うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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摂食障害と亜鉛欠乏について
表面に出てくる精神症状によって、『うつ病』『パニック障害』『統合失調症』などの精神疾患へ診断が下されます。

これらの病名がついた方の多くに、ある特定の食べ物などを過度に摂取するような症状を認めます。
もちろんこのような症状の背景に血糖調節異常である低血糖症があることについて、このブログをお読みの方には予想がつくことと思います。本日の問題は、なぜ血糖調節が上手く行かなくなっているかということです。

ここに本日のタイトルにある亜鉛が登場してきます。

亜鉛は、インスリンの生合成と分泌という過程の全てに深く関与するミネラルです。
インスリンは唯一の血糖値を下げる作用をもつ重要なホルモンです。糖尿病の方で、インスリンを自分で皮下に注射しなくてはならないことをご存知の方もいらっしゃると思います。亜鉛はこのように唯一血糖低下作用を持つホルモンに深く関与するのです。

特に問題になるのは、亜鉛が不足すると血糖上昇に対してインスリンの分泌が遅れてしまうということです。この変化は、十分なグリコーゲンの貯蔵を妨げるだけでなく、遅延分泌によるインスリンによって反応性の低血糖を招く原因になるからです。
そして反応性に低下してしまった血糖値は、グリコーゲンの貯蔵不足のために血糖を維持することが困難になり、様々な血糖上昇作用をもつホルモンの分泌が促されます。

これらの血糖上昇作用をもつホルモンの多くは、自律神経における交感神経を刺激して様々な身体症状や精神書状を引き起こすようになるのです。
この身体症状や精神症状を表面的にとらえた結果、前面に出てくる症状によって、『うつ病』『統合失調症』『パニック障害』『自律神経失調症』ときに『狭心症』『偏頭痛』『メニエール症候群』・・・・・などと診断されてしまうのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:48 | comments(0) | trackbacks(0) |


最近の治験とやらについて
まだ大学病院に勤務していたころ、発売前の新しい薬剤の治験というものをよくおこないました。
もちろん、患者さまで使う段階ですので、その前までに安全性はある程度確認されているわけですが、当然新しい薬で治療する患者さは、厳しい基準で選んでいました。

ところが最近は新しい薬の治験が変わってきているようです。
土曜日の新聞広告に、偶然かもしれませんが、2つの薬剤メーカーからの新薬の治験へのお知らせが入っていました。メーカーとすれば、広く一般広告と混ぜることが大きな宣伝効果にもつながると判断していることでしょう。

1つはうつ病の新薬への治験協力、もう1つは、むずむず脚症候群というものへの新薬の治験広告でした。

それぞれの広告には、うつ病とむずむず脚症候群の症状からおこなうチェックリストが示されてありました。
うつ病のチェック項目は10項目中4項目以上で、お電話ください。
むずむず脚症候群は、4項目が示されており1つでも該当すれば参加できます。

というものです。
これは、安易にうつ病とむずむず脚症候群を増やすだけのように思います。

このブログでも繰り返しお伝えしましたが、代謝の異常はうつ症状の原因になります。甲状腺機能低下症という代謝異常にとても高率にうつ病が合併することからも分かります。
またむずむず脚症候群については、以前から鉄欠乏との関係や、ビタミンB群との関係についてが知られています。また脳内の鉄欠乏がむずむず脚症候群を呈するということも報告されています。

症状だけから判断してしまうと、不足している鉄やビタミンBを補うという簡単で根本的な治療を受ける機会を失うことにつながるのです。
しかし、鉄欠乏やビタミンB群の欠乏を、多くの医師が正しく評価できないという問題も医療サイドにはあるのです。
| ひとりごと | 22:25 | comments(4) | trackbacks(0) |


