うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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もうすぐ春ですね・・・
JUGEMテーマ:健康
この治療を始めて何度目の春でしょう・・・・

ブログでも毎年春には同じ気持ちになって記事を書いています。
今年も、いままでと違った春を迎える患者さんが居ることに、感謝しこころからの応援をします。
そして治療に取り組んでいても、新しい春と言えるほどの改善がない患者さんへも、治療に取り組まれていることに対して、こころからの承認と応援をいたします。

何度か紹介した19歳の患者さんですが、いよいよ4月から高校入学です。
中学校時代に発症したので、 本来高校へ通っていた3年間は治療に専念?というか、お薬を飲み続け、症状に悩む日々でした。

先日から始まった、一般の方向けのオーソモレキュラーの勉強会へも参加され、勉強会で出会った方々と友達関係も作ることが出来たそうです。
食事の重要性について再認識したようで、とても良かったです。
本日の外来で、明るい笑顔で今後のことについて話してくれました。

またリスパダールを長期間服用していた、別の患者さんもとうやくが不要となり、特殊な乗り物の免許を取得するためにアメリカへ旅立つことになりました。
ここ1年の彼の経過を診れば、アメリカ生活も難なくこなすことでしょう。


今年の春は、初夏を思わせるような暖かい日からこのところの真冬なみの寒さがもどったり、咲きかけた桜のつぼみもどうして良いのか困っているようです。
この治療でも、とても良好な日々があったとしても突然症状が増悪してしまうこともあります。
でもきっと、再び良い経過にもどることでしょう。

たとえゆっくりでも、継続することが一番大切です。
たとえ十分量の栄養素が摂取できなくても、この方法論を継続することが、きっと本来の治癒力を力づけてくれることでしょう。

来年の春へ向けて、治療に取り組まれている多くの皆さんとまたがんばっていこうと思います。
| ひとりごと | 15:57 | comments(8) | trackbacks(0) |


Hoffer先生からのメッセージ
JUGEMテーマ:健康
 2006年に現役の医師としての活動を引退されたHoffer先生は、その後も自宅を活動の場に移して多くの患者さんへアドバイスを継続されていました。

『だってさ、Toru 指導する内容は食事とサプリメントなんだから、医師じゃなくてもできるだろ。』

とユーモアを交えながら話してくれたことを思い出します。
今日ご紹介する、内容は2006年バンクーバーで開かれたガンに対する栄養療法のコンベンションで、Hoffer 先生が講演された内容からのメッセージです。

このときはガンに対する栄養療法がひとつのテーマであったので、Hoffer先生の講演内容もガンと統合失調症の関係についても触れられていました。
下記に当日の講演内容のメモから抜粋し、この治療に取り組まれている方々へのHoffer 先生からの応援メッセージとしてお伝えします。

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幻聴・幻覚・妄想などの症状と呈する人たちは、とても優れていることが多くある。
例えば、芸術や勉強面で優れた才能を持っていることが多く、スタイルがよくハンサムであることが多い。そしてガンにかかることが極めて少ない。それは特異的な代謝の特性によるものである。

人は進化の過程で、自らの体内でナイアシンを合成する能力が低くなってしまい、食材に含まれるナイアシンに身体で必要なナイアシンを依存するようになってしまった。
そしてさらに、食材に含まれるナイアシン量が少なくなり、さらに食材を生成する技術が進歩したことによって近代になり食材から摂取されるナイアシン量が極端に減ってしまった。

統合失調症と診断されてしまう人々は、食材に含まれるトリプトファンから体内でナイアシンを合成する能力が極端に低く、その結果として重度のナイアシン不足状態になり、幻聴や幻覚・妄想などの症状がでてくるようになってしまう。つまりペラグラの精神症状である。
このことを考えると、統合失調症などという偏見や誤解を招く病名は使用しないで、ペラグラ(ナイアシン欠乏症)とするべきである。
これは、ナイアシン欠乏によっておこる統合失調症の患者に対するナイアシンは、1型糖尿病の患者がインスリンの注射が必要なのと同じであり、ナイアシンを補充し続けなければならないのである。

