うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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白米と玄米との違いとは?
血糖調節の異常のために多くの症状を呈し手いる患者さまには、基本的に白米の摂取を控え、玄米に切り替えていただくように指導します。

一般に玄米は、白米に比較してビタミンB1を始め多くの栄養素が含まれており健康食であると認識されています。
日本人は、古くからお米を食べてきた民族であり、遺伝的に見ても米を食べるのが最適であるとおっしゃる有名な先生方がいます。
たしかに日本人は古来から米を食べてきた民族です。しかし、現代の我々が食しているような精製された白米を食べ始めたのは、長く見てもこの100年にもならないでしょう。
日本人が古くから食してきたのは玄米なのです。あるいは、これほど精製されていない米なのです。

お断りしておきますが、僕は玄米菜食主義者でも何でもありません。米が良いとか和食最善主義でもありません。あくまでも科学的なことからお話しているだけであり、しかも一般論ではなく、個人的な代謝についての違いをお伝えしたいだけです。

アメリカインディアンのある民族は、とても肥満が多く生活習慣病にも罹患しやすいことから、肥満遺伝子なるものが発見されました。日本人は民族的にみても、この肥満遺伝子を有する確立が非常に高いのです。つまり糖質(炭水化物)の摂取には十分に注意しなくてはならない民族なのです。

江戸の昔、江戸わずらいという奇病がありました。これは参勤交代で、地方から江戸に来ている間に、精神症状を始め多くの神経症状が起こるのです。そして出身地の田舎へ戻るとそれらの症状はきれいに治ってしまいました。これを、江戸に行くと感染してしまう、江戸の風土病と恐れられ『江戸わずらい』と言われました。
この時代、江戸には地方から年貢として多くの米が集まり、かなりの人たちが精製された白米を食べることになり始めました。この時代の日本人は、とても多くの米を摂取する習慣があったので、地方から来た武士や武士の家族たちは、いきなり大量の玄米から大量の白米を摂取する生活に変化したのです。

この『江戸わずらい』は、白米によって減少してしまったビタミンB1欠乏症である脚気であると結論付けられています。

しかし江戸わずらいの文献や書物などから、症状を細かく見てみると脚気だけではないようなものもあるのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:40 | comments(1) | trackbacks(0) |


統合失調症の多剤併用療法
福岡の講演会でもお話した内容について、このブログでもお伝えしようと思います。

それは、統合失調症の薬剤による治療についてです。
統合失調症の治療で、新宿のクリニックにお問い合わせをいただく患者さまの多くは3種類以上の抗精神病薬をお飲みなっている方がほとんどです。
海外では、多くて2剤、できれば単剤の投与、しかも少量で治療することが主流になっています。できるだけ種類も少なく、量も少なく治療するというのが海外では医者の腕の見せ所になっています。
日本では、どうしてこのように多剤併用して治療されるのでしょうか?
ほとんどのクリニックや病院などでは、院外処方箋になりつつあるので処方量を多くしても薬の薬価差によって儲かるということではありません。つまり薬をいっぱい出しても医者は儲からないのです。

しかし、いっぱいの薬を処方するのです。日本では伝統的に多種類の薬をつかって微妙な量の調節を行い症状をコントロールするのが、医者の腕の見せ所になっているのかもしれません。実際は、なにが効いているのか判断できないほど多くの種類を出されていますが・・・。余談ですが、全世界のタミフルの70〜80%が日本で消費されているという現状から、国民性として薬を好むというものがあるのかもしれません。

栄養と心の病について多くの著書や訳書をもつ大沢先生は著書の中で、多剤併用について批判をされています。すると、しっかりと精神科の医師から、多くの薬が必要になる理由がクレームとして届きます。
つまり、多くの薬を出す先生の中には、儲け主義ではなく信念に基づいて多剤を併用し処方されているのです。

どちらかと言えば、こちらの方がやっかいですよね。多くの種類を使った方が治癒すると思われているのですから・・・。

昨年の5月に発表された論文で、慶応大学の精神科のドクターが、日本の多剤併用療法の妥当性を検証されています。

海外では1960年代から世界的に多剤併用療法が行われるようになったそうです。しかし1990年には、多剤併用療法の有用性を調べる臨床検査が行われました。その結果では、単剤少量療法と比較して多剤併用療法が有効であると証明されませんでした。
この試験をきっかけに海外では単剤を少量で治療するドクターがいわゆる名医になっています。しかし日本ではなかなかそうは行かないようですね。