脳梗塞後の精神障害
本日ご紹介する患者さまの経過は、新宿でも八重洲でもない、一般の病院に勤めている脳外科の先生の患者さまの経過です。

脳梗塞後の後遺症には、運動障害をもたらす麻痺や、上手に話しをすることができなくなる構語障害などがあります。
あまり頻度は多くないのですが、脳梗塞後に性格が変わってしまった・・・と聞くことがあります。特に、乱暴な言葉を使うようになったり、少しのことで激しく怒りを表現するようになることがあります。このような変化からも、乱暴さや怒りというものが、性格だけではなく、脳の機能によって起こる現象(症状)であることが分かると思います。

以下は、脳外科の先生からご報告いただいた経過の要約です。

月曜からナイアシンを投与し始めた脳梗塞後の器質性精神障害の患者さんが他の患者さんと一緒にテーブルについてかなりの時間座っていれるようになってきました。今までは独語、幻覚などでずっとベットに寝たまま、食事もままならず話しかけると険しい顔で威圧的でした。これからはリハビリを再開してくれることを期待しています。
今までしようがないと思われてきた患者さんが改善していかれるのは非常にうれしいですよね。医者をやっていて良かったと思う瞬間です。

この先生は、分子整合医学の勉強会へ参加し始めたばかりのドクターです。
患者さまやご家族の立場に立ったとき、また医師として満足した治療効果がえられないとき、この治療法は、患者さまへ薬剤のような副作用を心配することなく試みることができるものです。
栄養素などが、薬で治らない症状を改善させるはずがないという立場では、この患者さまのような治療経過を得ることができませんでした。
大きな病院で、この治療を試みられた勇気を心から承認します。

また今回のご報告では、通常僕が用いているナイアシンの投与量よりも、ずっと少ない量で効果が得られていました。これもまた自分にとっては、新しい発見でした。
この治療の奥の深さを物語るものでした。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:14 | comments(0) | trackbacks(0) |


心と体の関係・・・・
心と体の関係については、科学的な証拠というものはないのですが、本日紹介する患者さまの経過は、その1つの側面を教えてくれると思います。

本日、電話でカウンセリングした患者さまは、65歳の女性です。
相談いただいた症状は、うつ病、偏頭痛、関節の痛み、皮膚の湿疹やかゆみ・・・・

新宿のクリニックで治療を始めてちょうど1年になりました。遠方の患者さまなので、お電話で数回話しただけで直接お会いしたことはありません。しかしいつも思いますが、電話でも変化を感じることができるのです。

今日のお電話の内容を断片的にお伝えします。
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大分痛みが楽になってきました。
本当に前の痛さのひどさや辛さがなくなってきました。

湿疹や身体の痒みがなくなりました。ポリポリかいていたし、ブツブツ
なども99%ぐらいできなくなりました。

目の痛み、特に目の奥が疲れて痛んでいたのですが、それらの痛み
も楽になり、目の使いすぎで時々痛い程度です。

とにかく痛みで苦しみ眠れずにいたような症状がなくなりました。
関節の症状も緩和し、正座も知らないうちにできるようになり、整形外科で
変形によるもと言われたものが違っていたのではと思います。

ズキンズキンという吐き気を伴う強い頭痛もとても良くなっています。

気分的には、少しの症状があってもこの程度かとすごせるようになりました。

食事も注意していて、味覚が変りました。外食や売っている惣菜が食べられ
なくなりました。
いままでの味と違うもののようになりました。田舎なので地のものを野菜でも
なんでも違いが分かるようになりました。
果物も美味しさが良く分かる。

身体が歩いても疲れない。お通じがとても良くなりました。

この2ヶ月は、何回か軽いパニック発作を繰り返していました。
それでも、大きな発作にならず、こんなものかと思えるようになりました。

自分の年齢でもこのように良くなるのだと思いました。
70歳にかけてみようと思い、この感情は身体が元気になったから出てきた意欲だと思います。
しわが無いのです。これは自慢なのです

