うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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立派な青年になって・・・
JUGEMテーマ:健康


今日は、2年ぶりに採血に来てくれた患者さんが居ます。
22歳の青年です。
この4月から大学4年生。薬学部なのでまだ3年ありますが、全く問題無く過ごしてくれるでしょう。
薬学を勉強していても、ビタミンなどの栄養については新しい知見が教科書には載っていないので、自分で積極的に勉強しているようでした。

カルテを見返してみると、初診が2006年ですのでもう6年前です。
遠方からわざわざ新宿へきてくれたときには、やせたていてまだまだあどけない少年の雰囲気でした。
それが今日は、22歳の青年です。
その成長を共に見させていただいて、とても嬉しくおもいました。初診時の頃の彼を思い出すと別人の雰囲気で感動すら覚えます。

その彼は、中学生時代から様々な不調になやみ14歳でうつ病の診断。
投薬が始まりまり、初診時には下記の処方でした。

トレドミン 25mg 4錠
アナフラニール 10mg 6錠
ユーパン 1mg 3錠
リズミック 2錠

治療開始後、山あり谷ありでしたが年1〜2回の検査を継続し、4年前に大学受験。
いくつもの大学に合格し現在の国立大学に通っています。
今日は、成績表ももってきてくれましたが、”優”がいっぱいならんでいました。
しかもサークル活動では、被災地へのボランティアが新聞で取り上げら得ていた記事もみせてくれました。

今日の診察室では、なぜ自分は多くのナイアシンやビタミンB群が必要なのか?
ということでした。

この先は、ホッファーの仮説です。
ナイアシンは私たちの身体の中で作ることができるものです。そのためよほどのことがない限り欠乏症にはならないと思われています。
ところがわたしたちの身体での合成が不十分な人たちがいるというのです。
そのような方々の多くは、並外れた集中力をもち、創造性に富み、自己表現に優れています。
ホッファーが言うには、早い方で10代前半で合成がたりなくなり、多くは10代後半でたりなくなるために、それらの年代で精神症状を含めた多くの不定愁訴が生じるというのです。

これがホッファーの言うナイアシン療法の効果がある理由のひとつと言うことができます。

お母さんは、NHKなどでうつ病の新しい治療などを特集しているけど、栄養療法が紹介されないのが残念だとお話しされていました。
たしかに初診時の処方が継続されていたら、高校の勉強は困難であったと思います。さらに薬学部の難しい勉強をすることは無理でしょう。

先日は、全国の心療内科や精神科のドクターを中心に70人以上の方々に参加いただいて、この治療についての精神疾患への応用について話をしました。
一人でも多くの専門医にこのアプローチの存在を知っていただき臨床に応用していただければと思います。


お子さんのトラブルと栄養の関係について、来週講演(PDFファイル)があります。長野県上田市です。
いま資料を作っています。
講演の後には小さなスペースで座談会のようなものもあるそうです。
ご都合がつく方は、是非参加ください。

こころと栄養 研究会 うえだ:主催講演会『子どもの困ったは食事でよくなる!』
| うつ病 | 15:00 | comments(1) | trackbacks(0) |


性格なのか?代謝の特徴なのか?
JUGEMテーマ:健康


ことし19歳の男の子です。
この治療を始めたのが16歳の時です。
初診時のカルテを見直してみると、次のような記載がありました。

困っている症状について
・物心ついたときから、人が怖い、人が自分の悪口を言っているように感じる
・意欲がなく疲労感がつよい
・これらのために外出ができない。特に電車に乗ることが辛い
・心療内科から処方された薬を飲んでいる

治療の最初のころは、家から新宿のクリニックへ来ることだけでも大変だったのでしょう。
待合でも緊張感が強く、診察室へ入るときには本当に疲れ切った印象でお母さんにやっと連れられて入るような感じでした。
治療2年を経過した頃から、一人で受診するようになります。
電車などでの違和感も取れてきて、診察室でもエネルギーが残っている印象が出てきました。

どうにか入学できてもなかなかコンスタントに通えなかった大学にも、毎日休みも遅刻も無く通えるようになりました。
検査データも落ち着き、今では日常生活レベルでは全く問題のない状態になっています。

先日の診察では、最近は中学や高校時代の友人の多くと会うことができるようになったそうです。
今までは、とにかく人といることに緊張し疲れ果ててしまっていたのですが、最近は友達との時間が楽しいという感覚を伴うようになって来ているそうです。

彼の言葉からすると、『生まれて始めて、人といて楽しい』 という感覚です。

人への恐怖心や悪口を言われていると感じてしまう症状を投薬だけで治療すると、様々な情報に対する反応を鈍くさせてしまうため、このような改善経過が得られません。

この患者さんは、ナイアシンの至適量が1日2〜3gです。(※量については個人差があるので、必ず栄養療法に詳しい医師の指導にしたがってください。)
この量は、食材から供給することが不可能です。
ナイアシンは自分の身体で作ることができますが、ホッファー先生は自分で合成することが困難な人が居ることがナイアシン不足の原因となり、この治療の効果があると指摘していました。
また、統合失調症といわれる方々の中には、脳内のナイアシンレセプターとの親和性が低下するため大量のナイアシンが必要であることを示すことが報告され、この治療の理論的な根拠のひとつと考えています。