先日も、たまたま朝の薬を飲み忘れたらその日の午前中に身体が軽くなったということを教えてくれる患者さまがいらっしゃいました。
その先生は、多くの薬が粉薬になっており、「きっと絶妙(??)の処方バランスとして多くの患者さまへ処方されているのでしょう。

現在の治療法に疑問をもたれていらっしゃる方は、是非ともお薬の必要性をもう一度検証するように主治医に頼んでください。そこで怒られたりしたら、セカンドオピニオンを若いドクターに頼まれるのも良いかもしれません。自分や家族の身体を最後まで面倒を見るのは医者ではありません。正しい知識を自ら身につけ、納得いくように治療を受けてください。
| 統合失調症 | 23:55 | comments(0) | trackbacks(0) |


福岡の皆さんありがとうございました
福岡の講演会が終わりました。
会場いっぱいに集まっていただいた皆様。ありがとうございました。
主催していただいたホリスティック医学協会の皆様、ボランティアの皆様、本当にありがとうございました。

主催者の皆さんの熱心なお気持と、講演会に参加したいただいた皆様の熱心な姿勢が、話をしながら伝わり緊張感をもちながら最後まで話をすることができました。

もう少し早く終わって質疑応答の時間を作れば良かったと思いますが、クリニックで治療している1人でも多くの患者さまの経過をご報告したくなり、ぎりぎりになってしまいました。

心の機能と栄養の関係や、砂糖の摂取がどのように関係するかを、少しでもご理解いただければうれしく思います。
講演会で話たように、明らかな代謝の異常があったら、いくら薬を使っても根本的な解決にならないことをご理解いただければうれしいです。

多剤併用で薬付けにしているのは、日本だけです。多くの薬を使う治療と、少ない種類を少量使う場合と、治療効果に差がないことを講演会でお話しました。治療法に疑問をお持ちの場合には、勇気をもって主治医の先生へ質問して下さい。そして時にセカンドオピニオンも必要です。今行われている治療法が、絶対であり必ず正しい方法であるとは言えないかも知れません。

これまで常識と思っていたことが、時に正しい知識でないことがあります。
特に医療の分野では、医師という専門知識をもつ人の言うことですので、疑問をお持ちになることが少ないかもしれません。
しかし、医療の分野ほど常識が非常識になることが多い分野も少ないものです。

以前、このブログでもお伝えしたように、僕が医学部の学生時代(平成2年まで)でも、日本人に胃潰瘍が多いのは、熱いものをたべるからであると教えられていました。胃酸があり酸性がつよい胃粘膜には、バイ菌が感染することはないと思われていたのです。

今では、日本人の胃潰瘍や胃がんは、ピロリ菌感染が原因であることが常識です。これもマーシャル博士が、自分でピロリ菌を飲んで胃にピロリ菌が感染することを身をもって示したことで、やっと覆ったのです。

それほど、医療の分野は正しいものが正しく評価されるのには、大きな抵抗と長い時間がかかるものなのです。
| ひとりごと | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) |


最近のサプリメントをとりまく状況
毎年1〜2件のサプリメントに対するネガティブキャンペーンが行われます。
ゾンビのように繰り返し現れるのが、ビタミンAの過剰症です。昨年はビタミンEもやられました。
昨年からどうもヒステリックだなぁ〜と思っていたのですが、今年になりさらに尋常ではありません。僕の2冊の本の絶版騒動も、決してマスコミに出ることはありませんが本質は同じものでした。そのことは、また機会をあらためてお話できればと思います。

今回のイソフラボンの摂取上限は、将来にこの発表はうやむやに葬られるか、正式に撤回されることになるでしょう。
特に一般に発表された報道は、あたかもイソフラボンの上限が30mgと解釈されるものでした。(本当は異なります)
また、つい先日にはイソフラボン強化の”みそ”までもが規制になりました。
この調子では、味噌汁の摂取上限まで決め兼ねない勢いです。

今回のイソフラボンの上限量の報道について少し疑問に思うポイントをお伝えします。

○報道では、イソフラボンの摂取上限を30mg/日としていますが、報告書ではアグリコンとしての摂取量です。アグリコン30mg/日は、イソフラボンとして約60mg/日に相当します。(これも少なすぎる量ですが・・・)

