれているものには、フォスファチジルコリンという狭義のレシチンとリン脂質全体をさす広義のレシチンがあります。
脳内で機能させるためには、狭義のレシチンであるフォスファチジルコリンである必要があります。

このフォスファチジルコリンを摂取すると、これまで何回か登場した血液脳関門をコリン輸送体を通って脳内に入り、アセチルコリンを作るのです。
このフォスファチジルコリンは、通常の食事では玉子に多く含まれており、脳の機能と栄養でコレステロールの重要性をお話しましたが、ここでも玉子の有効性が裏付けられているのです。

玉子を食べると血中のコレステロールが上昇する⇒血管が脂肪で詰まる⇒単語を控えましょう

という短絡は、いい加減止めて欲しいものです。

本来は、我々医師が正確に伝えなくては成らないことですが・・・
| 統合失調症 | 00:00 | comments(2) | trackbacks(0) |


今日はちょっと日記風に・・

先日の辻堂クリニックでの勤務中に患者さんと話をしていました。患者さんは若い女性で、人間関係などの問題で職場が長続きしないことが問題になっています。

『先生、素直になるためにはどうしたらよいのですか?』

僕は考えました・・・・。
素直になるために何をするか??
逆に質問しました。

『○○さんが、素直になっていたら、どんなことを感じたりやっていたりしてますか?』

彼女は、答えることができません。
つまり彼女は、素直な自分をイメージすることができないのです。
そこでこんな話をしました。

『僕が医者になれたのは、医学部を卒業して国家試験にうかったからではないんだよ。医学部に入る前から、医者になったら何をしているか明確に知っていたから、医者になれたんだ。』

その話をしたら、患者さんの顔がパッと明るくなりました。

『素直になるためには、素直な自分がどんなか分からないと素直かどうかわからないんですね!どうやったらなれるかじゃないんですね!』

いろいろな症状で悩みをもたれている場合には、改善するために何をしたらよいのかと言うことが重要なことです。
しかし、改善したときの自分が具体的にイメージされていなくては、改善したかどうか、あるいはどの程度改善したかを測定することができません。

症状がでている最中に、改善した自分をイメージすることは困難かもしれません。しかし治療を行っていくためには、具体的なイメージが重要なのかもしれません。
| ひとりごと | 09:42 | comments(0) | trackbacks(0) |


症状と脳内代謝産物
統合失調症うつ病パニック障害、強迫神経症・・・このブログでも多くの精神疾患の名称が使われてきました。

繰り返しになりますがこれらの疾患名は、患者さまが我々にあらわす症状を根拠に診断されます。その症状からの診断が、最近はDSM分類というもので標準化されています。

そして栄養療法では、診断名にこだわらず常に血液検査データから得られる情報を元に治療法を選択しています。

そこで、以前も書きましたがMHPGという項目を測定するようになりました。この項目は、保険で検査することができないため、一般の施設ではまず測定されることがないでしょう。
一般的には、脳内のカテコラミンの代謝産物を反映するといわれています。つまりうつ状態では低く、ドーパミン活性があがるような統合失調症などのような病態では高くなるといわれています。

しかし実際に測定してみると、この一般的に言われていることと大きく異なることがあるのが分かってきました。

うつ病と診断されている方でも、異常に高値になっていることもあり、統合失調症と言われる方でも、低値であることがあるのです。
つまり脳内のカテコラミンの代謝と症状は一概に一致するものではないことは確かなようです。
| 統合失調症 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |


セロトニンと強迫症状
統合失調症などの神経疾患に診断されれた方の多くに、強迫症状というものがあります。頭では不合理と感じていながら、何度も何度も同じ動作を繰り返すと言うものです。この症状が強く前面にでると、強迫神経症という診断名がつけられます。
この強迫症状の多くは、『何度も手を洗う』『鍵をかけたことを何度も確認する』などの症状が代表的なものです。軽い程度のものであれば、多くの方が経験されたことであるかもしれませんが、強迫神経症と診断される方の場合には、本人の日常生活に大きな支障が生じ、周囲の他人にも大きな影響を及ぼします。

このように単純な行動を繰り返すことは、脳内のセロトニンの分泌量を増やすためと言われています。そこで想像できることは、強迫症状を示す方はセロトニンの分泌がすくないために、単純な行動を不合理と思いつつ繰り返し、セロトニンの分泌量を増やそうとしているのではないか?と言うことです。