ナイアシン療法(オーソモレキュラー療法)で大切なことは、あきらめないことである。

ナイアシン療法の効果が発現するまで時間がかかることがある。とにかくあきらめないことである。

ナイアシンが有効となる服用量は個人差が大きく、その個人にとって最も重要なことは吐き気を感じる手前の量が最も有効な量であるということである。決して大量療法でなはく至適量を用いる方法なのである。

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僕の知っている限りHoffer 先生が多くの人たちに講演したのはこれが最後なのではないかと思います。その話は、今メモを見て思い出しても、苦しまれている患者さんへの深い愛情に満ち溢れ、この治療を一人でも多くの方々へ提供したいという熱い思いがこもっていました。

最後のスライドで、若き日のHoffer 先生が、手のひらにナイアシンのカプセルを持って
” Take the niacin !!"

とポーズを作っていたことを思い出しました。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 20:35 | comments(24) | trackbacks(0) |


Hoffer 先生をしのんで・・
JUGEMテーマ:健康
今、仙台へ向かう新幹線の中です。
埼玉県を移動中ですが、遠くに富士山がはっきりと見えるほどの良い天気です。3連休を楽しまれている方々には、最終日に良い天気になって良かったです。

仙台のきたのはら女性クリニックの院長は、僕の大学時代の同級生。
ある学会で、僕の講演を聞いてくれて声をかけてくれました。それ以降、オーソモレキュラーを熱心に勉強され、今では東北でもっとも盛んにこの治療を行われているドクターです。彼の出版記念講演会にお祝いと応援の話をしてきます。

5月の予定などがはっきりとしてくると、2年前ホッファー先生の自宅を訪れお会いしたことを思い出す季節です。あのときはとても体調が良いと元気そうにお話しされていたのですが・・・
ことしも5月にバンクーバーで開かれるオーソモレキュラー学会に参加しますが、今年はホッファー先生とお会いすることができません・・・。

Hoffer 先生は、突然のメールにも快く返信いただき、診察風景も見学させてくれました。
どんな質問にも、丁寧に答えてもらいいつでも最新の論文を紹介してくれました。
ある時から、あなたのことをToru と呼ぶよ、自分を Abram と呼びなさい・・・と言ってくれ、彼のやさしさと大きさに触れ、感動したことを昨日のことのように思い出します。

先日、書類が山のように積まれてしまったオフィスの机を整理しました。
そのとき、2006年にバンクーバーで開かれたがんと栄養のコンベンションで Hoffer 先生が講演されたときに記したメモがでてきました。
そのメモを読み返してみると、Abram の遺言のように感じ、あらためてこの治療にたいするAbram 熱意と様々な症状に苦しまれている患者さんへの彼の深い愛情を感じました。

今日は、昨年の5月に91歳でお亡くなりになった Abram Hoffer 先生の経歴を2006年のコンベンションのパンフレットから紹介します。

1917年 カナダ、サスカチュワンに生まれる。
1938年 サスカチュワン大学を卒業し、1940年同大学大学院を卒業。
1944年 ミネソタ大学にて生化学の分野にて理学博士称号を取得。
1949年 トロント大学にて医学博士を取得
1950年 サスカチュワンの病院にて精神科医としてインターン
1955年 サスカチュワン大学 助教授
1958年 サスカチュワン大学 教授
1967年 カナダビクトリアにオーソモレキュラー療法を実践するクリニックを開設
1972年 カナダ王立医師会特別会員に任命される
2006年 現役医師としての活動を引退し、Orthomolecular Vitamin Information Center を設立し患者へのコンサルテーションを継続

この間、International Schizophrenia Foundation を設立し会長を歴任、 International Society of Orthomolecular Medicine を設立し会長を歴任
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Hoffer 先生は、この経歴にある精神科医のインターン中にその当時の精神科医療に強い疑問をもたれました。
それは、やる気がないと言えばうつ病の診断になり、幻聴があるとなれば統合失調症と診断される。そして科学的な検査も十分に行われないにも関わらず、投薬治療が始まってしまう。そして薬の強い作用で人間らしい生活ができなくなる。。。。。そのことに Hoffer 先生は強い疑問をもたれ、経歴にあるとおり、もともと生化学の分野で博士号を取得されたこともあり、うつ症状や幻聴や幻覚などの精神症状とナイアシンをはじめとする脳内の代謝異常の関係について仮説をたて、しかも科学的な検証を行っていかれました。