○また食品としての1日摂取総量70mgが妥当との見解の根拠は、02年の国民栄養調査から、大豆イソフラボンの摂取量は国民の95%が70mg以下であり、その摂取量においては健康被害が出てないから、という極めてあいまいで根拠のないものになっています。

○一方、古来より大豆食品比率の高い日本では70mgをはるかに超えて摂取されていますが、いまだかつて過剰摂取障害例はありません。

イソフラボンは、女性ホルモンと構造が似ているために、女性ホルモン補充療法に見られる、過剰による反応としての乳がんの発生率の上昇と関連付けています。しかしイソフラボンは、女性ホルモンに対しては不足には補充として働き、過剰作用には抑制作用をもつ(アゴニストとアンタゴニスト)というすばらしい働きをもっています。

このような報道のたびに、我々はつねに説明を行い、理解をいただき必要なものは必要な量だけ用いるという姿勢をとっています。

| ひとりごと | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0) |


冬季に増悪するうつ症状
うつ病の症状が冬季に増悪することがあります。
特に11月〜1月に症状が増悪します。

この季節的な変動は病歴が長い方は経験から知っていることもありますし、臨床的に知られているものでもあります。
患者さまによっては、冬季だけ投薬が必要になる方もいらっしゃいます。この傾向は、北欧において良く見られることから日照時間に関係することが指摘されています。

栄養アプローチでは、このような症状の変化をする場合には、ビタミンDを冬季に追加することを行います。
ビタミンDは、体内のコレステロールを原材料で作ることができるビタミンで、従来考えられているよりも多くの機能を有するビタミンです。最近では、その作用が直接的に細胞の核へ張り込んで働くため、ビタミンという概念からはずれて扱うこともあります。
このように、直接的に作用するビタミンですが、紫外線にあたることによって皮下で活性化されるのです。

そのために日照時間が短い冬季には、紫外線の作用が低下するのでビタミンDの活性化が行われなくなってしまいます。以前のクル病という骨の病気が日照時間が短い東北地方に見られたのと同じ理論です。

厚い雲に覆われた、暗い空が続くとだれでも抑うつした気分になりますが、そこにはしっかりと生体の機能面からの説明が可能なのです。

予断ですが、うつ症状を訴えることによって、うつ病と簡単に診断されますが、夕方になるとひどくなる抑うつ症状の場合には、低血糖症によるうつ症状である可能性が高いので、ご自分の症状の変化を観察してみてください。
| うつ病 | 00:30 | comments(1) | trackbacks(0) |


今年の課題
昨日は、日本サプリメント協会主催のサプリメント指導士養成講座の講師として、この治療法の概要を話してきました。
僕の講義の次は、東京女子医大の川嶋先生が統合医療におけるサプリメントの役割について話されました。
川嶋先生は、代替医療の分野では知らない人はいない、まさに超有名なドクターです。外来予約が6ヵ月後までうまていると聞いて、ビックリするやらうらやましいやら・・・。
川嶋先生は、講義の中で代替医療を行っているドクターは、西洋医療の学会でしっかりと発表して主張しないことがいけないと話していました。まさに耳が痛いです。聞く耳をもたない堅物のドクターには話しをしても仕方がないと、これまでの経験から判断していました。そのため、興味を持っていただいたドクター達だけに、勉強会を提供しこの治療法を広めていくことに専念していたからです。

ことしは、9月にカナダに赴きホッファー先生の前で発表を行うことになっています。
僕らの勉強会に参加されているドクターも、大きな学会で発表されることを検討している方もいらっしゃいます。

今年は、これまで治療してきた多くの患者さまの血液検査データの変化をまとめ、その変化にともなう自覚症状の改善や薬剤の減量状況などを、一般の精神科医が参加される学会に発表していこうと思います。
それもこれも、この治療を選択され、ご家族に大きな強力をいただきながら、治療している患者さまの勇気によって動かされたものです。

発表の内容などは、このブログでも紹介していきます。
医師向けの学会ですが、このブログに書いてきたようなことを、ちょっと難しい表現にして発表することになるでしょう。それほど一般のドクターの認識は乏しいのです。

ご意見、ご感想などくださいね。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 21:34 | comments(2) | trackbacks(0) |


コレステロールのついでに
血液検査の結果で正常か異常かを判断するときに参考基準値を参考にします。参考基準値をはずれると、異常と判断されるのです。

この参考基準値の決め方は、実はかなりいい加減です。
特にコレステロールの基準値はひどいものです。現在は、コレステロールの上限を220としています。しかしこの上限値では、日本人の成人の5人に1名は高コレステロール血症になってしまうと言われています。

一方、コレステロールと死亡率の関係を見てみると、日本人ではコレステロールが240〜280が最も長生きするという統計があります。
どうして5人に1名が異常になり、長生きできる数値を治療対象にするような基準値になっているのでしょうか?

