うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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政権交代の影響か?? トランス型脂肪酸について
JUGEMテーマ:健康

このブログでも何回か取り上げてきた、トランス型脂肪酸についての規制がようやく日本でも始まろうとしているようです。

人には脂が必要であり、特に脳には多くの脂肪が含まれているのでその重要性についてはお伝えしてきました。
そして脂肪酸ほど誤解されているものはないのではと思います。
少し前までは、植物性のサラサラしていてる油であるリノール酸が必須脂肪酸であり、身体に良い脂と考えられていました。ところがリノール酸は通常の食事では十分量が摂取されており、過剰摂取の弊害が次々と理解されるようになりました。

さらに人の身体にとって問題が大きい脂の種類に、トランス型脂肪酸というものがあります。
これはマーガリンやショートニングなどに含まれる脂肪酸の一種です。

常温で固体であるバターや肉の脂は、どろどろした血液の原因になるようなイメージがあるようです。どうも健康に悪い脂の代名詞になっています。(現実はまったく違いますが・・・・)
一方、常温でサラサラと透明な液体をたもつ植物由来のサラダ脂を材料に、特殊な加工を行うことによって作られるマーガリンなどは身体によいと・・・・これまたイメージで判断されています。

本来であればさらさらの液体であったリノール酸を材料に、固形をたもつマーガリンを作るために”水素添加”という作業を行います。
リノール酸の構造に含まれる炭素と炭素を繋ぐ二重結合の部位に水素を無理やりくっつけてしまう作業を行うのです。そのときに炭素と炭素を繋ぐ結合部位でトランス型結合が生じてしまいます。このトランス型結合を含む脂肪酸をトランス型脂肪酸と呼んでいます。

私たち人間の身体には、トランス型脂肪酸を代謝することができません。 
使えない脂が、少量であっても身体に少しずつ入ってきます。
少し前にご紹介した動的平衡を保つことが、生きているということであるとすると代謝できない物質が体内にはいるということはとても危険なことであります。

その結果として、動脈硬化、心筋梗塞・・・・アレルギー疾患・・・・がんまでの発症率が上がってしまうのです。
その理由は、トランス型脂肪酸の摂取が、悪玉コレステロールを上昇させるためと説明されています。

オーソモレキュラー的に考えると、トランス型脂肪酸の摂取の悪影響がもう少し異なる側面から見えてくることになります。
| ひとりごと | 23:24 | comments(2) | trackbacks(0) |


本が贈られてきました
JUGEMテーマ:健康
本が贈られてきました。

『糖質オフのおいしいお菓子とパン』

大沢純子 著  大柳珠美 監修

サブタイトルが、
”砂糖、小麦粉なしでつくる”

ダイエット中の人
糖質が気になる人も
安心して食べられる
糖質&カロリーオフの
ヘルシーレシピ41 

見開きの左ページが、とてもおいしそうなパンやお菓子の写真
右ページにレシピが書かれています。
本の後半には、お菓子やパンを糖質オフで作るためのコツなども書かれています。

低血糖症の患者さんが困ることは、パンやお菓子などの糖質を制限することです。
糖質として摂取しないでも、人の身体としてはまったく問題がないのです。
そのことは理解しても、食べたいものを我慢するということは、大きなストレスになります。

いつまで我慢しなくてはいけないのでしょうか?

1日の診療で1回は質問されるかもしれません。
この本で書かれているようなパンやお菓子を自分で作って楽しめるようになったらとてもよいことですね。

このブログでも、コメント欄で皆さんからいただいたレシピがありますので、機会があったらまとめてみても良いかもしれません。


どうしてこの本が僕へ贈られてきたかというと、監修をしている管理栄養素である大柳珠美さんは、数年前に行ったオーソモレキュラー療法の勉強会に参加してくれました。
すでに栄養学の一般的な常識を勉強されてきた方ですので、オーソモレキュラーの理論との違いには戸惑ったのではないかと思います。

いまや大柳さんは、糖質制限食の理論と実践では、第一人者になられたのではないでしょうか?
本の出版や監修や糖質制限の講演会。
そして糖質質制限の料理教室(たしかやられていたはず・・)
さらに多くのクリニックで糖質制限が必要な患者さんへの食事指導をされています。