2008年 最後に Hoffer 先生にお会いしたとき、統合失調症の患者の脳ではナイアシンのレセプター機能障害があるという論文が発表されたことを心から喜ばれていたことを思い出します。

どの科でもそうですが、治療の主役は薬剤であることがほとんどです。
特に精神科分野では、多くの薬剤が治療で使われることが多く当然副作用が出ることも多くなります。
薬剤による治療でも、しっかりと効果が出ることは多くありますが、効果がないお薬を継続することには多くの問題があります。

Hoffer 先生が感じられた精神科医療の問題は、50年が経過した現在でも同様なのではないでしょうか?
お薬は、必要な時に必要な種類と量が使用されるべきであり、常に身体や脳のなかで何が起こっていて症状がでているのか、科学的に検索し対応することがとても重要なのです。
 
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 09:39 | comments(7) | trackbacks(0) |


ひとりごと・・
JUGEMテーマ:健康

このブログを書き始め数年が経ちました。
その期間でも栄養療法のやり方が変わってきていることを感じます。

その変化には、治療中の患者さんの経過から学んできたことが多くあります。
とくに糖質制限や食材のアレルギーについては大きく変化してきたことを自分でも感じます。

糖質制限は、以前はGI値をかなり重視していました。
つまり白米より、玄米の方が良いという考え方ですね。
そこでGI値についてしらべると、まず驚いたものが日本人の食材にたいする確立されたGI値がないkとでした。発表されているGI値で微妙に差があることや、日常の食生活に応用できないようなものであること、さらに調理方法などでも大きく変わることなどでもどのように応用したら良いのか困りました。

そこである年、日本GI値研究会というところへ参加しました。GI値についてだけを扱う、ある意味マニアな学会です。
そこで感じたことは、GI値を決めるための被験者に低血糖症の方々が多く含まれていて、その方々を除外していない可能性が高いことに気がつきました。そして被験者の数が少ないのでデータとすると個々の発表で差が出てしまうことも仕方ないのかもしれないと思いました。
被験者が栄養学を学ぶ若い女子学生であるので、無反応性や乱高型の低血糖症の方がかなり含まれていると予想できました。ただその研究会でも多くを学びました。その結果が新宿で使っている食事指導の資料にも反映されています。

その後は糖質制限という名の通り、糖質の量を制限するという考え方です。
今ではとても有名になりましたが京都高雄病院の江部先生が中心となって紹介している概念です。
白米をやめたらある程度改善し、さらに玄米すらやめたら、もっと改善し、そして糖質をさらに制限したらもっと改善する患者さんたちの経過を見て、徐々にクリニックの治療方針になってきました。
その結果として、自分でも米を食べない生活になったのでした。

糖質制限の話をすると、米を食べなくても生きていけるのですか!!ぐらい驚かれる方が多くいらっしゃいますが全然大丈夫です。はじめ人間ギャートルズの食生活ですね。

最近に患者さんから教わったことに、ビタミンB群の摂取方法がありあます。
その患者さんは、1日6カプセルのビタミンB群を服用しています。いままでは、1回3カプセルで1日2回摂取していました。ある程度よくなっていたのですが、どうしても不安症状がとれずなやんでいました。なにが理由で飲み方を変更したのか聞かなかったのですが、1回1カプセルで1日6回に飲み方を変えたら、劇的に良くなられたということがありました。
血糖値の安定のために、頻回に少量のタンパク質を摂取していただくことは指導していましたが、ビタミンB群も同様の摂取方法で効果が増すことは知りませんでした。
実はビタミンB群の血中から脳内への移行については、他のあらゆる栄養素とことなる経路をとることが分かってきているので、その移行経路などが関係しっているのかもしれません。