多くの項目の基準範囲は、正常な方の95%が含まれるように設定されています。この方法で上限が設定されていれば、コレステロール値220は基準範囲であることに間違いはありません。ではどうして220なのでしょう?それは、コレステロールの基準値をある学会が決めているからなのです。政治のにおいがしますねぁ〜。
しかしこのことを一般のドクターも知らないということが事実なのです。
あまりに常識になっているので、220以上を放置すると罪のような雰囲気があるほどです。
220という値に、それなりの根拠はあるのですが、それは日本人に当てはまる根拠ではないのです。
自分の身体は自分で守りましょう。
| ひとりごと | 23:10 | comments(2) | trackbacks(0) |


低コレステロールと精神症状
低コレステロール血症と精神疾患については、これまで多くの報告があります。
特に有名なのが、低コレステロール血症とうつ病についてです。
また、低コレステロール血症は攻撃性が強くなるという報告もありました。この報告では『低コレステロール血症は、生物学的に見て攻撃性を誘発しやすくなる指標である』とも言っています。
また別の報告では、攻撃性の亢進は、脳内のセロトニン産生が低下するためではないかと考察されています。
統合失調症で自殺企図があるかたに低コレステロール血症が多いという報告もありました。
最近では、学校で問題行動やトラブルを起こし、不登校や停学になってしまう子供に低コレステロール血症が多いという報告がアメリカであります。

当クリニックの患者さまのデータを見ても、コレステロールが非常に低い方が多くいらっしゃいます。栄養療法によって、総合的な栄養状態の改善が得られるとコレステロールが上昇し、その結果として多くの身体症状・精神症状の改善が得られるようになります。

上述した報告は、ひたすらコレステロールが低いのが問題であるかのごとく考察をしているのですが、多くの低血糖症の患者さまの治療をサポートしていると、コレステロールが低い事が問題ではなく、コレステロール合成代謝に関わる生化学的な問題点が問題であると思うのです。

つまり、高コレステロール血症でつかうスタチン系という薬は、コレステロール合成の律速段階である反応に関係するHMG-CoA還元酵素という酵素の働きを阻害します。その結果コレステロールの生合成を抑制して、血液中のコレステロールを下げる働きを出します。

このHMG-CoA還元酵素は、その酵素活性を脂肪負荷で亢進し、飢餓状態で抑制します。つまり血糖が低い状態では、この酵素の活性が強く低下してしまいコレステロール合成を阻害するのです。
しかし低血糖症の患者さまの場合には、飢餓で血糖値が低いのではなく、インスリンの分泌によって血糖値が下がるので、太っているのにコレステロールが低いという状況になるのです。

つまり、問題行動をおこす低血糖症のこどもたち、攻撃性が亢進している低コレステロール血症の方、自殺企図が亢進しているしている統合失調症の患者さま・・・・。
多くの報告は、低血糖症がバックにあるのではないかと、想像するのは自然な事だと思います。
| うつ病 | 18:02 | comments(0) | trackbacks(0) |


オリンピックですね
オリンピックです。毎日アスリートが自分のパフォーマンスを100%発揮する姿を見せてくれています。
どうも歳をとったせいでしょうか?がんばっている人を見るだけで感動してしまいます。

クリニックでは、いろいろな症状でお困りの方だけでなく、自分の健康状態をもっと良好なレベルにしたいとお考えの方もいらっしゃいます。そんな中で、数名のトップアスリートの方の栄養管理をしています。
前回の夏のオリンピックに出場された方や、代表選考でもれた方などもいらっしゃいます。

いつも思うのですが、トップアスリートの方は、その努力も大変なものなのでしょうが、才能の占める割合が高いのではないでしょうか?
というのも、世界レベルのパフォーマンスをしているからと言って、栄養状態が良好なのかというと、決してそんなことがないからなのです。はっきり言って、血液検査データだけで言えば、今まで見たどのトップアスリートよりも僕の方が良好なデータなのです。

