うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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ビタミンB群と脳代謝
ビタミンB群は、多くの栄養素の代謝に必要な酵素の補酵素として重要な働きをします。
そのために、ビタミンB群の不足は多くの代謝障害の原因となり、それだけに不足による欠乏症状は多岐にわたります。
また統合失調症に対するナイアシン投与の効果がクローズアップされていますが、ビタミンBは複合体として投与することでそれぞれの効果を相補的に高めるため、血液検査データでビタミンB6の不足が判別しても、ビタミンB群の複合体として投与します。

さて、脳の代謝とビタミンB群の作用に絞って見ましょう。

ビタミンB1は、糖代謝に深くかかわり脳に必要なエネルギーはグルコースから作られるので、とても重要な栄養素であることがわかります。

ビタミンB3=ナイアシンに関しては、不足によって脳内のセロトニン濃度が低下し、ミエリンが損傷することが知られています。
欠乏症状としては、うつ、情緒不安、刺激への感受性の亢進、下痢、皮膚炎などがあげられます。

ビタミンB6は抑制系として重要なGABAの産生にビタミンB1ともに作用します。ビタミンB6の不足は、トリプトファンの代謝を阻害し、セロトニンやカテコラミンの産生が低下します。メラトニンの産生が低下するために不眠などの症状が生じ、そのほかにはうつ病に深くかかわる栄養素です。

ビタミンB群に分類されるパントテン酸はアセチルコリン産生に重要であることから、脳細胞の膜の機能維持に必須の栄養素になります。

ビタミンB12は核酸・タン白質代謝に重要であり、不足によるうつ病との関係が深いことが多く報告されています。

このようにビタミンB群も脳の機能を向上させる基本的な栄養素であることがお分かりいただけると思います。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |


脳細胞の活性化のために
先日は、脳細胞の膜に存在するレセプターの機能を発揮させるために、EPAやDHAなどの脂肪酸を摂取することの意義をお話しました。

今回も、脳細胞だけでなく、細胞膜を構成する栄養素とその機能などについてお話します。
細胞膜を構成する成分として、不飽和脂肪酸の組成の割合を変更することが重要なことは先日を含め何度となくお伝えしました。
その不飽和脂肪酸以外に細胞膜を構成する重要な成分に一般的にレシチンと呼ばれるリン脂質があります。これは正式名称はフォスファチジルコリン(PC)と呼ばれるものです。

このレシチンは、細胞膜の構成成分としてだけではなく、神経伝達物質のアセチルコリンの前駆物質として私たちの心と身体の機能に深く関わっています。またこの栄養素は、脳細胞の機能向上だけでなく、肝臓の代謝改善、血中コレステロールや中性脂肪の適正化などに働きます。

この栄養素が一躍有名になったのは、アルツハイマー型認知症との関係です。この病気は、脳内のアセチルコリンが減少するために、脳細胞膜に存在するレシチンを自己分解しコリンを供給するようになります。その結果、広範囲に脳の萎縮が生じ認知症が進行します。
統合失調症でも、病期によっては痴呆様の症状を呈することがあり、同様の機序が脳内で一時的に起こっていることが考えられます。

アルツハイマー病には、ふるくからレシチンを投与することで脳細胞の膜障害の進行を予防することを期待して、レシチンを用いる治療が行われています。

この治療を行い、勉強を進めるとあれもこれも栄養素をつかいたくなってしまいます。
統合失調症うつ病などの病期や薬剤による痴呆様の症状が見られるときには、レシチンは有効かもしれませんね。
というよりは、この栄養素は基本になるものにも思えます。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 12:02 | comments(0) | trackbacks(0) |


神経伝達物質と膜の流動性
これまで多くの神経伝達物質について書いてきました。またそれらの物質が作用することで、これまで感情や性格とか、自然現象のように言われていたものが、物質の働きによって起こることであることを書きました。

そして、神経伝達物質が機能するためには、受容体(レセプター)というものが存在し、そのレセプターと神経伝達物質が見事に出会って結合しなくては機能を発揮できません。
このレセプターは、一般的には細胞膜のところどころに顔をだしています。つまり神経伝達物質がどこに飛んできても結合できるのではなく、見事にレセプターのあるところへ飛んでこないと結合できません。
しかしそれでは、お互いに出会う確率が低いので、レセプターは膜の上をかなり自由に移動できるのです。この膜上でのレセプターの移動が簡単に行えれば行えるほど、神経伝達物質の作用が強く出ることになるのをお分かりいただけると思います。
先日お伝えした、EPAやDHAなどの魚油に含まれる長鎖多価不飽和脂肪酸が、細胞膜のリン脂質中に多くなってくると、とたんに膜上でのレセプターの流動性が高くなります。
シナプス間の伝達が容易に行えるということは、ボケ防止から精神疾患の改善まで根本的な機能の改善であり、究極の脳のアンチエイジングですね。

