うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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取材の依頼が増えているような・・
JUGEMテーマ:健康

いま発売されているターザンという男性向けの雑誌には、糖質制限による効果的なダイエットについての記事が掲載されています。
その食事と栄養の部分については、先日取材を受けた内容が載っています。
新宿で治療されている皆さんには、すこしゆるめの糖質制限なのであくまで読む場合には参考にしてください。

この雑誌から取材の依頼がくるときには、自分で答えられるときにはお受けしていますし、専門外であるときには知り合いの医師を紹介したりしています。
取材に来られる担当の方がとても熱心ですし、考え方を良く理解してくれます。また記事の内容が変に変えられたりすることがないためです。

いままで何回も取材をうけてコメントした内容と全然異なる記事になっていたりすることが多かったので、それ以来あまり取材はお断りすることが多くなりました。

先日も古くからの知人を通して、抗精神病薬の副作用などについてを取材している方がいるので会って欲しいと言われました。まじめに取り組まれている方であれば良いですよとお答えしたところ、とてもまじめに取り組まれ居ると言うことでお会いすることになりました。

沖縄より戻った日にお会いしたのですが、とても若い記者さんでまじめにこの問題に取り組まれている印象でした。

そんな彼との会話は、いろいろなことを知るきっかけになりました。

この続きは、カナダからになると思います。
それともカナダから戻った後かな??

これから成田へ向かいます。


| ひとりごと | 10:48 | comments(3) | trackbacks(0) |


明日からカナダへ行って来ます
JUGEMテーマ:健康

明日からカナダへ行って来ます。
ISOMというこの治療(オーソモレキュラー療法)の年1回の国際学会に参加するためです。
今回の学会は、モントリオール(でした)のため、昨年のように空いている時間で釣りを楽しむなどできないのがとても残ねですが・・・(沖縄でも時化でした・・)

さて今回は、初日の夜に開かれるレセプションにて、各国の代表が自分の国におけるオーソモレキュラー療法の実情をスピーチすることになっています。
突然僕のところへ主催者からメールができて、日本におけるオーソモレキュラー療法の実情についてスピーチをしてくれと依頼が来ました。

そのスピーチをどうしようかと考えていたのですが、やはり本当のことを話さなくてはと思いました。
つまり日本では、まだまだこの治療法は認知されていないこと。
特に医療従事者、その中でも医師たちには全くといってよいほど理解されていないこと。
低血糖症を含めた、栄養に関する自律神経の乱れが多くの精神症状と関係があることは、日本では残念ながら・・・また恥ずかしながら医師よりも一般の方々の方がよほど理解が進んでいること。
自分は医師向けの勉強会で、低血糖症を含めた代謝と精神疾患の関係について理解しないと、近い将来医師が恥をかくことになりますよと伝えています。

そんな現状ですが、近い将来に大阪にて5時間糖負荷検査を実施してくれる施設ができます。これはとても嬉しいことです。
関西以西の患者さんは、この検査をうけるために前日から東京に着たり、夜行バスを使って疲れた状態で検査に望まなくてはならないことが多いからです。
患者さんのストレスや費用の負担を考えても大阪でこの検査が可能な施設ができることはとても重要なことだと思います。

先日も、このブログで低血糖症の存在をしり、近くの総合病院に頼み込んで5時間糖負荷検査を受けられた方から相談のメールをいただきました。
明らかな血糖調節障害で、無反応性の低血糖腫応と思われるデータだったのですが、その総合病院のドクターからは、何の問題もありませんでしたと結果の説明を受けたそうです。

このように何の疑問もなく、あの結果を正常であると判断している多くの医師に、実は大きな問題があるのですよと伝えることは、本当に困難な作業なのです。

自らが何が正しいのかを吟味し、自分のために選択して実行していくことが必要なことなのかもしれません。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 11:29 | comments(2) | trackbacks(1) |


沖縄に居ます
JUGEMテーマ:健康

今、沖縄のホテルに居ます。
本当なら、今日の勉強会が夕方からなので、釣りに行ければと思いレンタカーまで借りていたのに・・・・ホテルの窓からは白波が立つ荒れた海が見えています。