オーソモレキュラー療法をともに学ばれた方が、活躍されることは本当に嬉しく思います。
今回の連休も、北海道や沖縄からも多くの医師が勉強会に参加してくれました。
オーソモレキュラー療法の基礎的な理論を学ぶためです。
学べば学ぶほど、人の身体のすばらしさ・・・そしてそのすばらしい機能は、必要な栄養素が十分な量で存在するときに発揮される。
私たちは、その環境を整えることができることです。

一人でも多くの医師に理解していただき臨床で実践していただけるよう、今後も様々な機会で伝えていこうと思います。
| 低血糖症 | 20:39 | comments(1) | trackbacks(0) |


鉄の代謝で見えること
JUGEMテーマ:健康

鉄は人間にとって無くてはならない重要なミネラルであることはお伝えしました。
ところが鉄はとても吸収しにくい栄養素です。

普通の日常における食事には、鉄が10〜15mg程度含まれています。
ところが体内へ吸収される量はたったの1mgです。

そしてどんなに食事に含まれている鉄の量を増やしても、1日に吸収できる鉄の量は3〜4mgまでといわれています。
一方、便・汗などから毎日1mgの鉄が排泄されています。

毎日1mgが吸収されて1mgが排泄される閉鎖的な回路となっています。

とても吸収しにくい栄養素の鉄ですが、女性は月経によって毎月平均して30mgの鉄を失います。
つまり1日平均すると1mgの喪失増になります。

ということは、月経がある年代の女性は男性に比較して2倍の鉄を吸収しなくては、かならず鉄欠乏になっていくということです。

そこで食事に気をつけて鉄を増やさなくてはなりません。
プルーンを増やせばよいのでしょうか?

鉄には、おもに動物性のたんぱく質に含まれているヘム鉄と、植物性の食材に含まれる無機鉄があります。
その二つには、吸収率に大きな差があります。文献的には10〜30倍の差があるといわれています。

どのように違うかというと・・・ヘム鉄は、そのままの形で小腸の粘膜に吸収されてしまいます。
人の身体にとって安全であるという証拠です。
一方植物性の食材に含まれている無機鉄は、小腸の粘膜に吸収されるまで腸管の中でいろいろな作用を受け、さらに粘膜に吸収されるときも厳重に管理されて吸収されます。
つまり人の身体にとって危険であるという証拠です。

このことは、基本的な栄養素を動物性のタンパクに含まれているものから吸収するように人の身体が創られているであるという研究者も居るのです。

これって、糖質制限を提唱されている江部先生の主張と似てるな〜〜と思いました。




 
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 22:14 | comments(1) | trackbacks(0) |


鉄は重要です
JUGEMテーマ:健康
今週の連休は、医師向けの勉強会です。
貴重な連休を使って参加してくださる医師が全国から集まります。

そして29日の日曜日には、日本美容抗加齢医学会という学会で、鉄について話をすることになっています。
このところそのための準備をしているので、鉄についてを復習することになりました。
このブログでも何度も何度も鉄の重要性についてを伝えていますが、勉強すればするほど鉄というミネラルの重要性を確認します。

既にお伝えしたことですが、鉄の特徴についてをもう一度・・・・

・体内で酸素を運ぶヘモグロビンやミオグロビンの重要な構成分子。そのため鉄不足は酸素運搬不足となり息切れなどのいわゆる貧血症状が生じます。

体内に存在する鉄の75%がヘモグロビンやミオグロビンに含まれているので、やはり生きていくために酸素を十分に供給することが重要であることが分かります。

・残りの鉄は、貯蔵鉄や鉄を必要とする酵素に含まれていたり、鉄を含む組織に存在していたりします。

従来の医療機関では、鉄はヘモグロビンで過不足を判断するのですが、わずかなのですが含鉄酵素や組織に含まれている鉄が、実は非常に重要な働きをしています。そしてこの重要な鉄の不足が通常の検査では正しく評価されていません。というか、評価されていません。

この通常では評価すらされない鉄の不足が、このブログで取り上げている脳の機能へ大きな影響があるのです。

特に今回の準備をしていて感じたことは、乳児〜成人の各年代で、鉄不足によって様々な精神症状が起こるということでした。
特に幼児〜学童期にかけては、動作の継続時間が短くなるとか、集中力が継続できないなど・・・まさか鉄不足によるものとは思えない、症状とは言うことができないような変化なのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 21:55 | comments(0) | trackbacks(0) |