私たちは、口から摂取する脂肪酸の割合を変えることによって、全身の細胞膜のリン脂質の組成割合を変更することができるのです。
これはアレルギー疾患ばかりでなく、リウマチなどの慢性炎症性疾患、統合失調症、うつ病をはじめとする脳神経疾患など、非常に多くの病気の改善に役立つのです。


| 統合失調症 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) |


脂肪酸と細胞膜2
以前は脂肪酸と細胞膜のタイトルで、細胞膜とコレステロールの関係をお話しました。
その時に説明しましたが、我々の身体は60兆個の細胞からなり、その細胞の中にも小器官という膜に隔てられたものが存在します。つまり我々の身体は膜とその内外にある液体から成り立っているのです。

そして、その細胞の機能をたもち、細胞の性格を決めるのが細胞膜であり、その細胞膜を構成するのが脂肪酸になります。
その脂肪酸はとにかく誤解が多い栄養素です。

つまり植物油は身体に良くて動物性の油は身体に悪い!!

マーガリンは身体に良くて、バターは悪い!!

のような誤解です。
以前は、サラダ油といえば”リノールサラダ油○○○〜〜”というのが耳に残っているほど、身体に良い油はリノール酸でした。
しかし、最近のスーパーでは、リノール酸はかなり減りました。
リノール酸は、我々にとって必須の脂肪酸であり、体の中にはいるといろいろな炎症を抑える重要な働きをするプロスタグランディン(PG)を生成するために重要です。
しかし、リノール酸を摂取したからといって、スムーズに必要なPGを生成するのではなく、多くの酵素の働きを持って長い過程を経て変化するのです。
この酵素が十分にはたらくためには、これまた多くの栄養素が必要であり、特に亜鉛、ビタミンB6、ビオチン、マグネシウムなどが重要になるのです。もしこれらの栄養素が不足すると、酵素のはたらきが不十分になりリノール酸は、我々とすると好ましくない物質⇒アラキドン酸を作るようになってしまうのです。
このアラキドン酸は、細胞膜を不安定にし多くの炎症性疾患を引き起こし、いろいろな病態を慢性化させるためにはたらくものなのです。
精神疾患とこの脂肪酸についてもいろいろと報告があり、EPAやDHAなどの必須脂肪酸の摂取を継続することにより、細胞膜の脂肪酸組成が変化することにより、多くの精神症状の改善がえられるのです。

このように神経伝達物質だけで、脳を構成する細胞の機能を向上させることは不可能であり、いかに食事を含めた日頃の栄養素の摂取が重要であるかご理解いただけると思います。
| 統合失調症 | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0) |


Aホッファー先生について
ネタが切れてきたといううわさもチラホラです・・・
今日は、カナダのビクトリアに在住されているエブラム・ホッファー先生についてです。

ホッファー先生は、1964年にカナダ統合失調症協会を設立されています。現在は確か87歳だと思います。1964年は、僕の生まれた年でもあるので、すでに40年以上もこの治療を継続されている、分子整合精神医学の分野のパイオニアでありオーソリティーであり、現在も現役の第一人者です。

そんなホッファー先生を昨年の10月に訪ねました。2泊4日の強行日程でしたが、実り大きい旅でした。
ホッファー先生は、補聴器も使わず、ご自分の運転されている車でランチに連れて行ってくれ、ディナーでは日本人では2人前はあるラムのステーキをペロリと食べてしまう食欲がありました。

ご自分もナイアシンを飲み続け、とてもきれいな肌をされており本当にお元気でした。
実際の診療に立ち合わせてもらえたのですが、受診される患者さまの多くは5年以上継続してホッファー先生の栄養療法を継続されているかたです。
受診されたときには、皆さん多くの薬を飲み、明らかな改善もなく、将来に大きな不安があった方ばかりです。

ホッファー先生の治療の目標は、患者さまが改善し、仕事を持ち、収入を得て税金を払うようになることです。
薬漬けにして、個性を無くさせ、ただボーっとした状態にし、患者さまを集めて簡単な作業を繰り返させることを目標にしている日本の治療目標とは大きく異なります。