実はちょっと風邪気味になってしまいました。
ビタミンC 2gとオリーブ葉エキスを頻繁にとってどうにかひどくならずに改善傾向に向かっています。
あさっては、仙台での講演ですのでなんとかして万全の体調に戻さなくてはと思っています。
今日も診察室ではオリーブとC2000を片手に診療します!!
| ひとりごと | 07:58 | comments(3) | trackbacks(0) |


脳とビタミンC
JUGEMテーマ:健康
様々な精神神経症状の急性変化にビタミンCの点滴がとても有効な一つの理由に、酸化ストレスの軽減が関与しているであろうことは前回にお伝えしました。
その他にもビタミンCは脳内の神経伝達物質の合成でとても重要な働きをしています。

特にやる気を起こさせる働きを持つノルアドレナリンの合成は、 ドパミンからの合成過程において触媒する酵素の補酵素がビタミンCであるため、ビタミンCの欠乏は直接的にノルアドレナリンの合成を抑制してしまいます。

よくストレスでビタミンCが減るとか、ビタミンCが減るとストレスに弱くなると言われますが、それにはこのように抗ストレスホルモンの代表であるノルアドレナリンの合成とビタミンCの関係があるためなのかもしれません。

その他の神経伝達物質の合成でもビタミンCは深く関係しています。
それらの反応の中で重要なものは、葉酸が関係する代謝過程です。

フェニルアラニンからドパミンやノルアドレナリンが生合成される過程や、トリプトファンからセロトニンが生合成される過程では、重要な反応の過程で活性化された葉酸が必要になります。

この葉酸を活性化するためにビタミンCはなくてはならない栄養素なのです。
もちろんこのときに葉酸が十分になくてはならないことは言うまでもありません。
とくに活性化された葉酸が関与する反応は、それぞれの神経伝達物質の合成過程における律速段階にあたります。
つまり幾つもの過程を経て神経伝達物質は合成されるのですが、活性化された葉酸が関与する反応は、そのなかでも最も重要な過程(反応)といっても良いでしょう。

そして基本的な部分では、脳のエネルギー供給というところでもビタミンCはなくてはなりません。
脳はブドウ糖をエネルギー基質として大量に利用することはご存じなことと思います。そしてもう一つ、脂質由来のケトン体も脳のエネルギー基質として重要な役割を果たしています。

ケトン体が細胞で利用されミトコンドリアでエネルギーに変えられる過程には、ビタミンCが必須の栄養素になります。つまりビタミンCがないと脂質から十分なエネルギーが作られなくなってしまいます。

低血糖書のように安定した血糖値が維持できない場合には、脳や身体のエネルギー基質は脂質の果たす役割がとても大きくなります。ところがもしビタミンCが十分に存在しないとすると、脂質由来のエネルギー産生が障害されることになります。
つまり低血糖症の方々の多くに見られる「どうしようもない疲労感」の原因としてビタミンCが関係している可能性があるのです。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 17:33 | comments(2) | trackbacks(0) |


さあ明日は
JUGEMテーマ:健康

あしたは子供のトラブルと栄養障害の勉強会を開きます。 
僕の担当は、いつものように脳のトラブルと栄養についてです。今回は特に発達障害や成長期に発症する様々な精神症状と栄養の関係について話します。

今回の勉強会は、医師向けのものなので話をするときに、より注意が必要なのです。

どうしてか??

医師は、まず診断ありきだからです。

自分や誰か他の医師が○○病と診断した → ○○病の治療は、ゴールデンスタンダードでは××

という方程式が存在しています。そのためその方程式と異なる治療や診断方法などについて話をするときには、医師の聞き耳が閉じないように細心の注意を払っています。

ところが一般の方々や、苦しまれている患者さんにしてみたら、
○○病のゴールデンスタンダード(標準治療)がどうであれ、良くならないなら他の方法を試して欲しいというのが本当の希望のはずです。
世界のあるいは日本の常識的治療法がどうであれ、自分の苦しさが改善する治療法を医師から望んでいるのです。