遺伝子の問題と栄養
JUGEMテーマ:健康
栄養療法を行っていると、栄養素の必要量にはとても大きな個人差があることに気がつきます。 

10歳代の男の子の患者さんで、良好なデータになったためビタミンBコンプレックスの量を減らしたところ6ヶ月後のデータでビタミンB群の不足が既に始まっていることを経験しました。
それまでの投与量などから予想すると、その患者さんにはビタミンB群を食事以外のサプリメントで毎日200mg程度を補給することが、ビタミンB群が不足しないために必要な維持量であると考えられました。

オーソモレキュラー療法の創設者の一人であるライナスポーリング博士は、人の栄養素の必要量には大きな個人差があり、その差は40倍程度であると話されていました。
またポーリング博士は、遺伝子研究に進んでしまうことの危険性についても指摘されていました。木を見て森を見ずということです。

ところが最近になり、栄養代謝に関わる遺伝子レベルの問題が次々に発見されるようになりました。
例えば、統合失調症の患者さんの中には、脳内のナイアシンレセプターに異常があり、その問題は遺伝子レベルのトラブルによることが分かってきました。

ナイアシンレセプターのトラブルがあるのですが、レセプターが遺伝子トラブルによって欠損しているのではありません。つまりナイアシンの効果を発現させるために遺伝子的に問題がない場合よりも大量のナイアシンが必要であるということになります。

またビタミンB6の遺伝子異常も多く報告されるようになり、これまで解釈ができない病態について新しい解釈が可能になってきました。
これもビタミンB6の作用が全くなくなるという遺伝子異常ではないため、通常の場合よりも大量に補充することでこの遺伝子トラブルによる症状は改善することが可能であるのです。

遺伝子に問題がある場合には、先天的な異常であり対応不可能な印象を受けてしまいますが、今日ご紹介したような遺伝子トラブルについては、通常よりも大量の(何百倍)栄養素の補給によって対応が可能であるのです。

ホッファー博士は、統合失調症の患者さんは、体内でトリプトファンからナイアシンを合成する経路に問題があるためナイアシン欠乏が生じるという仮説を唱えていました。その結果統合失調症の患者さんは、ナイアシン欠乏が生じある年代から特有の症状を発症するようになるというのです。

代謝を円滑に行わせるために大量の栄養素が必要である病態には、栄養素の補給を十分に行うことが本来の治療であり、それがオーソモレキュラー療法の基本になっています。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 10:06 | comments(15) | trackbacks(0) |


今日は、一般診療日
JUGEMテーマ:健康
今日は、辻堂にあるクリニックで一般診療の曜日です。

ここ数日の雨だったので、インフルエンザの流行が収まったかな・・・と思っていたのですが、まだまだ多くの患者さんがインフルエンザで来院されていました。

今回の新型と言われているインフルエンザでは思うところが多くあります。
それは、まだ日本では新型インフルエンザが出ていなかった5月にカナダの学会へ出席しました。帰国の飛行機では、成田で機内検疫となり2時間近く足止めになったこと。
その後は、日本で始めて新型が発見された関西地方で出張になったので、自分の勤務する新宿や藤沢でインフルエンザが出ないことを祈ってたこと・・・などです。

あの当時は、厚生労働省の大臣が連日TVにでて、完璧な水際作戦のように話していましたが、この流行です。先を見越したワクチン製造などしていれば、現在のような流行とワクチン騒動は無かったことでしょう。

新型インフルエンザのワクチンは医療従事者向けのものはすでに供給されているので、僕も接種することができるのですが、接種しないことを選択しました。
もちろん、予防はしています。

一般的には、手洗い、マスク、うがい・・・などでしょうか?