そして、この仮説を確かめるためにはSSRIという種類の薬剤を投与してみることになります。このSSRIという薬はセロトニンの再吸収を阻害して結果としてセロトニンの働きを強めようというものです。
強迫症状には、SSRIという薬が有効であることが多いです。つまりある種の強迫症状はセロトニンの枯渇が原因であると言うことができるでしょう。
しかしこのSSRIという薬を飲み続けて、セロトニンの枯渇と言う状況の根本的な治療と言えるでしょうか?少し難しくなりますが、この薬剤による治療では、産生されたセロトニンを消えにくくしているだけで、セロトニンの量を増やすことは行われていません。

根気良くアミノ酸やビタミンB群を補給していく栄養療法を行うと、強迫症状も改善することが多いです。SSRIほど切れ味はありませんが、自分の脳内でセロトニン代謝がゆっくりと改善されていくように思うのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:44 | comments(1) | trackbacks(0) |


低血糖症の誤解
脳はエネルギー源としてブドウ糖を必要としていることは、テレビのCMなどでもおなじみのように良く知られています。そのため、脳にブドウ糖を供給するために砂糖を食べましょうという理論になります。
しかし、脳に十分にブドウ糖を供給しなくてはならない統合失調症うつ病のような疾患になられた方の多くは、低血糖症を合併するために砂糖の摂取を基本的にやめてもらいます。
この脳の機能改善に必要な栄養素を、治療のためにどうして止めなくては成らないのか?という疑問が生じると思います。

“この低血糖症には飴でもなめてれば良い”というコメントは、多くの医師からも聞かれます。

それには、
『通常の食生活をしている限り、低血糖症などあり得ない。』
『低血糖であれば砂糖をなめればよい』
という常識があるからです。

たしかに通常の食生活をしていれば血糖値が下がりすぎる状況にはなりません。そして本当に血糖値が低すぎることが問題の場合には、砂糖をなめることが何よりも大切な治療になります。
それでは、どうして統合失調症うつ病と診断された多くの方が低血糖症なのでしょうか?
ここには低血糖症にたいする不十分な理解があるためです。低血糖症は、血糖値が低すぎることだけが問題になるのではありません。血糖値が低くなる速度が問題になります。また砂糖を摂取していない時間帯なのに、血糖値がホルモンの働きで上昇してしまうことも問題です。

そして何より問題なのは、低血糖症で生じる様々な症状があまりにも多彩で、統合失調症をはじめ多くの精神疾患に診断されてしまうような症状を呈することが医療従事者に知られていないことなのです。
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| 低血糖症 | 23:18 | comments(1) | trackbacks(0) |


ストレスと精神疾患
ストレスと脳の機能や、ストレスと精神症状などについては、関係が深いことを私たちは経験上よく理解しています。
そして多くの精神症状や胃潰瘍、高血圧・・・などもストレスが原因のひとつとされています。確かにストレスを除くことによって急激に糖尿病が改善したり血圧が下がったり・・・いろいろな症状が改善することがあります。
そして抑うつ症状や不安症状も、ストレスがなくなると改善することがありますが、そうではないことも多いのです。

ストレスと脳の機能についてもう少し科学的に説明することができないでしょうか?

このような分野で研究が盛んなのは、イスラエルです。この国は望むか望まないかは別にして、戦争をすることが多く、若い男性の国民の多くが戦争経験者です。それらの戦争経験者の男性が戦場から帰還すると、重度のうつ症状を訴えることが多いのです。そのため、若い労働力が減少し、しかも出生率にまで影響しかねいため、若い男性の抑うつ対策は国の重要な課題になっています。
以前にブログの中で脳には血液脳関門という機能があり、脳とって有害な物質は容易に脳内へ侵入することができないことをお知らせしました。GABAを直接摂取することの意味についてもそこで書きましたね。(GABA入りチョコレートなどはもってのほかですね)
どうやらこの脳を保護する血液脳関門の機能が、ストレスによって破綻するということが知られるようになって来ました。

統合失調症やうつ病、パニック障害などの精神疾患と診断された多くの方は、症状が出るきっかけに、対人関係や仕事上でのストレスが引き金になっていることがとても多く、それらのストレスをマネージすることは、病態の改善や社会性を拡大するためにとても重要であることにはかわりありません。
しかしストレスによって発症した多くの精神疾患が、その原因となったストレスの影響が無くなった状況になっても改善しないことも事実なのです。
このストレスと血液脳関門の関係は、ストレスと精神疾患の関係を説明する重要な手がかりになるのではないでしょか?

| - | 11:47 | comments(0) | - |


睡眠障害という症状
昼夜逆転という症状が精神疾患には多く見られる。
特に統合失調症と診断されてしまった方の多くが昼夜逆転し、夜に心地よい睡眠を得ることができなくなり困ってしまうことが多い。このことがこの病気の社会生活から遠ざける原因のひとつかもしれません。