ディナーに素敵なご夫婦を招待してくれていたのですが、そのご夫婦は二人とも元統合失調症の患者さまだったそうです。ホッファー先生の治療によって改善され、ご主人は大学に再入学し法律学科を卒業されたのですが、精神疾患の方が社会で活躍できるようにサポートする仕事をされています。
もちろんお二人とも仕事をされているので税金を支払い、薬も使わずディナー中でもかるい喧嘩をする普通のご夫婦でした。

2年後にバンクーバーで開かれる分子整合栄養医学の学会へ参加するように強く言われ、たった2泊のカナダ滞在を終えたのでした。
87歳でも週4日クリニックで診療され、1日は執筆活動、そして精力的に学会活動を行っているホッファー先生に強い影響を受けてきたのです。
| ひとりごと | 23:45 | comments(2) | trackbacks(0) |


精神科領域の診断と治療
今日、治療中の患者さまのお父様から嬉しいお便りを頂きました。
31歳になる娘さまは、20歳頃から気分の変調がありその後に様々ないわゆる精神症状を呈するようになりました。
3年ほど前に統合失調症の診断を受けられ、今年の8月に新宿のクリニックにいらっしゃいました。
来院されたときには、9種類のお薬が処方され、1日に飲む薬の量は22錠にまで増えていました。

現在の日本の精神科領域の治療も問題点は、多剤併用にあると思います。症状が良くならないと患者さまが訴えると、薬の量と種類が増えていく。この患者さまのように22錠まで増えることも珍しくありません。
いったいどの薬が効いていて、どの薬の副作用なのか・・・皆目見当がつきません。しかも、急激な減薬は新たな症状を作ることもあり、慎重に行う必要があるものばかりです。

最近はインフルエンザの特効薬として使われているタミフルという薬について、全世界の消費量のうち半分を日本で消費していると報道されています。有名なブランド品もそうらしいですね。
精神科領域も同じです。
ひとりの患者さまで、2種類以上の薬を処方するのは、日本のドクターが世界一なのです。
これは薬好きの国民性なのでしょうか?それとも製薬メーカーの戦略にはまっているのでしょうか?

精神疾患の診断も、DSM分類というアメリカの診断基準を使っているので治療もアメリカ流で行うのでしょうか?もしアメリカ流であれば、こんなに多剤を同時には用いないのですが・・・・

この患者さまは、8月末からの栄養療法の併用で多くの症状が改善されました。現在の処方は3種類で1日3錠のみで快適な状態にコントロールされるようになったと書かれていました。

食事の変更とサプリメントでこれほど劇的な改善をするというのに、投薬を中心とした精神科の専門の先生方の治療はいったいどうなっているのでしょう?

このような問題点も12月10日の講演会でお話しするつもりです。
ちょっと怖いのですが、現実がもつパワーに押されて思い切ります。
| ひとりごと | 19:05 | comments(1) | trackbacks(0) |


脳の機能と栄養13
これまで、神経伝達物質の不足によって多くの精神疾患が生じることをお伝えしてきました。
そして、その不足した物質を直接サプリメントなどで摂取しても、血液脳関門を通過できないため、神経伝達物質を作るための材料を十分に摂取して、必要なものを必要なときに、必要なところで生合成できる状況にしておくことが大切であることもお伝えしました。

そこで今日は、神経伝達物質が過剰になってしまったために生じる病態である、躁病に対する治療についてお話します。

とにかく元気で、眠らなくても働けて、やたらにアイディアがあふれ、時に攻撃的になるのが躁病の症状です。たまに、数年前はこんな時期があったなぁ〜などと思われることがあれば、その時期はやや躁状態だったのかもしれません。

この躁病は、これまで何度も出てきた、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が過剰に分泌されている状態と理解されています。この躁病には、リチウムという物質の投与がとても効果があります。

このリチウムがどうして躁病を改善させるか不明な点が多いのですが、リチウムはナトリウムと同じ性質をもつイオンなのです。
神経の伝達は、神経繊維を電気信号として伝達され、シナプス間隙は神経伝達物質によって伝わることをブログの初期にお話しました。

どうやらリチウムは、神経線維の電気的な伝達部分にナトリウムの代わりに作用して興奮の伝達自体を抑える働きをしているようなのです。

心の働きと物質には関係があることから、シナプス間隙の伝達物質ばかりについてお伝えしてきましたが、脳の機能を左右する物質としてリチウムのようなミネラルも電気信号の伝達の部分で大きな作用を持つことも注意しなくてはなりません。
| うつ病 | 23:34 | comments(1) | trackbacks(0) |