今回の資料作りでも、多くのことを学び直しました。
本当に人の身体や脳というものは、計り知れない可能性があります。

また思い出しましたが、どんなひどい状況であろうとも自分の身体や脳は、その時の可能な限り全力で治癒させようとしているのです。

薬や食事や栄養素など・・・・全力で直そうとしている自分の助けになるように選択して供給してあげたいものですね。

さてこれから最後の仕上げに取りかかります。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 18:15 | comments(1) | trackbacks(0) |


脳とビタミンC
JUGEMテーマ:健康
ビタミンCの作用の分野では、オーソモレキュラー療法の創設者のひとりであり、オーソモレキュラーという言葉をこの世に残したライナ・スポーリング博士について触れなくてはなりません。
ポーリング博士は、物理、化学、医学など非常に広範囲の分野で多くの研究を行い、現在の物理化学の基礎を作った功績があります。その経緯の結果として脳の機能についてを、化学的に研究することによって作られた学問がオーソモレキュラー療法になるのです。
 
ポーリング博士がオーソモレキュラー療法の分野で強調されていたことの一つに、個人差を重視するというものがあります。このブログでも、ビタミンB群の必要量は環境や生活習慣も関係しますが、もともとの個人差が非常に大きく、場合によっては200倍ぐらいではないかと思うことなどを伝えました。
ポーリングは、どのような栄養素であっても同じ効果を出すためには個人差が大きく20倍の差があることを常にお話しされていたそうです。

つまり人によっては、ビタミンCの効果を得るために、1日の必要量が500mgの人もいれば10g以上の人もいるということです。厚労省は万人1日100mgで良いと言っていますが・・・。
前回のブログでは、多剤併用で薬剤を服用している患者さんや、たばこやアルコール摂取・・・大きなストレス下などでは、当然ビタミンCの消費量が大量になっているため、ビタミンCの必要量が増大することをお伝えしました。
さらに脳はビタミンCを大量に必要とするため血中から能動輸送を介して高濃度に維持する作用があるおともお伝えしました。
大きなストレス、多くの薬剤、喫煙、飲酒などの生活習慣が加わると、それらの要因が重なるたびにビタミンCの必要量が増し、通常存在する個人差である20倍を大きく超えることになることも予想できます。
これらのことを考えると、もしかしたら需要量が亢進している脳にたいして十分量のビタミンCを供給することが経口摂取では困難になることも容易に予想できます。

経口摂取で供給困難な量のビタミンCを点滴を用いて投与したときの脳への作用は、幾つもの機序が考えられます。

実際にビタミンCの点滴を精神症状の治療のために行うときに、薬のように切れ味鋭く効果がえられることがあります。
この変化については、おそらくビタミンCがもっている本来の抗酸化作用が関係しているのではないかと思っています。
酸素を大量に消費する脳は、通常でも活性酸素が発生するために酸化ストレスにさらされやすくなっています。薬剤も酸化ストレスを増強するものですが、酸化された薬剤は基本的に輸送や薬剤と細胞の結合など、薬理作用を発生させるあらゆる過程で支障を生じるため、薬理作用が大きく低下してしまいます。

大量のビタミンCを点滴することによって、速攻性に精神症状が改善するのは、脳内のフリーラジカル(活性酸素)が除去され、脳神経細胞の機能が正常化し、そしてもともと投与されていた薬剤の効果がしっかりと得られるようになることがひとつの理由でしょう。

しかしそれだけで説明のできない効果が幾つもあります。
それらについては、また次回からお伝えしようと思います。
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 08:44 | comments(4) | trackbacks(0) |


精神症状とビタミンC
JUGEMテーマ:健康
なんどかご紹介しましたが、うつ症状、幻聴、イライラ・・・様々な精神症状が増悪しているときに、ビタミンCの点滴を用いるようになりました。

これもこの治療を行われている多くの患者さんの臨床経過から始められた方法です。
用いるビタミンCの量は25gであり、しかも血管に点滴するので、その時の血液中のビタミンC濃度を経口摂取で達成することはとても困難です。