昨晩も沖縄のドクターへオーソモレキュラーの勉強会で講師をしてきました。
参加いただいたドクターは、総勢30名!!
この人数はすごいです。東京で勉強会を開催するときと同等です。
なんでも九州や遠く栃木から参加してくれたドクターがいらっしゃったとか・・・。

昨晩は、懇親会でした。
そこでいろいろと沖縄在住のドクターと情報交換ができたのですが、とても嬉しいお話しを聞く事ができました。

東京で開催された検査データの読み方のセミナーに参加してくれた数名のドクターを中心に、沖縄で毎月必ず勉強会を開催し続けてきたというのです。
その勉強会で僕が作った検査データの読み方のテキストを、何回も何回も皆さんで勉強してきてくれていたと言うのです。
そうした地道な継続した活動が、遠く沖縄で30名のドクターが集まってしまう原動力になっていることは明白です。

いろいろな形で情報発信をしていますが、あまりに現在行われている治療法とは異なる、主流の治療法ではないため、なかなか医師へ興味を持ってもらうことは困難です。
九州でもそうでしたが、このような新しい考え方が知られるようになるためには、中心となる(あるいは核となる)個人や小さな団体の意思や活動によることが大きいのです。

今後は、この沖縄の予防医学研究会へ、僕らの持っている情報をどんどん提供することによって活動に協力するこをと決心したのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 09:56 | comments(3) | trackbacks(0) |


6月1日 本が出版されます
またまた、お久しぶりになってしまい申し訳ありません。

何を隠そう、本の出版に向けてかなりのタイトなスケジュールになってしまいました。
ようやく具体的なことが決まりましたのでお知らせしますね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仮タイトル 『”うつ”は食べ物が原因だった!』

ダイエット、甘い物好き、野菜偏重…
うつの95%は脳の栄養不足!
心が元気になる! 今日からできる最新栄養医学

出版予定日 6月1日  青春出版社 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タイトルやコピーは出版社の編集の方々、一生懸命検討してくれたものです。
タイトルや帯の表現には、いろいろと異論があることと思いますが、本の内容を良く反映しているのではと思っています。

本の内容については、このブログのエッセンスや、一般の方々へ行ってきた脳の機能と栄養についての講演会をまとめたようなものです。
心療内科や精神科へ既に通院している方々にも、自分でできるうつ症状対策になりますし、少しやる気が無くなってきたとか・・・医者へ行ってみようかと悩んでいる方々にも参考になるものと思います。

一昨日原稿をあげました。
今日は、診療後に沖縄へ向かい沖縄のドクターの皆さんへこの治療についての勉強会を2回行ってきます。
そして東京へ戻って、1日だけ仕事をしたあとにはカナダのオーソモレキュラー学会へ出席です。

このように、遠方に行っても今ではインターネットを通じて多くの仕事ができてしまいます。
今回も出張先の夜のほとんどは、本のゲラをチェックすることに費やすことになるでしょう・・・・。この学会ではレセプションでスピーチも依頼されてしまいました・・・。そのことについては、またカナダからご報告しますね。

そして日本に戻った翌週です。
今度は、大阪です。
この治療法の基礎となる血液検査データのオーソモレキュラー的な解釈です。
今回は、基礎的な読み方とともに、最近勉強会で試み始めた実際の患者さんへの応用をどうするかについても、少し時間を割くようになるものと思います。
医師、歯科医師向けとなっていますが、医療関係の方であればどなたでも参加いただけますのでふるってご参加ください。

お申し込み、お問い合わせは下記のURLから
http://www.mssco.jp/seminar/
あるいは、お電話にてどうぞ 03−5366−0208 MSSセミナー担当

第33回 検査データの新しい評価方法と臨床への導入

日時  2009年05月17日(日)  10:00 〜 17:00

場所 大阪 チサンホテル心斎橋


| ひとりごと | 09:48 | comments(5) | trackbacks(0) |


糖尿病と精神の不安定さ
JUGEMテーマ:健康

最近は、自分の辛い症状が、低血糖症ではないか?
と疑って受診される患者さんが増えてきました。よく医師の勉強会でも、この分野は明らかに一般の方々が進んでいますので、注意してくださいね・・と話しをしています。(恥をかくことになりますとは言えません) 

