2008.03.27 Thursday
脳の保護
JUGEMテーマ:健康
このブログで紹介している栄養療法は、分子整合医学という考え方に基づいている治療法です。この分子整合という言葉が、この世に誕生したのは、下記の論文のタイトルにある『Orthomolecular』という造語からでした。
この論文は、ノーベル賞を個人で2回受賞したライナス・ポーリング博士によって1968年にサイエンスという科学雑誌に掲載されたものです。
がんのブログでも紹介していますが、ライナス・ポーリングは近年になり再評価され大規模な臨床的な試験も行われています。
The functioning of the brain is affected by the molecular concentrations of many substances that are normally present in the brain. The optimal concentrations of these substances for a person may differ greatly from the concentrations provided by his normal diet and genetic machinery.
『ヒトの脳における脳内物質の至適濃度は、日常の食事や遺伝子に制御されている生合成では得られない』
Pouling L :Orthomolecular Psychiatry, Science160;265–271,1968
さてかなりの意訳を載せましたが、ポイントになることは、人の脳の機能を正常化あるいは向上させるには、脳内にあるべき物質があるべき濃度で存在しなくてはならないということです。
そして脳内への物質の移動は、基本的に血液を介して行われます。
血液中の物質は、全て食べ物から吸収されたものと言っても良いでしょう。
そして血液中の物質が、何の制限無く脳へ移動してしまっては、脳に混乱が起こるために、血液脳関門という関所のようなものが存在し、脳に必要な物質だけを、精密なメカニズムを介して脳内へ移動させます。
つまり入りにくいと言うことになります。
しかし、その血液脳関門は、私たち人間の遺伝子の制御によって構成されるものです。
つまり私たち人間が古代から引き継いできた情報によって制御されているのです。
そのため血液脳関門によって制御されている物質は、基本的に古代から存在するもの・・・つまり自然界に存在するものに限られるのです。
ここ数年〜数十年の期間に作り出された化学合成の薬については、血液脳関門の関所の機能が働かず、ダイレクトに脳へ作用してしまいます。
そのためある意味切れ味が鋭いともいえるし、効果があるとも言えるかも知れません。
しかし、そこには不安を感じるのも自然な反応かもしれません。
そして脳の機能を正常化し、向上させるためには、必要な物質(自然界に存在している)が必要な濃度で存在しなくてはならないという偉大な科学者であるポーリングの考え方からは、化学療法というものが大きく異なるアプローチであるとも言えるでしょう。
来月末には、この分野の世界的な権威であるホッファー先生とお会いします。
90歳を超えて多少足が不自由になられているようですが、メールの文面からはとてもお元気だることが伺えました。
今回は、光栄にもご自宅へご招待いただきました。
どんな話を聞くことができるか??
そしてどんな報告をしようか・・、楽しみにしています。