うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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講演会のお知らせ 
JUGEMテーマ:健康

急に涼しい風が吹き、数日前までの暑さが遠いことのように感じてしまいます。風邪などを引きやすい天候ですので服装などに気をつけてください。

今年は毎年行なっていた東京での講演会の予定はありませんが、10月・11月・12月と各月に1回東京以外での講演会が開かれる予定になっています。
それぞれ主催者が異なり、講演の内容も変わります。
お近くの方は是非ご参加ください。私たち人の脳や身体にとって、栄養がいかに大切なことであるのかをご理解いただく機会になればと思っています。

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<10月:静岡県島田市>

10月3日(日) 13:00〜15:00

島田市健康まつり "健康づくり課講演会"
○ ゲスト講演(溝口 徹)
 『うつは食べ物が原因だった!』

[詳細・問い合せ先]
 島田市健康づくり課(島田市役所 代表TEL:0547-37-5111)

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<11月:福岡県福岡市>

11月7日(日) 13:00〜16:30 (開場12:00)
コミセンわじろ 多目的ホール(JR福工大前駅ビル内)
定員:250名 / 参加費:1,000円 

ひきこもり・不登校を身近な問題に〜
ひきこもり支援相談講演会 [→ 詳細案内ページ ]

○ ゲスト講演(溝口 徹)
 『"ひきこもり"は、脳の栄養不足!? 〜栄養アプローチの可能性』

○ 症例・食事指導例発表(ひきこもり支援相談士 伊藤夕里亜)
 『糖質コントロール食 〜心の安定は血糖値の安定です』

○ 体験談


[主 催]
 一般社団法人 ひきこもり支援相談士認定協議会

[申込み・問い合せ先]
 担当 ひきこもり支援相談士 伊藤夕里亜
 (イトウデンタルクリニック TEL:092-942-1103)

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<12月:大阪府大阪市>

12月4日(土) 13:45〜16:00 (開場13:00)
大阪国際会議場(グランキューブ大阪)
12階・特別会議室
定員:400名(申込み先着順)/ 参加費:無料 

オーソモレキュラー.jp講演会
こころとからだの栄養 〜うつからガンまで 最新アプローチ
 [ → 詳細案内ページ / 申込みフォーム ]
 [ → 案内フライヤー(PDF)]

○ 講義1『笑いと健康』(ゲスト講師:大平 哲也)
○ 講義2『脳と体を元気にする栄養療法』(講師:溝口 徹)

[主 催]
 オーソモレキュラー.jp

[申込み・問い合せ先]
 オーソモレキュラー.jp事務局(新宿溝口クリニック内)
(TEL:070-5597-2928 / FAX:03-3350-6998)

| ひとりごと | 20:18 | comments(1) | trackbacks(1) |


血糖の調節と肝臓の機能 続き?
JUGEMテーマ:健康


少し前に血糖の調節と肝臓の機能についてお伝えしました。
糖質を含んだ食材を食べて、血糖値が上昇しインスリンの働きで細胞内へブドウ糖が取り込まれエネルギーが作られます。
この一連の働きは、簡単に言えばブドウ糖からエネルギーを確保するということになります。

ブドウ糖を出発点としたエネルギー産生の経路は生体にとって非常に重要であるため、この経路が障害されないように様々な代償機構が存在します。
肝臓には、ブドウ糖をすぐに作れるように食材の糖質からグリコーゲンが蓄えられます。
筋肉にもグリコーゲンが貯まります。

もし血液中のブドウ糖が減ったときには、肝臓のグリコーゲンが分解され血液中にブドウ糖が放出され血糖値が下がらないように調節されます。
筋肉のグリコーゲンは分解され、筋組織でエネルギー源として利用され血液中のブドウ糖が筋肉の活動で消費されないようにエコ運転のように調節されます。

この反応は、アドレナリンの分泌が引き金になるものなので、不安やイライラなどをいつも感じていて交感神経の過緊張状態が継続されている場合には、十分な量のグリコーゲンが蓄えられずグリコーゲンからのブドウ糖の供給障害がおこるかもしれません。