今日の診療には、ビタミンC1袋2000mg入りを5袋持参しました。
そして、当然オリーブ葉エキスも、10カプセルも一緒です。

診療中、1〜2時間毎に、ビタミンC2000mgとオリーブ葉エキス2カプセルを飲みます。
かなりお腹が張りガスが出ますが、そのガスはビタミンCの作用です。かえって便の調子が普段よりも良好です。

ビタミンCは腸管の吸収力を上回る量が摂取されたとき、未吸収のビタミンCが大腸に到達し腸管内で様々な作用を発揮します。
腸管のpHを弱酸性へ傾けることによって、腸管内の細菌フローラを改善させます。つまり善玉菌が増え悪玉菌が減ることになります。そのためガスの臭いは腐敗臭が無くなります。
また腸管内の水分バランスを整えることによって、便秘気味の場合にはマイルドな軟下作用を有します。

このようにビタミンCは、体内に吸収されないときでも身体にとって有効な作用を発揮するのです。

それから、感染症が流行する時期には、ビタミンA、亜鉛、グルタミンなどの栄養素の摂取を増やしています。
それらは、粘膜の機能を向上させあらゆる感染症の初期防御能を向上させるのです。

インフルエンザの流行への防御には、栄養をしっかり摂って十分な休息をすることが大切であるとコメントされていた感染症専門の先生がいらっしゃいました。

栄養を十分に摂ってというのは、オーソモレキュラー的に考えると今日紹介したような対応になるのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 18:01 | comments(2) | trackbacks(0) |


草の根運動?
JUGEMテーマ:健康
3年前には、とても強い症状で八重洲のクリニックを訪れた若い男性の患者さん。
このブログでも何度か紹介しましたが、今は抗精神病薬は用いず、週5日かんのアルバイトを継続しています。ナイアシンも自分のお給料から購入している男の子です。

その彼が、今日の診察室であるパンフレットをくれました。
そのパンフレットは、「日本お菓子協会」という団体がだしているもので、その団体は農林水産省が後援していまいした。

パンフレットの中身には・・・・

・脳は多くのエネルギーを使う
・そのため脳には、大量のブドウ糖が必要である

・だから甘いものを食べましょう!!

という、いつもの科学的に聞こえる理論で結論付けていました。
そのバンフレットをみて、
「先生、この最後のところが違いますよね!!」
「おかしいと思ったので、投書して指摘したのですが返答はありませんでした」
「どうしてこんなことが継続しているのですか?」

そんな問いにたいしては、
テレビやマスコミなどは、お菓子メーカーのスポンサーがなくてはならない存在であるため、今後も低血糖症のことが正しく伝えられ、常識的なこととして認識されるようなことはないであろう・・・・と答えました。


午後のカウンセリングでは、この治療法で多くの症状が改善された学校の先生と電話でのカウンセリングでした。
電話の向こう側では、なつかしい学校のチャイムが聞こえたり、その後は子供たちの元気な声が聞こえてきたり・・・・・そんな電話カウンセリングでした。
患者さんご本人は、体調を維持するために”ゆで卵”の有効性を実感されました。
その”ゆで卵”を体調不良の子供たちに応用できないか?

そう考えた結果、毎日ゆで卵を10個作り保健室へ常備するようにされたそうです。
そこで、朝起きられない子供たちや、低血糖症が関係すると思われる症状で保健室を訪れる子供たちへ用いるようになったそうです。
その結果、栄養士さんも注目する効果が上がり始めているとのことでした。

卵アレルギーの子供でもなければ、ゆで卵を食べさせることには、リスクはなくためらうことはありません。心療内科や児童精神科などを受診し投薬中心の治療となる前に試みる方法であることは確かかもしれません。

たんぱく質をしっかりと摂取することによって改善する症状には、たんぱく質を摂取させることが正しい治療です。
糖質を制限することが、自律神経の安定につながる病態であれば、お菓子を控えることが基本的な正しいアプローチになります。

ところがこのようなことを理解している医師も一般の方々もまだまだ少ないというの現状なのです。
 
| ひとりごと | 22:08 | comments(7) | trackbacks(0) |


高校球児に感動
JUGEMテーマ:健康

今朝の新聞を読んでいると、甲子園で有名になった花巻東高校の菊池雄星君のインタビューが載っていました。

日米のプロ球団からスカウトが訪れ、結局日本のプロ野球を選択し、ドラフトで指名してくれたところであれば、何処にでも入ると宣言していた彼です。

そのインタビューで、自分が記者会見で涙がでてしまった理由について話していました。

それは、日本の球団を選んだことで、高校1年の時から自分のことを評価しずっと見続けてくれていたアメリカのスカウトの方に 対して申し訳なく思ったからと話していました。

