うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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カナダの学会へ行ってきます
JUGEMテーマ:健康
 ことしもオーソモレキュラー療法の年1回の総会がカナダバンクーバーで開かれます。
昨年はモントリオール、おととしはバンクーバーです。
おととしのバンクーバーの学会のときには、今回のバンクーバー冬季オリンピックの準備がすでに始まっていましたが、今回はそのオリンピックが終わった後になりました。
おととしには、ホッファー先生のビクトリアにある自宅を訪れ元気な姿を見て再開を約束したのですが、昨年5月にホッファー先生はお亡くなりになってしまいました。

ことしの演題は、ビタミンDに関するものが多くなっています。
このブログで関係するような話題がありましたたらお知らせしたいと思います。

ビタミンDは、皮下で紫外線によって活性化され体内で多くの働きを有しています。
主な働きは、カルシウムの調節であるので、骨代謝のコントロールについて広く知られていました。
ところが、北欧を中心とする地域では、冬季に日照時間が極端に短くなることと、うつ症状の発症に関係があることなどから、その機序にビタミンDの活性低下が関係していることが考えられるようになり、冬季にうつ症状が強くなる方々へビタミンDの投与が行われるようになりました。

またビタミンDは、ビタミンA,Kや甲状腺ホルモン、ステロイドホルモンなどと同様に、細胞の核内に特異的なレセプターが存在することが知られるようになり、カルシウム代謝だけではなく、細胞の分裂や分化に深く関係していることが理解され始めています。
このことは、がんの予防や治療へ応用されることが可能であり、にきび・乾癬・アトピー性皮膚炎・・・そのほかの細胞の分化以上を伴う病態への応用も可能であることを示します。

どんな新しいことが発表されるか楽しみです。
ちょっと時間ができたら、キングサーモンを狙って釣りに行きたいと思っていますがどうなる事やらです。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 13:23 | comments(4) | trackbacks(0) |


食材の負荷試験について
JUGEMテーマ:健康
低血糖症の治療をしているときに、様々な食材に反応する患者さまがいらっしゃることに気がつきます。
血糖の上昇が少ない・・・あるいは、上昇しないはずなのに、低血糖症の症状が生じるときには、従来の血糖の調節障害によって症状が起きるということでは説明できないことがあります。
その一つは、コメントで書かれていたアレルギーという概念です。そしてそのアレルギーという概念も従来のものとことなる考え方も必要となります。

さて今回のドクターの自らの実験では、治療に参考となるいくつかの結果がありました。
その一つが、デコポン負荷試験でした。
これまで果物の摂取でも多くの精神症状が生じる患者さんがいらっしゃることを経験しているので、新宿のクリニックでは、糖度の高い果物の摂取は控えるように指導していました。

デコポンは柑橘類の中でも糖度は高い方のようですし、実際に実験で使ったデコポンも甘くて美味しいものだったそうです。

糖度という概念もあいまいで、測定法によって値が大きく異なったりします。
食品成分表では、デコポンの記載はありませんが、柑橘類-柑橘類の掛け合わせでデコポンが属しているタンゴール種では、100gあたり12.7%が炭水化物として示されています。このことをみると、果物の糖度は、およそ含有している炭水化物(糖質)としてよいかもしれません。

残念ながら、デコポンに含まれる糖質のどの程度が果糖でどの程度がブドウ糖やその他の糖類なのか分かりません。ただ今回のドクターの実験での血糖の上昇は、想像をはるかに超えるものでした。

果物を食べた後の低血糖様の症状の原因として、血糖の乱高下・食材にたいするアレルギー・腸管カンジダ感染などが考えられます。今回の負荷試験の結果では、血糖の乱高下が果物の摂取によっても容易に起こることを確認することになりました。

今回の実験でもデコポンを食べるだけで、30分後に70以上の血糖上昇が起こっています。
やはり果物をジュースで摂取することの危険性を十分に予想することができると思います。

果物に含まれる果糖(フルクトース)については、今回ご紹介した血糖の乱高下の問題とことなる別の大きな問題がありますので、それは別の機会で紹介します。

果物をどうしても食べたければ、
・繊維質やタンパク質をしっかりと含んだ食事の食後に
・少量を
・ゆっくりと
食べることが基本になります。
さらに可能であれば、なんらかのタンパク質や脂質と一緒にとることが、その影響を小さくすることになるでしょう。