脂肪肝のように肝臓の全体に影響がある病態の場合には、肝臓へのグリコーゲンの貯蔵が著しく低下します。
また同時に前回にお伝えした食材に含まれる糖質から得られた門脈のブドウ糖がインスリンを介さない経路で肝細胞へ取り込まれる経路も障害されます。

つまり食後の血糖の上昇を抑えることが出来ないため、急激な血糖値の上昇を招くことになりインスリンが過剰に分泌されます。
ところが肝臓にはグリコーゲンが蓄えられないため、過剰なインスリンによる血糖の低下が起こっても肝グリコーゲンからのブドウ糖供給が足らないため容易に低血糖が生じてしまいます。

さらに悪いことに、大量のインスリンのために肝臓ではさらに脂肪蓄積が増え上記の反応をさらに増悪させることになってしまいます。

そあ、どうしたらよいでしょう?
やはり糖質に依存しない経路でエネルギーが十分にまかなえるように身体を整えることが重要になりそうです。



| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 11:27 | comments(2) | trackbacks(0) |


ADHDといわれたお子さんの経過
JUGEMテーマ:健康

血糖調節障害を伴っていたので、8歳の男の子ですが糖質制限を始めました。
同時に、必要な栄養素も補充しました。

甘いものを止め、糖質制限をすると、すぐに症状に変化が現れます。
家では食事のコントロールができるのですが、学校では給食があるため糖質制限が困難でした。
明らかに給食の摂取で多くの症状が出るため、学校と相談し許可を得て弁当による昼食に変更しました。
効果は明らかでした。

お子様への栄養補給だっため、使用した栄養素も粉タイプを用いて、少しでも飲みやすい容易工夫したのですが、その栄養素の味が合わなくなり錠剤タイプへ変更するほどです。

症状の改善は、

・毎日白いソックスのまま家に帰るようになった・・・・学校で上履きを履いている
・学校から電話は一切掛かってこない
・筆圧が増し、字がしっかりと書かれる
・成績があがった
・学校からの連絡事項も伝えられ、物忘れが減った
・教室で1〜2名しかもらえない very good の特別なハンコをもらってくる

お母さんも、先生も驚くような変化でした。

今回の外来で、治療前の症状を改めて伺い、そのままであったとしたら・・・・多くの場合には・・・

・スクールカウンセラーから医療機関の受診をすすめられ・・
・ADHDの診断が下され
・コンサータなどの投薬が行なわれた

ことになっていたことでしょう。
その後の多くは、多剤併用の投薬治療になることが多いです。

ところが、この患者さんには後日談が・・・
おじいちゃんの家で、お菓子を食べてしまったのです。
この行為で8歳の男の子を責めることはできません。
ここまでが、こころから承認すべきことでした。

そしてお菓子を食べた翌朝に、久しぶりの頭痛と吐き気と嘔吐に襲われました。
これまでの治療経過があるので、きっと今回の影響は長引かないことと思います。

ひとつ大人?になって、また自分の選択で治療に取り組んでくれるものと思います。

| 発達障害 | 22:48 | comments(1) | trackbacks(1) |


ADHDと言われたお子さんの経過
JUGEMテーマ:健康


8歳の男の経過です。
栄養療法を始める前には、週に何度も学校の先生から電話が掛かってきていました。
その内容は・・・

・授業中、座っていることができず歩き回る
・友人関係でトラブルを起こす
・とにかく忘れ物が多い
・連絡事項を伝えることができない
・上履きを校舎で履くことができず、いつも靴下で居る
・すぐに疲れ、集中して授業を聞くことができない

お母さんからのお話しでは

・学校で上履きを履いていないので、毎日ソックスが真っ黒
・筆圧がとぼしく、ヨレヨレの字を書く
・非常に疲れやすく、学校から帰るとゴロゴロと寝てばかり居る
・イライラ感が強く、些細なことで不安になったりくよくよしたりする

検査データの問題点は、

・血糖調節障害
・鉄欠乏
・ビタミンB欠乏
・たんぱく質不足

などの問題点を認めました。
そして8歳の男の子への糖質制限を含めた栄養アプローチが始まりました。



| 発達障害 | 23:41 | comments(1) | trackbacks(0) |


血糖調節と肝臓の機能
JUGEMテーマ:健康

今日は、久しぶりに雨が降っています。
しかも大雨・・・・水曜日の辻堂のクリニックには患者さんがどなたも来ていません・・・ちょうど良い程度に降ってくれると良いのですが・・。