それでは、なぜ菊池選手が日本の球団を選択したのか??
答えは、『自分の価値観、行き方、哲学に反するのが嫌だった』 
と話しています。

かれは、中学時代から飛び抜けた才能があったようです。
高校を選んだときも、花巻東高校なら

・全員が自分と同じ岩手県内出身の選手である
・地域の人から応援される

ということが理由だったそうです。
そんな彼が、高校を卒業してすぐにアメリカの大リーグを選択するということが、自分の価値観や哲学と反すると感じたのだそうです。
そして自分の本当の価値観で選択した国内でのプロ生活ということについて、かれは全く後悔が無いと話しています。


こんな記事を読んで、18歳の高校生が・・・しかも中学卒業のときからなんとしっかりとした根本的な人生観を持っているのだろうと驚き感動したと同時に、自分のことを振り返ることになりました。

高校を卒業し、浪人しているときに文系の教科が全くダメな自分は、理系の学部を選択するしかありませんでした。
理系でも人に関わる仕事がしたい・・・・・・そこから医学部への進学を選択して勉強をしていました。
高校3年の時にがんで祖父を亡くし、その時の医療に疑問を感じていたこともあり、問題意識を持ちながらの学生生活でした。

ところが卒業し医師となり日々の業務に没頭すると、知らないうちに自分の価値観が変わっていきました。

・珍しい病気の治療に関わったら、学会へ発表し論文にする
・研究することが大事であり、評価の高い雑誌へ論文が掲載されることに価値がある
・大学病院やステータスの高い病院での勤務が、仕事の質としてよいことである

このようなことが、医師としての価値観になっていきました。
もちろん、上記のことは本当に大切なことを含んでいて、新しい治療法や研究の発表がなければ医学の進歩はありません。

ところが、時間が経つにつれてこれらのことを優先する生活に違和感を感じ、どうしてもその場にいることができずに開業することになりました。
でもなんとなく・・・・逃げたのかも?? という感覚があっったのも事実です。

菊池君のように、100%自分の責任・・・ではなかったかもしれません。

そしてこのオーソモレキュラー療法を知り、自分のクリニックを訪れてくれる患者さんへ応用することによって、人の身体の可能性の大きさにとすばらしさに触れることができました。
現在では、通常の治療法も経験しオーソモレキュラー療法も勉強し・・・人の身体の仕組みについて、従来の医学部の教育だけでは知り得ないことを多く知ることができました。

クリニックも栄養療法を中心に行う形態となり、この方法を多くの医師にも知っていただくためのシステムもできあがりつつあります。
45歳にして、やっと自分の価値観・哲学に1点も反することがない仕事をやっとできるようになりました。これには、多くの患者さんやそのご家族の勇気ある選択があったからです。

18歳の菊池君の大ファンになったと同時に、彼のしっかりとした考え方から、こんなことを思い出させてもらったのです。
| ひとりごと | 09:27 | comments(2) | trackbacks(0) |


いつでも森を見忘れないこと
JUGEMテーマ:健康
うつ、パニック障害、統合失調症・・・・これらの疾患は、精神科、心療内科で診断され投薬治療が中心に行われいます。ところがこれらの疾患には、多くの栄養的な問題や低血糖症などが深く関係していることは、通常の医師には知られていません。

身体の中で起こっている、生化学的な変化を診ずに表に出ている症状ばかりと判断基準にしています。

一方、自閉症やアスペルガーなどは、通常の医療では投薬治療の適応となることが少ないことも関係するのか、 一般的な精神疾患と比較して代替療法が行われることが多くあります。
それらの代替療法には、水銀をはじめとした重金属の問題、あるいは腸をはじめとする全身のカンジダや真菌の感染症、また通常のIgEではないタイプの食材アレルギーなど・・・。

新宿のクリニックでは、発達障害についてはあまり強調していないため、クリニックを訪れる患者様の10%未満です。
ところが、新宿のクリニックを訪れてくれる発達障害の患者さんは、すでに新宿のクリニックを受診される前に、何らかの代替療法を行われています。

初診時にお話を聞いていると、重金属のデトックスをおこないそれなりに効果があった・・・・あるいはある種のたんぱく質を除去することを徹底的に行ったりしています。


ここで振り返ってみます。
どのような病気でも同様なのですが、同じ条件で病気になる人とならない人がいます。
たとえば水俣病を振り返ってみましょう。
同じ地域で同程度の魚を摂取していた人でも、水銀が蓄積して水俣病になられたかたと、同程度の魚を摂取していても水銀の蓄積が起こらない人が居ました。

