2008.05.30 Friday
アトピー性皮膚炎の本を読みました
JUGEMテーマ:健康
栄養療法を行っている仲間のドクターから本を紹介されました。
『患者に学んだ成人型アトピー治療』佐藤健二著(阪南中央病院皮膚科部長)
サブタイトルは、《脱ステロイド・脱保湿療法》
心ある、そして常に科学者として患者さんの皮膚症状を観察しているドクターには、脱ステロイドを訴える方がいらっしゃいます。
今回の本は、さらに脱保湿療法もうたっています。
興味ある方は、ご自分でお読みいただくと良いと思いますが、この先生の豊富な臨床経験と常に治療が上手くいかないときに???と思いながら、患者さんを診察している姿勢が伝わりました。
そこでこの先生が行き着いたところは、成人型アトピー性皮膚炎の病態の大部分は、ステロイドと保湿療法の中毒症状であるということでした。
幼少時からずっとアトピー性皮膚炎の症状が悩みの種であった僕にも思い当たるところがとても多くありました。
このブログで紹介するのは、この本の中にあった記述が、精神疾患の分野でもとてもよく似ていると思ったからです。
この先生を訪ねる成人型アトピーの患者さんは、全員がすでに一般的なアトピーの治療であるステロイドと保湿療法を継続されているのです。そして症状が軟膏を変えたり強くしたりしても改善しなくなり、どうしようもなくなり受診されるのです。
普通の皮膚科の医師へステロイドを止めたいことを伝えると患者のその言動は、「ステロイド忌避」と表現され、その訴えは取り上げられることはありません。先生の答えは、
”ちゃんとステロイドを塗ってくださいね。そうしないとアトピーは治りませんよ。”
精神科の外来に似ていませんか??
投薬によって頭が回らなくなり、自分の考えがまとまらない・・・強い違和感を感じている患者さんは、薬を減らして欲しい、薬を止めて欲しいと訴えます。ところが訴えるとさらに薬が増えることがしばしば・・・それらの症状を薬が原因の症状として捕らえようとしない。
これまで驚くほど多剤の抗精神病薬を処方され服用されてきた患者さまは、医師の指示だからということで服用します。そして多くは薬剤の副作用を説明されていません。
この本にも記述がありましたが、薬には効果効能と副作用があります。
ところが効果効能と副作用として区別しているのは人間(医師や患者さん)であり、薬の立場から見れば、効果として現れる変化も副作用として現れる変化も区別はありません。
薬の作用としては同レベルなのです。
厚生労働省のホームページを始め多くのサイトで薬剤の副作用情報を調べることができます。是非ともご自分がおのみの薬の副作用を正しく理解して用いることをお勧めします。
アトピーのステロイドにしても、精神疾患の薬剤にしても、急に止めたり減量したりすることで起こる、さまざまなリバウンドとも言える症状が強いことがまた別の問題なのです。