足の裏がピリピリしていたのですが、それも全くなくなりました。

こんな治療があったのかと、本当に驚きました。
いろいろな食材を意識して食べるようになりました。
あっ、時間ですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このように、これまでの変化を伝えてくれました。
以前の電話カウンセリングでは、次のようなコメントもいただいていました。

『心療内科では心の問題と言われていた・・・体が楽になるということの大切さが
分かりました。』

うつ病の方は、5年後である70歳の自分の姿を、より良いものにしようとは思いませんよね。
いろいろなことを教えていただいた電話カウンセリングでした。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:28 | comments(0) | trackbacks(0) |


痙攣(てんかん)発作とビタミンB6欠乏
この治療をしていると、従来の常識的な解釈や治療が???と思うことがたびたびあります。
その中でも代表的な疾患が”痙攣”であり”てんかん(癲癇)”です。

突然の意識消失を主な症状とするため、その症状が与える不安や恐れなどから、抗癲癇薬、抗痙攣剤を長期間服用することになってしまいます。

これらの抗痙攣剤や抗癲癇薬の多くは、脳内のGABA受容体に結合して作用することが知られており、脳内のGABAの作用を向上させることが病態の改善につながることが知られています。(しかし通常は投薬オンリーですが)

どこの医療機関を受診しても痙攣発作のコントロールが困難であり、痙攣発作を繰り返していた19歳の女性の患者さまが来院されました。脳波でも、スパイク(痙攣の波)があり、当然のごとく抗痙攣剤を服用していました。(発作は出ていましたが・・)

その患者さまの血液検査データは、とても重度のビタミンB6欠乏を示していました。その他の所見とをあわせて、総合的な栄養アプローチを行いました。
その結果、痙攣発作は消失し、主治医の先生から脳波もきれいになったことを伝えられました。
これまでのブログでもビタミンB6の神経伝達物質の脳内での生合成の重要性についてお伝えしましたが、痙攣を抑制する作用を有するGABAもその一つです。
脳内でグルタミン酸を材料とし、ビタミンB6の作用を介してGABAが合成されるのです。

このことを本日のブログで紹介しようと考えて辻堂で診察をしていました。
何年間もこの治療を継続している、20歳代の女性が来院されたのですが、このところ治まっていた痙攣発作が、再燃しているということでした。
検査データで、多くの項目が改善傾向にあり、症状もとても落ち着いていたので、ビタミンBコンプレックスを処方していなかったのです。
話を伺うと、ここのところ睡眠中の夢を頻繁に見るようになり、しかも悪夢が増えてきていたとの事です。
科学的でない根拠の診断はいろいろと言われるかもしれませんが、夢が増えたり悪夢が増えたりするのは、ビタミンBの欠乏症状であることがほとんどです。

定期的に外来を受診されていた患者さまですが、夢のことを聞いていなかったことが失敗でした!!
今日の処方は、抗痙攣剤ではなく、ビタミンB群の大量投与とグルタミンの補充となりました。

予防的と言われて、長期間にわたり抗痙攣剤(抗癲癇薬)を服用することは大きな問題を含んでいる治療だと思っています。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 17:36 | comments(14) | trackbacks(0) |


ホッファー先生からのメール
先月のカナダ訪問から、ホッファー先生とのメールのやり取りが増えました。

最近は、Dr Mizoguchi から、Toru に呼び方が変わり、ホッファー先生をアイドルとする僕とすると、天にも昇る光栄さを感じています。 Abram と呼んでいいですか?と返信すると、長年の友だちだからもちろんOKだよと返信をいただきました。
実際に会って、 Hi, Abram ! と、とても言える気はしませんが・・・・。

今回は、最近経験した統合失調症の患者さまの治療経過について報告し、その解釈や感想などを伝えました。また先週の土日に行った医師向けの勉強会の様子も併せて伝えました。

メールには統合失調症の患者さまへのナイアシンの投与に関する見解を伝えたのですが、ホッファー先生からの返信は想像の範囲を超えるものでした。
メールの文面からは、90歳になった今でも、果敢に新しい治療法を試みる姿勢と、その治療経過や結果について、常に科学的検証を行う姿勢を感じるものでした。