さて先日、新宿のクリニックを訪れてくれた患者さまは、糖尿病の治療のためにインスリンを自分で注射されている方でした。
詳しい検査をすると自分のインスリン分泌の量が保たれている方なので、注射によって投与されるインスリンによって体の調節が乱れていることが十分に考えられました。

多くの患者さんへ低血糖症の診断のために5時間糖負荷検査をしてきましたが、従来いわれている血糖値の乱れだけでは説明ができない自律神経症状が多いことに気がついてきました。

それは、血糖値の曲線(上下の変動)に、大きな問題がないにもかかわらず、とても激しい緊張症状を呈する患者さんが多くいらっしゃるということでした。
人の身体は本来、血糖値が低くなることにはとても敏感ですので、低血糖の状態になったときには興奮や様々な症状がおこることは容易に理解できます。

ところが血糖値の変動には大きな問題が無くても、つよい興奮症状が起こる方々が多くいらっしゃいます。そのような方々の興奮症状は短時間で終わることが多いのも一つの特徴です。

先日受診された精神的に不安定になってしまう糖尿病の患者さんは、通常では抑うつ的な症状がメインなのですが、インスリンを打つと激しい興奮症状が生じてしまうそうです。
その患者さんは、血糖値を毎日頻繁に測定しているのですが、インスリンの注射によって直後に血糖値がさがることはありません。

つまり普通は抑うつ的な症状が中心にもかかわらず、急に興奮症状が生じるのはインスリンが関与している可能性が高いということになります。





| 低血糖症 | 23:33 | comments(2) | trackbacks(0) |


不妊と栄養
JUGEMテーマ:健康

望んでいるのに、子供ができない・・・いわゆる不妊症は、病気ではないことが多いため医療的なアプローチに決定打がありません。
不妊専門の医療機関があり、当然その医療機関での治療?によって待ち望んだ結果が得られることが多くあります。
そしてまたどの治療でも同様ですが、期待した成果が得られないことも事実です。

以前、不妊治療を行っている医療従事者が参加している不妊に関するカウンセリング学会で栄養面について話をしたのですが、やはり不妊治療の分野でも栄養的な考え方は治療には含まれていませんでした。

妊娠出産と栄養の関係については、この治療法を取り入れている産婦人科の先生が、鉄欠乏と早産の関連性について指摘されていました。
ところが不妊と栄養ということで見てみると、なかなか○○ビタミンが足りないと妊娠しないとか、××栄養素不足は不妊の原因であるという、一対一の関係を証明することが困難です。

不妊の原因としては、卵巣、卵管、子宮などの女性器官の問題を取り上げることがほとんどですが、同時に食習慣を調査し、食習慣と排卵障害についてを調べたものがあります。
その結果、インスリン抵抗性の亢進が排卵障害と関係し不妊の原因となる可能性があることが指摘されています。
インスリン抵抗性とは血糖値を下げるインスリンの働きが低下しているということです。このブログのメインテーマである低血糖症も、インスリン抵抗性の亢進が原因の一つです。
つまり不妊でお困りの女性は、このブログで推奨している食生活が適している可能性が高いということです。

また別の報告では、マルチビタミンの摂取量が多ければ多いほど、排卵障害による不妊のリスクが低くなることが示されています。
またビタミンB群の摂取量と不妊の関係についても評価されていますが、葉酸の摂取量で比較したときには、もっとも少ない群よりももっとも摂取が多い群の方が、排卵障害による不妊のリスクが40%低下することも指摘されています。

妊娠合併症の予防に葉酸摂取が推奨されていますが、妊娠以前の問題においても葉酸を含んだビタミンB群の重要性は明らかなようです。

ただしいつでも強調したいことは、栄養は単独ではなく互いに相加的、相乗的に作用しているということです。
ポイントとなる栄養素は、しっかりと!
そして全体を整えるような食時と栄養素の補給ということが何よりも大切なのです。



| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 09:57 | comments(2) | trackbacks(3) |


