今年もあとわずかになりました。
このブログへもお付き合いいただきましてありがとうございました。
ブログを書くきっかけになった患者さんも経過がとても良好で、結婚や引越しなども行いました。
多くの方々からコメントやご指導をいただいたこともブログを継続できた理由です。
ありがとうございました。
後半は、すこし更新がとどこおりましたが、これからもがんばって書いていきますのでお付き合いのほどよろしくお願いします。
さて、いまの時間は多くの患者さんの血液検査データの解析をしていました。
そこでお一人、根気良く栄養療法をしてくれている患者さまの経過やデータの変化についてお伝えしたいと思います。
現在30歳代の女性の患者様で、3年以上この治療を続けていらっしゃいます。
診断は、統合失調症。7年間の投薬治療の期間を経て新宿のクリニックを受診されました。初診時には、リスパダール、ワイパックス、ロヒプノール、その他を服用されていました。
初診時には、約70kgあった体重は、3年間の治療期間でゆっくりと減量され、今回の検査時には65kgになっています。
この治療期間、タン白質(肉、魚、卵、豆など)をしっかりと摂っていただいていました。グルメダイエットといわれる所以です。
タン白質の代謝を示す検査データ項目の一つである尿素窒素の変化を見てみます。
・尿素窒素 8 → 10 → 12.4 → 15.4
3年間かけて約2倍のデータになりました。
この項目は、通常では腎機能の検査として持ちいれていますので、普通の医師からは初診時のものも今回の検査結果も基準範囲内にあるため違いを指摘されません。
しかし栄養療法からみると、初診時と最新のデータでは全く別の意味をもつものになります。食事の変更だけでなく、ビタミンB群の補充が進んでいることも分かります。
鉄の過不足を評価する項目について同様に3年間のデータの変化を見てみます。
・MCV 94 → 97 → 98 → 98
・MCH 30.3 → 30.5 → 30.9 → 31.3
・フェリチン 23.3 → 43.1 → 43.5 → 41.2
貯蔵鉄の量を示すフェリチンが、ここ3回に大きな違いがありませんが、その他の項目については明らかな上昇傾向を示しています。このように小さな変化ですが、この期間継続して鉄を服用し続けてやっと得られている変化です。
ところが、通常ではヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数などによって鉄の不足を評価してしまうために誤った判断をされてしまうのです。
そして鉄がどれだけ脳の機能に重要であるのか・・・・それは、本当に少数の医師にしか理解されていません。
もっとも大切な自覚症状の変化についてです。
統合失調症と診断される一つの根拠に、幻聴が継続して存在するということがあります。(あくまで症状の診断であることが問題なのですが・・)
この患者さんも、7年間の投薬治療によっても幻聴は消えずにありました。
栄養療法を受ける前と現在の幻聴の変化についてです。
栄養療法前の幻聴は、自分を誹謗・中傷する内容で、それが毎日24時間聞こえていました。そのような状況であるため、暴れたり、ひたすた怒っていることで対応していました。
現在は、自分の内面の気持ちに対して答えているようなことが、忘れた頃にたまに聞こえる状態です。そんなときには、少し気分が悪くなりますが耐えることができる。
24時間苦しめられていた幻聴が減り、たとえあったとしても内容がつらいものではなくってくるのは患者さんにとってとても重要なことです。
その結果として、
・積極的になった
・ウォーキングを楽しめるようになった
・おしゃれを楽しむことができる
・料理やその他の家事を行うことができる
このような日常生活の質の改善が得られています。
そしてこのように大きく改善しているのですが、この治療期間でお薬はいちじるしく減薬されているのです。投薬治療そのものを評価しなおさなくてはならないと思います。
まだ患者さんとご家族にとって満足いく状態ではありませんが、今後の治療によってさらに日常生活に改善が得られるものと思います。