そして今日は嬉しいメールをいただきました。
それは、以前僕の勉強会へ参加してくれた大学病院の精神科へ勤務している医師からのものでした。
薬剤の増量ではコントロールが無理と判断された患者さまへ、大学病院にも関わらずナイアシンを使用したというのです。もちろん患者さまとご家族へは十分な説明を行い、選択していただいたそうですが、大学病院で実行するなんて、すごい勇気だと思いました。

激しい症状を呈していた患者さまは、見事に症状が落ち着き、病棟の看護婦さんも驚いたそうです。そして無事に退院されたということでした。
やはり世の中を変えるのは女性のパワーでしょうか?!

本日は、盛りだくさんで、お知らせ2件です。
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新宿溝口クリニック内 講演会

10月28日(土) 15:30-17:30 『成長期の子供の健康と栄養』
   〜受験の為の必勝栄養とは? 中・高生のスポーツと栄養

 講 師 : 定 真理子 チーフカウンセラー
受験対策の栄養とスポーツをがんばる子供達への栄養対策です。受験に勝つ為には、塾や勉強時間や本人のやる気だけでは勝てません。頭脳疲労をいかに取るか、集中力と記憶力は脳の栄養に深く関係しています。
中学、高校生のスポーツ選手を目指すような子供達への栄養対策は、かなり現場で立ち遅れています。燃えつき症候群(急にやる気がなくなる、怪我が多くなる)にならない為に、怪我も無くスポーツを楽しめるように、そして将来の日本を代表する選手に育つためには、どのような食事や栄養対策が必要なのでしょうか?


11月25日(土) 15:30-17:30 『貧血の改善アプローチ』
  〜成長期の子供の(男の子・女の子場合)鉄欠乏性貧血とは?
     〜妊娠中・授乳中(乳児の為の)の貧血対策とは?
 講 師 : 定 真理子 チーフカウンセラー

受講参加お申し込みはお電話、またはクリニックHPのお申込みフォームよりどうぞ!

TEL:03−3350−8988
H P:http://www.shinjuku-clinic.jp/
| 統合失調症 | 23:27 | comments(1) | trackbacks(0) |


低髄圧症候群とは・・・
NHKのテレビと、朝日新聞などで連日報道されている疾患があります。
それは低髄圧症候群(低髄液圧症候群)と言うものです。
これは、むち打ち症などの原因のひとつであったり、原因不明の頭痛、首の痛み、めまいなどの多くの不定愁訴に関係すると言われています。

正しい診断には、この病気を詳しく理解している医師の画像診断が必要になります。

新宿のクリニックでも、激しい疲労感、頭痛、背部痛などを訴えられていた患者さまに、この診断を下された方がいました。
座っていても、立っていても、一定時間が経過すると疲労感などの症状が生じるために、日常生活にも大きな支障が生じていました。

この疾患は、脳脊髄液が漏れてしまうことが原因で、特殊な注射によってブラッドパッチという治療法があります。ところが、このブラッドパッチを行っても改善する人と、改善しない方がいらっしゃいます。

この患者さまも低髄圧症候群の治療のために、ブラッドパッチを目的に医療機関を受診したのですが、その受診先の医師のするどい一言によって治療を受けないことを選択されました。
   『栄養状態が悪いとブラッドパッチは効かない!』

僕はこの医師のコメントを聞いて、
  ”こんな素晴らしい認識をされるドクターがいるのか!!”
と驚いた記憶があります。

結局、この医師の勧めでブラッドパッチを受けないことを選択し、栄養療法に専念することになりました。
その患者さまが、先日新宿のクリニックをたずねてくれました。
約2年前に地方に講演しにいったときに、お会いした時の印象とは全く異なる、別人のように元気そうで、生き生きとした印象でした。

