2007.07.31 Tuesday
45歳の未治療の患者さん
統合失調症と診断され、その後20年以上も未治療ですごされてきた45歳の息子さんについて紹介しました。
先週は、天気の悪い水曜日の午後の診療でした。クリニックも空いていたので、お母さんから息子さんについて話を聞いていました。さばさばしたお母さんです。深刻な話もどこかユーモラスに聞こえます。
息子さんはとにかく食べ物に信じられないほどのこだわりを持っているそうでした。
つい先日、
『鯉が食いたい!』
言い出したら聞かない。
自分で電話帳を調べ、電車やバスを乗り継いで藤沢の隣の大和市にある鯉料理を出す料理屋を訪れたそうです。
息子さんは料理に出てきた鯉の洗いを自宅に持ち帰り、鮮度が落ちているので塩焼きにして冷蔵庫へ入れていました。あとから食べようと思ってのことです。
お母さんは、冷蔵庫を開けると白身魚の塩焼きがラップに包まっている。
自分の夕飯の一品として食べてしまいました。不味いカマスの塩焼きだと思ったそうです。
大切な鯉の塩焼きを食べられてしまった息子さんは烈火のごとく怒り、すぐに鯉料理を食わせろと引かない。その時すでに21時をまわっていました。
別に暮らしている長男へ頼み、インターネットで鯉料理を宅配してくれる業者をさがしてもらいました。
怒り狂う息子さんの前で、夜の9時過ぎに新潟の鯉料理屋さんへ電話すると、奇跡的に電話に出てくれたそうです。
そこで、鯉料理の数品を宅配で送ってもらう手続きをして、どうにか息子さんの怒りを抑えたのでした。
『それがね、先生。私はこの年になって始めて鯉の甘露煮を食べたのですが、本当に美味しいものですねぇ〜』
このようなことで、結構美味しいものを食べに連れて行かれるそうです。もちろんお金はお母さんもちですが・・。
地図を見ることが大好きな息子さんは、”○○へ行く”と言い出すとそれも引かないそうです。そんなことで、ずいぶんの日本中を旅されたそうです。
ただこのお母さまの悩みは、自分が面倒を見れなくなったときのことです。
それは、他の多くのお父さまお母さまに共通する問題です。
九州で始まる、患者さんの住居、職場、病院が1つの地域に集まって患者さんの自立を目指すプロジェクトの成功を祈るばかりです。
身体障害、発達障害などと同様に、精神障害という概念が成り立ち地域や行政が取り組むことが可能になるべきだと思います。
先週は、天気の悪い水曜日の午後の診療でした。クリニックも空いていたので、お母さんから息子さんについて話を聞いていました。さばさばしたお母さんです。深刻な話もどこかユーモラスに聞こえます。
息子さんはとにかく食べ物に信じられないほどのこだわりを持っているそうでした。
つい先日、
『鯉が食いたい!』
言い出したら聞かない。
自分で電話帳を調べ、電車やバスを乗り継いで藤沢の隣の大和市にある鯉料理を出す料理屋を訪れたそうです。
息子さんは料理に出てきた鯉の洗いを自宅に持ち帰り、鮮度が落ちているので塩焼きにして冷蔵庫へ入れていました。あとから食べようと思ってのことです。
お母さんは、冷蔵庫を開けると白身魚の塩焼きがラップに包まっている。
自分の夕飯の一品として食べてしまいました。不味いカマスの塩焼きだと思ったそうです。
大切な鯉の塩焼きを食べられてしまった息子さんは烈火のごとく怒り、すぐに鯉料理を食わせろと引かない。その時すでに21時をまわっていました。
別に暮らしている長男へ頼み、インターネットで鯉料理を宅配してくれる業者をさがしてもらいました。
怒り狂う息子さんの前で、夜の9時過ぎに新潟の鯉料理屋さんへ電話すると、奇跡的に電話に出てくれたそうです。
そこで、鯉料理の数品を宅配で送ってもらう手続きをして、どうにか息子さんの怒りを抑えたのでした。
『それがね、先生。私はこの年になって始めて鯉の甘露煮を食べたのですが、本当に美味しいものですねぇ〜』
このようなことで、結構美味しいものを食べに連れて行かれるそうです。もちろんお金はお母さんもちですが・・。
地図を見ることが大好きな息子さんは、”○○へ行く”と言い出すとそれも引かないそうです。そんなことで、ずいぶんの日本中を旅されたそうです。
ただこのお母さまの悩みは、自分が面倒を見れなくなったときのことです。
それは、他の多くのお父さまお母さまに共通する問題です。
九州で始まる、患者さんの住居、職場、病院が1つの地域に集まって患者さんの自立を目指すプロジェクトの成功を祈るばかりです。
身体障害、発達障害などと同様に、精神障害という概念が成り立ち地域や行政が取り組むことが可能になるべきだと思います。