勉強会のお知らせ(大阪・東京)
JUGEMテーマ:健康

前回のブログから少し時間が経ってしまいました。
ビタミンBの不足と妊娠の関係については、また別の機会に書くことにします。

ここのところ、勉強会などでちょっと忙しかったです。
大阪大学の大学院では、少人数の大学院生に脳と栄養の関係についてを講義しました。
大学院生ですので、医学部を卒業して医者として働いた経験のある方や栄養学部を卒業した方まで多彩な参加者の皆さんとアットホームな雰囲気です。

昨日は、福岡で血液検査データの読み方から臨床への応用についての講演でした。
福岡は、これまで何回か訪れる機会があったことと、九州のドクターの多くは東京まで何回も勉強会に参加いただいていたため、検査データの読み方については話を聞いたドクターが多くいらっしゃいました。

そこで実際の栄養療法を行うことによって、患者さんの症状がどのように変化するのか、そしてその症状の改善にともない検査データがどのように改善するのかについてを資料で作ってみました。
ただ文字にしてしまうと、多くの薬を使っていた時の症状と、栄養療法によって改善し薬剤も減ったときの症状の変化については、なかなか上手く表現できるものではありません。
直接お会いしたり、表情を見たり、電話での声のハリや口調の変化など・・・そのような微妙な情報からも改善を確認することができるのです。

また横道にそれました。

勉強会のお知らせです。
このブログの上方にあるセミナーのご案内で見ることができるのですが、この4月・5月にも予定されています。
来週の日曜日には、栄養療法のアドバンス講義を予定しています。
すでにこの治療を取り入れていらっしゃる先生方と患者さんの症状やデータを参考にしながら栄養療法を組み立ててみようというものです。
このセミナーは、すでに栄養療法を実践されている医師向けのものですので、参加希望の方は主催者へ直接お問い合わせください。

そして 5月17日(日)には、大阪で検査データの栄養的な読み方の勉強会を行います。

このブログで紹介している栄養療法は、基本的にはこの検査データの読み方が基本になります。臓器のトラブルだけを血液検査データから判断するのではなく、栄養素の過不足や代謝の変化についてを評価します。
最近になり、医師だけでなく多くの方々からこのテーマでの話しを聞きたいというリクエストをいただくようになりました。

今回の大阪の講演会は、これまで医師・歯科医師を対象としていたものから、医療従事者といわれる方々・・・看護士・管理栄養士・栄養士・カウンセラーなど、多くの方にも参加いただけるようになりました。
この機会に是非とも多くの皆様へこの考え方を知っていただければと思います。

この検査データの読み方は、医師が学生時代に勉強するような病気を診断するようなものではありません。栄養がどのように利用されているのか?それは効率的なのか?
過不足はないのか?  

そんなことを推理していくものです。
とても面白いものです。



| ひとりごと | 23:00 | comments(2) | trackbacks(0) |


妊娠と栄養
JUGEMテーマ:健康

最近、不妊症の治療をしている女性からの相談が増えてきました。
妊娠・出産・授乳は、女性にとって大きな出来事です。栄養面から見ると、それは想像以上に大きな影響があります。

このブログで繰り返しお伝えしている重要な栄養素であるタンパク質で見てみると、時期によってことなりますが、およそ通常の2〜2.5倍もタンパク質の必要量が増します。

妊娠ということについては、栄養面からみると2つの側面を感じます。

先ず、母体の影響を考えると・・・・
栄養状態が悪いと、やはり妊娠が成立しにくことが言えそうです。
このことも統計的な有意差などが出しにくいことなのですが、多くの妊娠希望の方々をお手伝いしたり、妊娠なんて完全にあきらめていた、精神症状の治療のために栄養療法を行った方が妊娠することなどを見ると、確かなことなのだろうと思います。

そして子供(胎児)からの影響をみると・・・
自分が大きくなるために、母体の栄養のことはあまり考えずに、自分が成長・成熟するために必要な栄養素を強力に母体から奪います。
その結果として、母体からの栄養吸収が不十分になると、満期を待たずに生まれてきます。