ときに激しい幻聴で薬でもコントロールできないような状態のときでも、ビタミンCの点滴をすることで数時間後に幻聴が収まったり、強い疲労感とうつ症状が点滴後に改善し身体を動かし家事をしたり・・・この点滴の効果であると明らかに言えるような変化を多く経験してきました。

オーソモレキュラー療法の創設者であるエブラムホッファー先生は、ナイアシンを用いた統合失調症の治療で有名ですが、彼のサプリメント処方には常に一定量のビタミンCが含まれていました。ナイアシンと共に重視されていた栄養素です。

今日はビタミンCが持つ多彩な作用がどのように精神症状の改善につながるのか・・・僕なりに考察してみたいと思います。

まずお伝えしておきたいことは、ビタミンCは水溶性であり大量に摂取してもすぐに尿中へ排泄されるので安全であるが、多くとっても意味がない・・・・という言い伝えは間違いであると言うことです。
私たちの身体の臓器によってビタミンCの含有量が全く異なります。

例えば水晶体には大量のビタミンCが含まれていて、紫外線を介した眼へのストレスを軽減する役割をしています。また副腎や脳にも、血液中の濃度よりもはるかに高濃度のビタミンCが含まれています。大量にビタミンCを摂取したり点滴したりすると、選択的にそれらのビタミンCを大量に含有している臓器にビタミンCが取り込まれます。つまり大量にビタミンCを摂取することは、ただ高価な尿を作っていると言うことではありません。

ここで気がついていただきたいことがあります。
それは、ストレス下で重要な働きをする臓器の代表である、副腎や脳は高濃度のビタミンCを含有している・・・大量のビタミンCを必要とする臓器であると言うことです。

さらに興味深い研究をご紹介します。
通常では、脳脊髄液は血液中の4〜5倍のビタミンC濃度を保っています。
つまり何らかの作用によって、脳脊髄液中の濃度を高くたもとうと意図的に働いていると言うことです。そしてビタミンCを投与することによって脳脊髄液中のビタミンC濃度がさらに上昇したというのです。

通常では、膜を介した液相に物質が存在するときには、お互いの濃度差がなくなるように変化します。ところが血液中よりも脳脊髄液の方が高濃度になっているということは、難しい言葉で言うと能動輸送・・目的をもった意図的な輸送によって濃度差をたもとうとしているのです。
さらにビタミンCを投与すると、脳脊髄液中のビタミンC濃度が上昇すると言うことは、能動輸送が働いていると言うことになりますので、ビタミンCが投与されていない時の脳脊髄液中のビタミンC濃度は十分な濃度ではないと言うことになります。

かなり回りくどい説明になりましたが、一般では人の脳脊髄液中のビタミンC濃度は必要量を満たしていないということを示すのです。

さてこのような状況で、フリーラジカルを大量に発生させるお薬を服用したらどうでしょう?
飲酒やたばこなどの、薬以外のフリーラジカル発生源を習慣にしたらどうでしょう?
ただでさえ不足状態である脳内のビタミンCがもっと少なくなることは容易に想像できるのです。

まずはこのような基本的な状態にあるということをご理解いただき、各論的な脳内のビタミンCの作用について今後お伝えしていきます。


| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 10:32 | comments(7) | trackbacks(0) |


今年もまた
JUGEMテーマ:健康

毎年この季節には、決まってすることが増えてきました。

ひとつは、今年で4年目になる日本大学芸術学部での講演です。
日本大学の芸術学部は、数々の有名なアーティストが学んび卒業した、この分野では有名な学部です。
そこでなぜ栄養の僕が講義を担当するのか?
いろいろな意図があると思います。サイエンスとアートは、全く相いれないもののように感じますが、実はサイエンスはとってもアートだなぁ〜〜と感じることが多くあります。

たとえば、僕が講演中によくつかう細胞膜の構造や、神経細胞の形やネットワーク・・・もっとミクロになってくると・・そうですね・・・例えば細胞膜にとりこまれるビタミンEの分子構造、あるいは2つの水酸基がバランス良く配置されているビタミンCの分子構造など・・・自然界に存在するアートとくに機能を有する美しさを感じます。
今年の講義では、人の体は理路整然と機能を最優先させていることや、それらの機能を担っているものが栄養でありすべて私たちの口から入る食材が材料であることを伝えられればと思っています。