また太りたくなければ、夜の果物摂取は控えることが良いでしょう。



 
| 低血糖症 | 21:10 | comments(2) | trackbacks(0) |


昨日の勉強会にて
JUGEMテーマ:健康
 昨日は、医師向けの勉強会アドバンスコースでした。
その内容は、別の機会にお伝えすることとして・・・・勉強会に参加している医師から、とても興味深い資料をいただきました。

そのドクターご自身も低血糖症であることから、糖代謝に興味をもち実際の様々な食材を用いて5時間深検査を行い、その結果を持ってきてくれたのでした。

この先生は、ご自身がコーヒーが大好きということでコーヒー単独の5時間負荷や、コーヒーを飲んだ後に食材を食べて5時間負荷検査・・・などざまざまな検査を行なわれていました。

空腹の朝に、コーヒー一杯のんでその後に5時間飲まず食わずは、結構辛かったのではないでしょうか??

この結果は、ブログをお読みの方々にもとても参考になると思いますのでお伝えしようと思います。

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実験1  3月某日 ブラック珈琲負荷試験

方法:空腹時にブラック珈琲を飲み、その後5時間(11回)採血を行なう
結果:ブラック珈琲を飲んだ後も血糖値の上昇はなく、その後の血糖の低下もない。

注 : 低血糖症で交感神経緊張症状(不安、イライラ、動機、頭痛、手の痺れなどなど)がある方はカフェイン摂取を控えることをお勧めします。

実験2  3月某日 ゆで卵負荷試験

方法:空腹時にゆで卵を食べ、その後5時間(11回)の採血を行なう
結果:ブラック珈琲同様に、血糖の上下はない

実験3  3月某日 果物(デコポン)負荷試験

方法:空腹時にデコポンを食べ、その後5時間(11回)の採血を行なう
結果:血糖値 空腹時91 30分後168 60分後 111 その後血糖の変化なし

※ 低血糖症の患者さんが、空腹時の果物を摂取することの危険性が実証されました。

実験4  3月某日  ブラック珈琲後、白パン摂取

方法:ブラック珈琲を飲んだ後、白いパンを食べ 5時間(11回)の採血を行なう
結果:血糖の変化 空腹時 102 30分後 164 60分後 186 90分後117 180分後 82

※ ブラック珈琲の摂取は影響は少ないと思われます
※ 白いパンは、急激な血糖の上昇とその後の急激な血糖の低下をもたらす。さらに反応性に空腹時よりも血糖を下げる

実験5  4月某日  ブラック珈琲後、全粒粉パン摂取

方法:ブラック珈琲を飲んだ後、全粒粉のパンを食べ 5時間(11回)の採血を行なう
結果 血糖の変化  空腹時 97 30分後 173 90分後 90 その後血糖の変化なし

※ 全粒粉のパンは、白いパンと比較して血糖の上昇が少なく、その後の反応性の低血糖が無かった
※ 白いパンに比較して血糖の変化が緩やかであることは、確認できたが低血糖所の方が空腹時に食べる食べ物ではない

実験6 4月某日  納豆負荷試験

方法: 空腹時に納豆を食べ その後5時間(11回)採血を行なう
結果: 血糖値の変化はない

※ 納豆には10%程度の糖質が含まれているが、血糖への影響は無視してよいと思われる

実験7 4月某日  プロテイン10g+豆乳 その後全粒粉パン負荷試験

方法: 治療でもちいているプロテイン10gを豆乳で飲み、その後全粒粉のパンを摂取
結果: 血糖値 60分後 137  その後血糖の変動なし

※ 全粒粉のパンを食べる前に、プロテインを摂取することによって、血糖値の上昇が緩やかになりピークが60分に移行し血糖値も低く抑えられた。その後の血糖の低下も緩やかであった。



いかがですか?
約2ヶ月間で、7回 5時間の負荷検査を行なわれています。
そして非常に貴重な結果を教えてくれました。
この昨年5月にカナダで開催されたオーソモレキュラーの学会でも、演者のドクターが自らビタミンCを飲み、飲み方の工夫などで血中濃度に違いがあることを発表されていました。
世の中の学会は、大規模な検査でしかも二重盲検という方法のものしか貴重な試験として評価しません。
ところが同一の人物で、このような多種の検査をおこなうことは、日常生活をおくるうえで我々にはとても貴重な情報となります。