また栄養素の不足が胎児に大きな影響を与えることも知られています。
その代表が葉酸欠乏による神経管開存などの神経系の奇形の発症が増えるという事実です。

そんななか、ビタミンBの不足による不妊のリスク上昇などの報告もありますので、機会をあらためてご紹介したいと思います。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:28 | comments(9) | trackbacks(0) |


昨日の診療から
JUGEMテーマ:健康

昨日受診してくれた患者さんと、とても興味深い会話をすることができました。

若い女性の患者さんです。
大学病院の精神科で治療されていました。
びっくりするような多剤併用で治療されていましたが、激しいパニック発作がほぼ毎日起こり、頻繁に救急車で運ばれているような状態でした。

栄養療法を行い、何度か増悪と改善を繰り返しながら、治療初期と比較すると確実な改善を示していました。

昨日の外来では、

『病気になる以前の感覚が戻ってきました』

と報告してくれました。
中学生時代に経験したいじめなどが原因の一つであったため、その感覚とは中学生の頃のものなのかもしれません。
具体的にどんなことなのかを訪ねてみると・・・

『血をみると、びっくりするようになったのです』

この患者さんは、いじめに会い、うつ症状やパニック症状が生じ、治療しても治らず、学校を辞め・・・友達は新しい進路にすすみ・・・
”自分は、存在する価値がない・・”
リストカットをするようになり、でてくる血をみることで自分の存在を確認していたそうです。血が自分を安心させホッとさせるものになっていたのです。

ところが、改善にともない減薬が始まると、以前の血にたいするイメージが戻ってきたということだったのです。
その他の様々な場面においても、これまでと異なる以前の反応がもどってきています。
資格をとるためにパソコンスクールに通いはじめていたそうなのですが(これもびっくりする改善です)、そのパソコンスクールの同じビル内にあるファーストフードの店に、中学時代にいじめられた、最も会いたくない人が働いていたそうです。
さすがにその晩には、軽いパニック発作がおこったそうですが、以前であればその発作がひどくなり長期に継続していたことは明らかです。

彼女の対応は、パソコンスクールを辞めたりしないと選択し、以前はいじめられていたのは自分が悪いからと思っていたのが、自分は悪くないかもしれない・・・と認識が変化しているそうです。

”血”は、”血”であって、反応はびっくりするもの。
”会いたくない友達”は、”会いたくない友達”であって、自分を卑下する存在ではないし、目の前に居ないのにドキドキする緊張の対象ではなくなってきたのです。

このような改善は、感覚を麻痺させることが主な作用である薬物療法では得られないものです。
脳がもどってきた という感じなのだと思います。
| パニック障害 | 23:50 | comments(7) | trackbacks(0) |


本日の診療から
JUGEMテーマ:健康

本日の診療で、他の心療内科でパニック障害と診断されていた20歳代の男性の患者さんが来院されました。

調子は、どうですか? という問い合わせに対して、
『調子、良いっすよ!』
『もう治ったって感じです』

もちろん、薬は全て使わず食事制限とサプリメントは継続されています。
使用するサプリメントも治療初期と比較してとても少量で済むようになっています。

カルテを見返してみると、平成18年1月が初診でした。
そのころは、ほぼ毎日訪れるパニック発作と身体のだるさ、頭痛、にきび、体重増加、お薬の多剤併用・・・・でした。そして当然仕事はできず、休職の状態でした。

治療期間は、3年以上にもなっています。
この長期間におよぶ治療期間で本当に調子が良くなり、仕事を含めた日常生活において、何も身体や心へ不安を覚えることなく生活ができる様になったのは、去年の暮れ頃からです。
それ以前に断薬には成功し、復職も済ませていました。

改善の経過には、段階があるようです。

・薬が無くても、あるいは少量でも、日常生活に支障がない
・仕事や学校などのストレスに対して耐えることが可能
・土日などは、自分の興味あるものに興味があり、時間を使うことができる
・仕事、学校などの生活を含め、拡大した日常生活に全く支障がない

簡単に言うとこのようなことだと思います。

あともうお一人の患者さんからも、とても興味ある改善の経過について話を聴くことができたので、また別の機会にお伝えしようと思います。

| パニック障害 | 23:25 | comments(2) | trackbacks(0) |


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