2011.02.23 Wednesday
ADHDの子供の半数に食物アレルギーが関与
JUGEMテーマ:健康
興味深い論文の情報がありましたので、少し考察を交えながらお知らせしたいと思います。
これはLancetという医学系ではとても権威ある雑誌に掲載された論文です。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)62227-1/abstract
ADHDの約半数に食物アレルギーの関与が疑われ、除去食をすることで症状が改善した・・・というものです。
論文では、IgE型アレルギーとIgG型アレルギーとADHDの関係についても比較していますがIgE型アレルギーとADHDとの関連性は見いだされず、IgG型アレルギーが生じていた食材を除去することによって高い確率で症状の改善が得られたとしています。
日本ではIgG型の食物アレルギー検査が保険で行われていないため、多くの医師はその存在すら知らないかもしれません。保険診療でできる医療こそがエビデンスのある治療と勘違いされている方が多くいらっしゃいますので。。。
ホッファー先生はご自分の食事でも多くの食材を避けていました。それはアレルギーのためであると話さされていました。ときに普段避けている食材が入ったものを食べると、その後数時間体調を崩されベッドで横になっていることもありました。
マイケル・レッサー先生は、多くの精神症状に脳アレルギーが関与していると、彼の講演の中で話されていました。最初のレッサー先生の話を聞いたときには、脳アレルギーとはどんな病態なのか・・・なかなか理解することが出来ませんでした。
その後、IgG型の食物アレルギー検査が可能となり治療に応用するようになり徐々にその病態を理解することが可能となりました。
我々医師が理解しているアレルギーという病態は、どうしてもIgE型のアレルギーを想像してしまいます。一般の方々もそばアレルギーやたまごアレルギーなどが知られているので、アレルギーといえばIgE型の症状を想像されるでしょう。
IgG型アレルギーには典型的な症状というものはありません。
今回の論文のように子どもの行動異常や注意欠落などの症状に関係したり,攻撃性に関係したりします。
大人の場合には、抑うつ症状や疲労感などとも関係することが多くなります。
またアレルギーによって幻聴や幻覚が起こっていると判断できる患者様もいらっしゃいました。
ところがこのような事例があっても、現在の比較対照試験によって証拠を証明するという方法論では、どうしても明確な結果がでてこないでしょう。
今回の報告は、ADHDという病態にIgG型食物アレルギーが関係していることを、医療界で認められている方法論で証明したというところに意義があります。
そのことは非常に大きなことなのですが、アレルギーはもっと多くの症状と深く関係しているのです。