この睡眠障害という症状では、とかく脳内のメラトニンという物質がクローズアップされます。この物質はトリプトファンというアミノ酸の一種から作られるものですが、その生成過程にビタミンB6がとても重要な働きをしていることがあまり知られていません。ビタミンB6を夜眠る前に適量の飲むことでとても快適な睡眠を得られるようになることは、治療しているときに多く経験します。特に子供の夜泣きには絶大な効果をあげます。

しかし統合失調症と診断されている方の睡眠障害は、これだけではなさそうです。興奮系の脳内神経伝達物質の働きが活発になっていることがもろもろの症状の原因ですので、おちついて眠ることが困難なことも理解できます。
ここで、このブログの大きなテーマである低血糖症がでてきます。

夕ご飯を食べて、少ししてから甘いコーヒーとちょっと甘いものをつまむ・・・・。その1〜2時間後は、低血糖症の方はきっと大変な量の興奮系の神経伝達物質が放出されていることでしょう。

どうも最近は、セロトニンばかりが注目されて、メラトニンなどのことが注目されることが多いのですが、基本的な栄養の代謝を整えることがまずは大切なのではないでしょうか?
| 統合失調症 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0) |


統合失調症とナイアシン
大沢先生の新刊を読まれた方から問い合わせの電話がありました。
内容は、ナイアシンとビタミンCだけを飲んでいれば統合失調症が改善するか?ということが主な内容でした。
僕のクリニックを訪れる多くの統合失調症の患者さまは、既にナイアシンとビタミンCを飲まれたことがあるか、現在も継続されている方です。
そのような方の多くのは、ナイアシンを飲み始めた初期に急激に症状が改善されたことを経験されています。そして、その後も継続してナイアシンを飲んでいるのに症状が戻ってしまったと言われます。
僕のクリニックを訪れる患者さまは、ナイアシンをお飲みになた方のごく一部が受診されるとおもいますので、ナイアシンとビタミンCを飲むことで改善し、その後も良好な状態を保たれることもあるのだと想像します。

薬には耐性という現象が常にあります。つまり今までの量を飲んでいても徐々に薬の効果が薄れてきて、増量しなければ同じ効果が出なくなるようなことです。
栄養療法の場合は、耐性はありません。どちらかと言うと、改善してくるにつれて、少ない量でコントロールが可能になることが多いです。
それでは、なぜナイアシンとビタミンCだけの使用でよくなった症状が、再度戻ってしまうのでしょうか?その理由には幾つかのことが考えられると思います。

幻聴や幻覚などの統合失調症に特有の症状を訴えられる方で、ナイアシンを使用しないで改善される方もいらっしゃいます。またナイアシンを使っていた方で鉄を加えることでさらに改善することを経験されることもあります。
同じ症状でも、栄養面から評価すると多くの栄養素の欠乏症状や代謝の異常によって起こることが理解できます。

やはり、血液検査データに基づきどのような症状であっても、必要な栄養素をベースに用いながら症状や病態に特有の栄養素を加えていく方法が良いと思います。
| 統合失調症 | 23:39 | comments(5) | trackbacks(0) |


自閉症と栄養療法
昨晩、自閉症のお子様を中心に栄養アプローチを行われている先生とあってお話をする機会がありました。

やはり年単位の治療経過であることを聞き、十分な効果を得るようになるためには患者様も家族も、治療する医療従事者側も忍耐が必要なことを再確認しました。

実際の患者様についてもいろいろと話を聞くことができました。
それまで、どうにか普通学級にいることがぎりぎり可能だったお子様が、中学では学年で上から10%の成績をとるようになったという電話をいただいたことなど、本当の驚くべき成果があがっていました。

その先生の治療でもポイントに上げていたのが脂肪酸の利用でした。特にオメガ3系の脂肪酸を多用されているようです。
そして自閉症の子供達にも、食事を摂取するとすばやく腸管の粘膜から吸収されてしまうLeaky-Gut-Syndrome(LSG:腸管浸漏症候群)が深く関与することを聞き、その対策についても多くの情報を聞くことができました。

僕は、統合失調症やうつ病などの精神疾患も、アトピーや喘息、炎症成長疾患などとともにLGSが深く関係していると考えています。

LGSの根は深く、幼少時の離乳食のことや、多用される抗生物質など、我々医師の責任の部分もおおく、反省させられる病態なのです。
| ひとりごと | 23:10 | comments(4) | trackbacks(0) |


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