また通常では弱毒性のためカンジダや真菌などに暴露されても、感染症にならない人も居ますし、腸内に持続的な感染を起こしてしまう人もいます。
今流行のインフルエンザも罹患する人としない人がいます。

各種の検査によって蓄積した重金属をキレーションなどの手法で除去することは大変重要であり有効なアプローチです。動脈硬化などについては、キレーションが決めてとなることもあります。

またカンジダの感染が判明したとき、各種の抗カンジダ剤を用いることもときに有効なことがあります。そのほかのカンジダへの治療法を行うことが決め手になることもあります。

ところが重金属の蓄積、カンジダ感染、食材のアレルギー・・・・それらへのアプローチだけを行っていても一時的な改善であったり、期待した効果がないことあります。
実際に、ナイスタチンをはじめとする、抗真菌剤(抗カンジダ剤)をもちいても、ほんの数日の改善にとどもあることも多く経験します。

そしてまたオーソモレキュラー療法が万能で完全でないことは、もちろん承知しています。

なぜ重金属が蓄積してしまうのか?
なぜカンジダの感染をおこしてしまうのか?
なぜ通常反応しない食材へアレルギーが起こってしまうのか?

これらのことには、腸管粘膜の機能低下が深く関係していますが、それではなぜ腸管粘膜機能が落ちてしまうのか・・・・?

取り留めなくなってしまいましたが、ポイントになる重要な原因については、当然のことですがアプローチをすることが必要になりますが、そればかりを追いかけ背景になる全身的な問題を評価しアプローチしなければ、同じ治療でも効果が少なくなってしまうことが多くあるのです。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 21:22 | comments(2) | trackbacks(0) |


アスペルガーと診断されていた9歳のお子さんの経過
JUGEMテーマ:健康
今日、栄養療法の経過を報告するために来院してくれた9歳の男の子は、

授業に集中できない。
先生の簡単な指示に従うことができない。
落ち着きがない、イライラし大声を出してしまう・・・・・

このような症状でアスペルガー症候群と診断されていました。 
その他の症状としては、皮膚のトラブルがありました。

成長期のトラブルに多く見られる栄養障害である、
・ビタミンB群の重篤な不足
・鉄や亜鉛などのミネラルの不足
・血糖値の調節障害(低血糖症)

などの問題点がすべて血液検査で認められました。
そこで診断書には、これまでのアスペルガー症候群ではなく低血糖症という病名が記載されました。

そしてその結果として学校へお弁当を持参することや、途中で捕食を行うことなどが許可されるように学校へ依頼することになりました。

血液検査結果を本人も一緒に聞いていたので、糖質制限については9歳の子供ながら、できるだけのことを本人の選択によって行っていたそうです。
食事の変更と栄養素のサプリメントの補給によって、症状は徐々に改善し塾の先生などは、この2ヶ月で劇的な成長をしていると言っているとのことでした。

お母さんから見ても、イライラが極端に減り大声をだすことはなくなったそうです。

今日も感じたことは、やはり精神疾患の診断についてです。
現在の精神科領域では、特徴的な症状をいくつか満たすことによって○○病とか××症候群など診断されます。
その結果としてこのお子様は、アスペルガー症候群と診断されました。
僕の個人的な見解ですが、現在のアスペルガー症候群というカテゴリーに当てはめるということは、集団の中で特異的で特徴的な存在となる個人を理解しサポートするための体制つくりのための診断ということです。

もちろんこのことはとても重要なことです。
周囲の人々がアスペルガー症候群の特徴を理解し、環境の改善を含めたトータルなサポートをすることでアスペルガー症候群の方々は、以前よりも快適に過ごすことが可能となり、症状が改選し、そしてもともと持っている才能を発揮することが可能になります。

そしてやはりどの精神疾患の場合でもそうですが、症状からの診断だけでなく血液検査データに基づく内科的な評価とくに栄養面からの評価を十分に平行して行うことが大切であるということです。

ある診断名が下ったからといって、その病気にたいして治療法が投薬だけのひとつの方法であるはずはありません。トータルな評価をおこない、その結果に基づき治療し、再度評価するという、ある意味では常識的なことを、精神疾患領域でも行うことが必要であろうと思います。
| 発達障害 | 21:59 | comments(12) | trackbacks(0) |


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