今回も、お仕事の都合で関東地方へ出張だったため、そのついでに新宿へ来られたのです!!
強い疲労感のために外出もできなかった方が、ついでに新宿をおとずれてくれたのです。しかも5時間糖負荷検査を受け、その後に八重洲奥田先生の講演会まで参加されたそうです。

さすがにお帰りになった後には、疲労感を感じられたのではないかと思いますが、それは僕でも疲れたと思う程の予定です。

こんな可能性も含んでいる素晴らしい治療法なのです。


| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0) |


赤ちゃんのアトピーへの対策
ドクター向け勉強会

昨日と本日の2日間にわたりドクター向けの分子整合医学の勉強会が開かれました。
新宿溝口クリニックの主催で、講師には僕の師匠にあたる金子先生をはじめ、鶴先生、内野先生をお招きしました。

今回は、約40名のドクターが参加され、2日間にわたりとても熱心にこの治療法を勉強されています。3回シリーズの2回目になりますが、今回からの参加のドクターも多くなりました。初参加のドクターたちは、既に参加されていた医師からの紹介が多く、これは主催する側とすると、とても嬉しいものです。

土曜日は、夜の10時まで勉強が続きました。まさに合宿ののりです。
夕食後の8時からの2時間は、既に栄養療法を取り入れているドクターの発表を中心におこないました。
その中に、大阪のたにまちクリニックの鈴木先生の発表がありました。
アトピー性皮膚炎と診断された3ヶ月の乳児に対する栄養アプローチについてでした。
3ヶ月の乳児にどのように栄養素を飲んでもらうか・・・・鈴木先生は、お母様の血液検査を行い、お母様へ栄養素を処方して母乳を通して赤ちゃんへ栄養アプローチすることを試みたのです。

発表では、お母様の検査データが紹介されました。
通常行われる基準値では、特に問題が指摘されないデータでしたが、栄養面から評価すると、多くの問題点が指摘されるものでした。
赤ちゃんは、生まれたときには栄養面では不完全な状態で生まれます。お母さんの栄養十分な母乳によって、その不完全さを満たすのです。
出生時に不完全な状態の代表は、亜鉛です。生後2〜3ヶ月は、最も亜鉛不足が起こりやすい時期になります。このときに、初乳に十分な亜鉛が含まれないと、多くの確立で亜鉛不足になってしまうのです。

赤ちゃんは、頬、体、腕、下肢に赤く小さい水泡を伴う激しい皮膚症状を呈していましたが、数ヶ月のお母様の栄養アプローチによって、大福もちのような白いツルツルの皮膚に改善していました。

多くの場合には、お母様のタンパク除去が行われ、さらに質の低下した母乳になってしまったり、授乳を禁止されたりしてしまいます。
授乳というとても大切な作業を続け、しかも母子ともに健康になっていった、とても素晴らしい報告を聞くことができました。
赤ちゃんの両親だけでなく、おばあちゃん、そしてひいおばあさままでクリニックにいらして感謝されたということです。

この治療を行ってくれる医師たちが、少しずつですが増えてきているのです。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 14:54 | comments(0) | trackbacks(0) |


ホッファー先生の仮説
分子整合医学の基礎を作り、現在もこの分野の権威として知られているのが、カナダのエブラム・ホッファー先生です。

ブログでも紹介しましたが、先月カナダへ行きホッファー先生と再開してきました。
その後、何回かメールのやり取りも行って現在も親交を深めています。

9月の学会の報告では、ホッファー先生の仮説について簡単に紹介しました。
それは、
 『ヒトは進化の過程で、ナイアシンを自分の身体で合成する能力が低下した』
と言うものです。
私たちは、動物性タン白質に多く含まれるトリプトファンというアミノ酸から、自分の体内でナイアシンを合成することができるのですが、その変換率はとても低いことが知られており、ナイアシンは食材から補給しなくてはならない重要な栄養素なのです。

