先週の土曜日は、ビタミン学会の勉強会へ参加してきました。
講演のタイトルにこどもにおける現代のビタミン欠乏という内容を見つけたからです。
そこでは現代の食生活ではすでに無くなったと考えられている、ビタミンD欠乏によるくる病やビタミンB1欠乏による脚気などが実は多くあることが紹介されました。
1歳8ヶ月のお子さんの下肢の変形について検査してみたところクル病であったと言う患者さんが紹介されました。
この患者さんは、お母さんが日光過敏症で日中にほとんど外出することがない生活をしていました。
そのため出産後もお子さんが紫外線に当たることがほとんど無かったのです。
さらに、紫外線にあたっていなかったお母さんの母乳中のビタミンDは不足しており、母乳からの供給も足りていなかったために起こってしまったクル病による下肢の骨の変形でした。
適切な栄養指導と日光浴の重要性の説明などによる生活習慣の改善とビタミンD製剤の投与によってこの患者さんは改善されています。
次に紹介されたのは、1歳3ヶ月の男児でした。
8ヶ月で断乳
その後は、米中心の食事でした。
さらに飲み物は身体に良いと考え、飲むものは全てイオン飲料でした。いわゆるスポーツ飲料というものですね。
吸収が早く、身体似よい印象のコマーシャルが流れていますし、哺乳びんの吸い口がそのまま取り付けられるタイプの物も売っているので、赤ちゃんが飲んでいる光景を良く目にします。
このお子さんは、毎日平均して1.5リットルのイオン飲料を飲んでいました。
その結果、身体が浮腫元気がなくなり近く医療機関を受診したのです。
もうぐったりしていて、呼びかけにも答えないような状況なので大学病院へ紹介されます。そこでレントゲンをとると心臓が肥大しており、その他の検査所見から重篤なビタミンB1欠乏=脚気であることが判明しました。
十分な量のビタミンB1を補うことによって数週間で劇的に改善し元気に退院されたとのことです。
この患者さんの場合には、米中心の食事とイオン飲料という糖質摂取過剰による消費の増大と、そのような内容の食事なので摂取不足も関係したために起こった脚気でした。
その他、乳幼児で脚気となり治療されたお子さんたちの多くは、イオン飲料を多飲していました。
なかには、粉ミルクを溶くのもイオン飲料にしていたり、1日平均3リットルも飲んでいたお子さんも居ました。
なかには、5日間のイオン飲料を飲んだことによって脚気を発症したお子さんもいました。
風邪で熱がでたりすると、ついつい身体に良さそうと思いイオン飲料を与えてしまいますが、含まれている糖質の影響によってビタミンBが大量に消費されてしまうのです。
5日間で欠乏症を発症してしまうということは、すでに欠乏状態であったことは容易に想像できます。
毎日多くの患者さんの血液検査データを診ていますが、実は脚気に至らないビタミンB欠乏の方々はとても多くいらっしゃるのです。
低血糖症だけではなく,こんなところにも現代の糖質摂取過剰の弊害がでているのですね。