12月10日の講演会は・・・
12月10日に行う講演会は、《うつ、パニック障害、統合失調症と栄養療法》というテーマをもらいました。

ここ最近は、精神疾患と診断された多くの方が新宿のクリニックを利用していただくようになったので、今回のテーマはいくらでもお話しすることがあります。

お話しすることがいっぱいあるからと言って、多くのことをお話しすると散漫になってしまい、聞いてくれた方々には何も残っていないということがあります。

今回は、低血糖症と精神疾患について絞ってお話をしようと思っています。これまで何回も講演をやってきましたので、中には同じ内容をくり返し話ししてきたこともあります。
今回は、テーマも絞りましたので、クリニックで行った5時間の糖負荷検査をまとめて、みなさまへお知らせします。

今日から、スタッフにも協力してもらいながら、これまで行った糖負荷の検査結果をまとめ始めました。
きっと精神科や心療内科からの投薬で症状の改善がなかなかえられない方には、役に立つ情報がいっぱいつまっていると思います。

またまた宣伝になりますが、今回の講演会の情報をお知らせします。
ご興味がある方は、聞きにいらしてください。

12月10日 土曜日 13:00〜17:00
東京ウィメンズプラザ ホール 定員250名
申し込み先 新宿溝口クリニック 
参加費 2,000円
問い合わせ 03−3350−8988 
| 低血糖症 | 17:34 | comments(0) | trackbacks(0) |


サプリメントの値段のなぞ
サプリメントほどその本質をユーザーが知ることが困難な商品は少ないのではないでしょうか?

たとえば、洋服であればシルクのような輝きがある布が『絹100%』か『ポリエステル100%』なのか、裏を見れば分かります。
しかしサプリメントは、高いものも安いものも天然ビタミン100%と表示されています。
いったい表示が同じなのに、どうしてこんなに値段が違うのでしょう?

サプリメントは、栄養補助食品と呼ばれています。つまり食品ですね。薬品ではありません。食品工場が作るのです。栄養素を原材料から精製する過程でも、食品として認められているものしか使えないのです。
たとえば原材料から不純物を取り除く精製の過程で使用するアルコールにおいても、薬品であれば途中に食品として認められていないメチルアルコール(飲むと目がつぶれる安いアルコール)を使っても完成品に含まれていなければOKです。しかし食品工場だと精製に使うアルコールもエチルアルコール(お酒に入っている高いアルコール)を使わなくてはなりません。
これだけでコストが上がるのが理解できますね。

しかし、それでは薬品と食品のサプリメントの値段の違いがあることは説明できますが、サプリメントどうしでも値段が異なることの理由になりません。

お気軽に利用できる安価なサプリメントの多くは、生成過程で食品として認められている“水”を使います。確かに水ですので、食品で安全ですが・・・・良く考えてください。例えば水溶性のビタミンだったらどうでしょう?
精製の過程で安価な水を使ってコストを下げても、有効成分のほとんどが水に解けていることでしょう。レモンから作ったただ黄色い粉末が出来上がっているのかもしれません。メーカーもこのことは良く知っているのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 22:03 | comments(0) | trackbacks(0) |


基本的栄養素と脳の代謝
基本的栄養素の代謝と脳の機能についてです。

当クリニックでは、統合失調症うつ病パニック障害などと診断された患者さまの多くに、5時間の糖負荷検査を行っています。
この検査は、糖=ブドウ糖の代謝について詳しく調べるものです。
結局、糖質に対する脳の反応を調べているのです。

また、脂質の代謝と脳の機能については、脳細胞を構成する膜にあるリン脂質を想像いただければ理解いただけると思います。
脳血管関門が、脂溶性の物質は良く通すが、水溶性物質には厳しい制限がおこなわれています。
このように見ても、脳には大量の脂質が必要です。特に卵黄や大豆に含まれるフォスファチジルコリンは、神経伝達物質のアセチルコリンの原材料となり脳の機能にとても大切な物質であることが理解いただけると思います。

また蛋白質は、神経伝達物質の多くが蛋白質を主成分にすることからも、脳の機能維持にはなくてはならない存在です。

脳はブドウ糖が供給されないと働かないし、脂質がないと細胞を構成できません。そして蛋白質がないと、たがいの情報交換が行えないのです!

どれだけ基本的な栄養素が重要であるかご理解いただたでしょうか?

そして、なぜ糖質の代謝だけが大きく乱れて、時に幻覚まで引き起こすのか・・・?
その点については、カナダのホッファー先生も著書のなかで考察されています。糖負荷検査をお受けになるなら、血糖の乱高下とカテコラミンの関係などにを確かめることができます。そしてその情報が日常生活の変更などへの機会を作っているのかもしれません。
| 低血糖症 | 23:16 | comments(0) | trackbacks(0) |


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