2007.11.30 Friday
暴力性とコレステロールと低血糖と・・・
JUGEMテーマ:健康
今日は栄養療法を始めて4ヶ月が経過した30歳代の男性の患者さんを紹介します。
新宿のクリニックを訪れてくれる前にも多くの医療機関を受診され、大学病院の自然療法外来にもかかられていました。
そして4ヶ月前に分子整合医学的なアプローチを行なっている新宿のクリニックを受診してくれたのです。
受診時の症状は・・・
・さっきまで普通だったのに急に怒り出す
・そのときには顔つきも変化してしまう
・強い疲労感
・集中力がない
・時に抑うつ感
初診時の血液検査では、栄養面での解釈には多くの問題点がありましたが、特に気になったのがコレステロールの低さでした。
このブログでもコレステロールの重要性には何回もお伝えしましたが、多くの精神症状と関係します。
脳神経には全身に存在するコレステロールの1/4が存在するほど多くのコレステロールが必要です。そして血液中のコレステロールは脳神経へ運ばれないので、脳神経細胞でコレステロールを合成しなくてはなりません。
そのときにコレステロールの材料になるのが、細胞内のグルコース(ブドウ糖)になります。ここで注意していただきたいのが、必要なのは細胞内にあるブドウ糖であり血液中のブドウ糖ではないということです。
この患者さんの糖負荷検査は、糖尿病と診断されてしまうような高血糖を示しました。しかし血糖曲線は細胞内へブドウ糖が運ばれていない状況を想像させるものでした。
食事の変更とサプリメントによる栄養療法は、細胞の中へスムーズにブドウ糖が取り込まれるようにすることになりました。
その結果とした血液検査では、4ヵ月後にはきれいにコレステロールの値がバランスよく上昇しました。 右が初診時で、左が4ヵ月後のデータです。
総コレステロール (mg/dl) 225 159
HDL-コレステロール (mg/dl) 79 52
中性脂肪 (mg/dl) 96 119
本日のカウンセリングでは、お父様がホッとした表情でおはなししてくれました。
『一時は、突然怒りだし暴れることがあり、妻も理解できず仮病なのじゃないかと話ていました。ホトホト困っていたので、安定したことは本当に良かったです。』
初診時と比較して明らかに穏やかに落ち着いた印象の患者さんが座っていました。
低コレステロールと攻撃性の亢進、打つ症状、自殺の増加・・・さまざまな精神症状との関係が指摘されています。
しかし、安定した血糖値がコレステロールの合成に必要不可欠であることは知られていません。低血糖症は、血糖値が低いことを示すのではなく、血糖値が安定した曲線を示せないと言うことが病態の本質です。
低血糖症の治療がスムーズにコレステロールの上昇をもたらし、結果として問題となっていた突発的な攻撃性の亢進が改善した患者さんの経過をお知らせしました。