いつも声をかけてくれる日大の教授は、日大の中で芸術学部の学生が他の学部の学生と比較して、もっともメンタル的なトラブルが原因で大学の診療所を利用することが多いと話していました。
当日は、いつものように芸術的に優れた脳は、燃費が悪く多くの栄養素を必要とすることを伝えようと思っています。
 

そうでした、この講義が5月8日ですが、その前のGWも毎年恒例になりつつある、カナダのオーソモレキュラーの国際学会へ出席する予定です。今年は、バンクーバーで開かれますのでオリンピックが終わったばかりの町の活気を感じることと思います。

この学会は、昨年お亡くなりになったホッファー先生が中心となり作られた学会です。そのため、演題の多くにメンタルヘルスが話題になったものが多くあります。今年は出席をどうしようかな・・・・と悩んでいたのですが、この学会の学会長であるスティーブン・カーター先生からお誘いのメールが来てしまったこともあるので出席してきます。
きっと何かしら得るものがあると思いますが・・・・・この学会に出席して思うのは、日本で実践されているオーソモレキュラー療法は、世界的に見ても非常にレベルの高いものであるということです。

自分のひそかなコミットメントは、10年後にこの考え方が日本の医師にも一般の方々にも『常識』になっているというものです。

そのためにも、この春のほぼ毎週の講演会や勉強会もがんばって乗り切りますよ〜〜!!

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 19:47 | comments(2) | trackbacks(0) |


あるママからのお知らせ
JUGEMテーマ:健康

 今まで息子を他の子と比べていました。
・他の子ができることが息子は遅れていたり苦手でできない。
・他の子と同じようにやらせようとすると、本人が嫌がって逃げていたり
・他の子が出来ないことがずば抜けて出来ることもあるので、もう少し苦手な部分も出来てくれ〜

子育てに戸惑い、私自身子育てってこんなに大変なのか…と息子に当たったり自分を責めたりしていました。でも先日の診察で息子はすばらしい脳の持ち主と言われて今まで悩んでいたことに別の見方ができるようになりました。
『この子はみんなとは少し違う才能を持っていて個性が強い』

そして周りと比べるのはやめようと思いました。
余談ですが息子は、ひらがなやカタカナ以外にSHARPとかSONYとかDOCOMOとか英語も読めてしまうんです。それから決まった時間になるとテレビを自分で操作して好きなチャンネルにして自分がみたいテレビを見たり…そんな息子の才能をサプリを飲ませてもっと伸ばして行きたいと思いました。私も息子に負けないように食事を気をつけて強迫症状を治して行きたいと思いました。ありがとうございました。

**********

この文章は、栄養療法で薬が不要になるほどまで改善した強迫神経症と診断されていた女性からの報告です。
この息子さんは、まだ3歳になっていません。
数回曲を聴くと、そのまま歌うことができたり興味あることへ素晴らしい集中力を発揮することができたり・・・ただ同じ月齢の子供と比較すると会話での遅れが小児科で指摘され、児童精神科の受診を勧められていると相談されたのです。

僕は、この報告への返答で
「周りとの比較なんて、くそ食らえです!!」
と非適切な表現をつかってママへエールを送りました。
それこそ、また非適切ですが、”みそクソ一緒”にしてせっかくの才能をつぶすようなことはしないようにしなくてはなりません。
もし仮にこの息子さんが発達障害などと診断されると、お母さんや周りの人たちの理解と環境が大切です・・・・のように終わってしまうことでしょう。
お子さんへの積極的なアプローチというものがなかなかないのが現状です。
この子の場合には、お母さんが辛い症状を栄養療法で改善してきたという経緯があるので、きっと息子さんの才能や特性をより生かし本当に本人にとっての最善のアプローチが可能となることでしょう。
| 発達障害 | 08:37 | comments(6) | trackbacks(0) |


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