ホッファー先生は大変興味深い話をされていました。
それは1800年代から文献的に統合失調症と言う病態が紹介されはじめるそうですが、その時代はヨーロッパなどの先進国では、食材の精白技術が急速に進歩したというものです。

ヒトは進化の過程でナイアシンを合成する能力が低下し、食材に含まれるナイアシンに依存しなくてはならない状態になっているにも関わらず、食材をどんどん精白する技術が進み、食材に含まれるナイアシンの量が減ったことが、統合失調症の原因になったのではないかということです。

ビタミンCも人間の進化の過程で合成する能力を失った栄養素であるということをお伝えしました。ビタミンCは、私たちの体のなかで酸化防止の作用を水素を供与することによって発揮しています。
少しニュアンスは異なるのですが、ナイアシンは私たちの体の中で、ある物質から水素を除く反応に関係しています。
水素イオンのやりとりは生体にとってとても重要で基本的な反応にも関わらず、どうして私たちは進化の過程でその合成能を低下させたり失ったりしたのでしょう?どうして食材からの供給に任せたのでしょう?食物連鎖で最も上位に居ることがそのりゆうかもしれませんが、我々人間はその優位な地位を、精製技術というもので失ってしまったのかもしれません。これらの話は、不思議で興味深いところです。

このような話をすると、それではどうして統合失調症になる人と、ならない人がいるのでしょうか?

という質問を感じられると思いますし、それを仮説の反論として声高に叫ばれる方もいらっしゃいます。
その理由は、遺伝的な個人の代謝の違いや、遺伝に関係ない個人差というものがその理由になるでしょう。

ホッファー先生は、統合失調症の遺伝子的な話もされていました。
その内容もとても興味深いものなので、またあらためてご紹介します。
| 統合失調症 | 12:58 | comments(0) | trackbacks(0) |


本日のデータ解析の患者さま
昨年の10月から新宿のクリニックで治療をされている患者さまについてです。

30歳代の女性で、診断は統合失調症でした。
すでに多くの薬を処方されていました。電話での会話は、ほとんど困難。
以前のカルテの記載をみると、ほぼ四六時中幻聴や幻覚に悩まされている状態が書かれています。
幻聴の内容は、
『この世界は間違った世界で、死んだ方がまし。
       ここにいる間は気が狂っているのが本当の姿』

と言う内容が多かったようです。
新宿のクリニックで栄養アプローチを始めた当時は症状が増悪傾向で、栄養療法を始めた当時も主治医から抗精神病薬が倍量に増量され、激しい副作用で困ったような時期もありました。
3ヵ月後の電話でのカウンセリングでも、症状は特に変わりなく、幻聴は常に聞こえ内容もほとんど変化がありません。

4ヶ月後のご家族から、常に『ゴメンナサイ、ゴメンナサイ』とおそらく幻聴に言っていた言葉が減ってきていると変化が報告されています。

6ヵ月後、それまで昼間もほとんどゴロゴロし寝ていることが多かったが、外に出て散歩をするようになってきた。プールにも状態を見て行きだしている。

9ヵ月後、プールまで自分で電車を使ってかよう。幻聴は残っているが、短くなり、それを放置することができるようになった。
主治医からは、この病気は年単位で評価すると言われていたが、明らかな改善傾向を診て、月単位で評価しましょうと言われる。減薬が進む。

そして1年後です。
幻聴は全く聞こえない。
週に3〜4回はプールに通う。自分からサプリメントを摂取している。
勉強をしたいという意欲がでてきている。家事の手伝いを積極的に行う。

この期間に合計3回の血液検査を行いました。
そして本日、検査データのレポートを書きました。すばらしいデータの改善でした。
糖質、脂質、タン白質などの基本的な栄養素の代謝が著しく改善しています。
ビタミンB群のバランスも良好になってきました。

このレポートを送って、ご本人やご家族とカウンセリングをするのが楽しみです。
| 統合失調症 | 22:35 | comments(2) | trackbacks(0) |


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