先日、外国で合宿している選手にメールで様子を伺いました。
その選手は、当クリニックで栄養管理をする前から世界のトップレベルで戦ってきた人です。
クリニックの検査データは、散々たるものでした。よく世界レベルで戦う厳しい練習をしてきたものだと、つくづく感心したものです。その選手も、国立なんとか研究所で、採血を行いチェックを受けていると言っていました。参考基準値だけを根拠に検査データを読むと、問題なしになっていたのでしょう。僕らとは比べ物にならない運動量を行いながら、筋肉を良好な状態に保つためには、多くの項目は参考基準値から外れなければなりません。

当然ですが、処方されるサプリメントは、膨大な量でした。きっと海外遠征の荷物の大半をサプリメントが占めたのではないでしょうか?

様子を伺ったメールの返信は、大変うれしいものでした。
今までの身体とは全く違う感覚だそうです。
特にタイムを競う競技の選手なので、自分の感覚とタイムの変化で効果を実感してくれることでしょう。

アメリカのオリンピックチームには、”最後の1秒は栄養で決まる”という格言があるそうです。
極限状態のパフォーマンスですので、根性だけじゃないですよね。
| ひとりごと | 08:47 | comments(0) | trackbacks(0) |


パニック発作と学習
梅干を見るとつばが出てきます。ところが、ハチミツで漬けた梅干(これが美味しいのですが・・)であると知っている梅干であれば、すっぱさを想像したつばは出てきません。
見えるものと見えないものや、現実にあるものと解釈によるものについて、これまで何回かお伝えしてきました。

パニック障害と診断される方は、決まった環境に行くとパニック発作が生じることを症状として訴えられれます。
たとえ、糖負荷検査においてパニック発作が誘発されるような場合においても、外出時に発作が起こりやすいために外出を控えてしまったり、電車で発作が起こりやすいので、電車に乗れなかったりします。

低血糖症によるパニック障害であるために、治療によってとてもよくなっても、苦手な状況では『また起こったらどうしよう!!』という感情が出てきて、実際に症状が起こる方も多いのです。
苦手な環境が、すぐにハチミツ梅干のように反応を起こさない状況になるには、どうしてもトライアンドエラーが必要になります。

これまで治療してきた患者さまで、どうしても自動ドアを開けてスーパーに入れないという症状が残った方がいらっしゃいました。主婦の方なので、これは大変困った症状でした。自分は車で待っていて、ご家族に買い物を頼むとか、商店街の八百屋さんやお肉屋さんで、一軒一軒買い物をするとか・・・、日常生活には支障が無いのですが、どうしてもスーパーに入れません。
その患者さまは、栄養療法によって投薬が全て不要になり、パニック発作も起こさず、抑うつ感情に襲われることもなくなっていたので、お守りに薬を財布に入れ、勇気をもってスーパーに入ることにしました。そのときに頼りになったのは、幼稚園の娘さんでした。
小さい手をぎゅっとつないで、スーパーの自動ドアの前に立ち、幼稚園の娘さんに手を引かれながらスーパーに入っていったのでした。
この方法を何度か繰り返し、そして娘さんがそばにいてくれるだけで大丈夫であることを確認し、最近では一人でスーパーで買い物を楽しむことができるようになっています。

投薬が不要になってから、この患者さまのように生活環境を広げるときには、大小・高低様々なハードルが待っています。それらのハードルを越えていかなくては、本当の治療終了にはなりません。
しかし、この分野では栄養は脇役になり、治療の主役は自分をサポートしてくれる家族であったり、多くは自分自身になります。
人間関係、苦手な状況・・・人は毎日多くのストレスにさらされます。抗ストレスホルモンを充分に作れる環境は栄養アプローチにお任せください。そして、ハードルを実際にまたぐのは、患者さま本人になるのです。

この分野になると、バトンタッチですね。セルフサポートコーチングという分野の専門家である奥田弘美先生の出番です。
奥田弘美先生は、小さいお子さんの子育て、八重洲での診療、執筆、講演という、超多忙な精神科医です。
一人でも多くの患者さまが、自分自身をコーチする能力を身につけ、日常生活で生き生きといることができる。そんな治療のゴールを設定してがんばっています。
| パニック障害 | 18:01 | comments(0) | trackbacks(0) |


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