先日、日本脂質代謝学会がコレステロールの基準値について、多くのデータに基づきながら現在のLDL基準値についての反論を出してくれましたね。
そのことがニュースステーションでも取り上げられたので驚きました。
新聞各社でも取り上げられたことで、少しでも正しい情報が多くの方々へ伝わるきっかけになればと思います。
ただ、両極端の情報を厚生労働省がまとめるとなると・・・・その方向性は想像がついてしまいます。

日本脂質代謝学会を始め、これまでブログでも紹介してきた脂質オープンスタディーなどの信頼できるデータを公表しているところは、厚生労働省や製薬メーカーとは関係のない団体です。どちらかというと、文部科学省のほうと関係があったりします。ですので厚労省が指針を出すとなると、やはり動脈硬化学会の指針が重視されることになるでしょう・・。フェアな判断と情報公開をしてほしいものです。

さて、前回のブログからまた期間があいてしまいました。
今日は、肝臓と血糖調節についてを少しお伝えします。

血糖調節に深く関係する臓器は、肝臓・筋肉・脂肪組織 です。
それぞれインスリンという血糖を下げる働きがあるホルモンの標的臓器でもあります。
その中でも肝臓は、血糖調節においては主役と言って良いでしょう。・・・・というよりたんぱく質も脂質も代謝の面では、肝臓は主役です。ですので肝臓の機能低下・・・・一般に肝機能障害と指摘される以前でも・・・があると、栄養代謝には大きな支障が生じるようになります。

そんな複雑な代謝の調節を肝臓が担っているのですが、血糖調節という点に絞ってみます。

まず食事を摂ると、含まれている食材(主には糖質)の影響で小腸からブドウ糖が吸収され腸管周辺の血液中のブドウ糖濃度が上昇します。腸管周辺の血管は食材からの栄養素が大量に含まれている特殊な血管で、それらの血管の集まりが門脈と呼ばれる太い血管になります。
その門脈からブドウ糖濃度が高く、その他の栄養素も豊富に含まれた血液が肝臓に運ばれます。
食事からの栄養素多くを含んだ門脈経由の血液に存在するブドウ糖は肝細胞へ取り込まれます。
多くの細胞は、細胞内へブドウ糖を取り込むときにインスリンを必要としますが、この門脈経由のブドウ糖が肝細胞へ取り込まれるときにはインスリンを必要としない経路(GLUT2)によって細胞内へ移行します。

このインスリンを必要としないブドウ糖の取り込み能力は非常に高く、通常では少々甘い物を食べても血糖値が上昇しないというのはこのためなのです。

5時間糖負荷検査を行うと、ブドウ糖摂取後に急激に血糖値が上昇しその後に急激に血糖値が低下する・・・パニック発作を起こしやすいタイプの曲線を描く場合が多くあります。
このブドウ糖摂取後の急激な血糖上昇は、門脈を介したブドウ糖がGLUT2によって肝細胞へ取り込める量が少ないことが主な原因なのです。
糖尿病の患者さんの場合でも、空腹時血糖はそれほど高くないのに食後血糖が高値になる・・・・と言うときにも、上記のようなGLUT2を介したブドウ糖の肝細胞への取り込み障害が原因になります。

インスリンを介した血糖調節を改善させるためには、インスリンの効きを良くするように栄養アプローチをすれば良いのですが、インスリンを必要としない経路でのブドウ糖取り込みの障害にはこれと行った治療法がありません。
やはり肝臓の機能をあげる・・・回復させることが重要なのです。

肝臓には薬なし 栄養と休息が一番

肝炎の治療は、同室の患者さんよりも一品豪華な食事が出てきて、食後の横になってもらうことが治療です。
ところが低血糖症の患者さんの肝臓は、ときに栄養過多による肝臓の負担なので上記のような方法では効果が期待できません。
どのような肝臓の状態が食後のブドウ糖の取り込みを障害するのか、また次回に。
| 低血糖症 | 16:54 | comments(2) | trackbacks(0) |


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