次回は、この結果についてもう少し考えてみようと思います。
| 低血糖症 | 20:25 | comments(19) | trackbacks(0) |


いくつかの疑問が・・・
JUGEMテーマ:健康
 低血糖症とう病態の治療をしていて、いくつか疑問に思うことがあります。
それは、血糖の変化やインスリンの変化だけで説明できなことが幾つもあるということです。

たとえば、
・ブドウ糖を経口摂取して血糖を変動させると様々な症状が生じるのに、点滴でブドウ糖を投与しても激しい症状はでないとか・・・・

・本来であればブドウ糖よりも砂糖の方が症状が強く出るとか・・・・

・ブドウ糖、砂糖よりも多糖類で影響が少ないはずの白米やフライドポテトなどの方が症状が強くでるとか・・・

・血糖値の変動がないはずの甘味料で、まるで低血糖症の症状がでるとか・・・先日は、幻聴が生じた患者さんがいらっしゃいました

・果糖が甘さの主成分である果物で症状が強く出るとか・・・・


低血糖症の書症状が、血糖のスパイクや血糖の乱高下、インスリンの分泌障害などが原因でおこるとすると、これらの事象は説明ができないものが多くあります。
もちろん、各事象について、体内の生化学的な反応を考察して、症状が起こる機序について予想することは可能なのですが、それが事実かどうかの検証はとても困難です。

治療ということから考えれば、理由がどうであれ悪影響があることが予想されるものであれば避ければよいのですが、科学者の端くれである自分とすると納得したいという気持ちがあります。

甘いという感覚に毒されてしまった自分を含めた甘党の方々とすると、甘さを避ければよいといことが分かっていても・・・・・という気持ちがでることは理解できます。自分場合は、やはり理論的なところで納得することが行動へ移せる一つのモチベーションにもなるようです。

| 低血糖症 | 08:35 | comments(19) | trackbacks(0) |


うつと肥満の関係
JUGEMテーマ:健康

 うつ症状を始め不安症状あるいは幻聴や妄想など・・・・多くの精神症状が生じる時期の前後に体重の増加を経験される方が多くいらっしゃいます。
投薬の内容も大きく影響するのですが、それだけではない体重変化も多くあります。

今回、興味深い報告を見つけましたので自分の考えも加えてお伝えすることにします。

ロンドン大学のMika Kivimaki博士らが昨年報告したものです。
研究の内容は・・・

対象は、1980年代中頃35歳から55歳だった英国公務員4,363名という大規模なものです。
この対象となる集団を19年間追跡調査を行いました。
この機関に3回、精神上の問題点と共に、体重、身長、肥満指数(BMI)などを測定しています。

結果
抑うつ症状、不安症状などの精神的な不安定な人たちでは、精神的な問題が無い人たちと比較して肥満になる傾向が約2倍である。

レポートにある考察では、うつ状態では運動量が減り食べる量が増えることが関係していることや、肥満には悪いイメージがあるため、それがうつ症状を引き起こすのであろうと述べられています。


さてここで、このブログのテーマの一つである低血糖症とうい概念からこの報告を見てみると、違った考察が可能になってきます。

○ 糖質摂取後の血糖調節にトラブルが生じる
○ インスリン抵抗性の形成
○ それまでと同じ食事内容であっても太りやすくなる
○ 血糖の変動による食欲の亢進
○ 糖質への依存形成

その結果として、様々な栄養障害が併発してうつや不安と言った精神症状が生じるようになる。

このような考えは、ブログをお読み頂いている皆さんであれば、納得して頂けるものだとおもいます。
ところが海外の有名雑誌でもこのような考察もなく,最近国内では、インスリン抵抗性によるメタボリックシンドロームとうつについて話題になっていますが、これまた早期に発見して適切な治療??をしましょうというキャンペーンにとどまっています。

この考えがもっと広く一般的になるには、まだまだ先の長い道のりが待っていますよ〜〜

| うつ病 | 11:44 | comments(1) | trackbacks(0) |


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