今日ご紹介した患者さんの、子供の頃からの感覚や性格のようなものは、ナイアシン代謝の先天的な特徴によって起こったと考えることもできるのではないでしょうか?
いずれにしても、至適量の栄養素を補うことによって人との関わりの違和感が消失し、一緒に居ることに楽しさを感じるようになる可能性が提供されたのです。


4月8日(日)には、
長野県上田市で講演会(PDFファイル)
があります。
今回は、今日ご紹介したような子供や成長期のトラブルに対する栄養的なアプローチについてを紹介する予定です。
主催者の方々も一人でも多くの方に聞いていただくために準備を整えていてくれています。
ご都合のつく方は是非ご参加ください。

こころと栄養 研究会 うえだ:主催講演会『子どもの困ったは食事でよくなる!』

| 発達障害 | 12:14 | comments(5) | trackbacks(0) |


昨日の患者さんの検査データの推移
JUGEMテーマ:健康
今日は、これから雑誌『わかさ』さんの取材を受けます。
糖質制限とうつの関係についてです。

さて昨日ご紹介した患者さんは、17歳からうつ病の診断で投薬が始まりました。
通常使用されない抗精神病薬が処方されていたので、まずは診断から疑う・・・といった内容を書きました。

一方、うつ病学会では、これまでの治療で改善しないタイプのうつ病と新型うつ病などと、また新しいレッテルを創作し話題になっています。。。(いつまで続けて新しい病名を次々と作るのでしょうか??)

さて新しい病名ができると薬屋さんの出番です。
新型うつ病には、従来とはちがう非定型抗精神病薬(ジプレキサ、エビリファイなど)が欧米で使用されていますよ〜というトークで医師に近づきます・・・・が僕には来ません(笑)

このような流れで昨日ご紹介した若い女性の患者さんへジプレキサ、エビリファイ、そして新しいタイプの抗うつ剤であるサインバルタが処方されていたというわけです。

さてこの患者さんの検査データの推移です
鉄代謝の部分だけ抜粋します。
 
  2010/08 2011/11
赤血球 446 444
ヘモグロビン 12.4 13.2
ヘマトクリット 40.1 42.4
フェリチン 9.1 34.8

1年3ヶ月の期間で、このような検査データの推移がありました。
通常は、鉄欠乏を赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットで判定しますので、これらの3つのデータは初診時も昨年11月のデータも大きな差がなく、しかも基準値内にあるため鉄欠乏が評価されません。

大きく変化しているのはフェリチン値です。
ただこの2つの数値も一般的な基準範囲内なので、無知な医師には両方とも問題無しと判断されてしまいます。

先日の日曜日には、フェリチンを含めた鉄欠乏の評価について詳しい検査データの読み方を医師向けに講演しました。決してフェリチンはカットオフ値を作ることができない値であることを伝えました。

この値以上はOKで、この値以下はダメ

とクリアカットに評価できない項目なのです。


今回の患者さんは、この変化でまさに劇的な改善でした。
先日の診察でも、さらに進んだエビリファイの減薬指導をしました。
数ヶ月以内に全ての薬剤を断薬することができるでしょう。

さらに週6日ジムに通い、運動をすることもできます。
初診時は強い疲労感で、ほぼ寝たきり状態だったにも関わらずです。

そして大きな問題であった睡眠障害では、夢を見ないで眠れる。たまにイイ夢を見る。
貧乏揺すりがなくなり、手足の汗をかかなくなった。

このことは緊張が改善していることを示します。

さらに、
「高校の時の友達にあうのも緊張しない、以前はしゃべるときにすごく気を使ってしまって疲れていた。 」

「友達がスイーツを食べていても、お肉食べたいなぁ〜という感覚がでている。」

糖質依存がなくなり、若い女性らしい可能性が開けている感じがします。
お薬なしで、なんでも可能な未来を過ごしてもらいたいと思います。
| うつ病 | 12:43 | comments(2) | trackbacks(0) |


22歳 女性 うつ病と診断されていた患者さんの経過
この治療に1年以上積極的に取り組み、あと少しで断薬まできた患者さんの経過です。

17歳のとき・・・

強い疲労感や抑うつ感を自覚し、心療内科を受診しうつ病の診断で投薬治療が始まりました。
その後、多くの種類のお薬による治療をしたが、明らかな改善がありませんでした。

20歳のとき・・・

新宿のクリニックを受診。
そのときのお薬は、

・ジプレキサ
・エビリファイ
・ルボックス

の3種類でした。
うつ病と診断されているのに、うつ病では適応になっていない非定型抗精神病薬であるジプレキサとエビリファイが処方されています。
うつ病と診断されている患者さんで、この種の薬が処方されているときには、まずうつ病の診断が正しいかどうかを疑います。しかし仮にうつ病ではないとしても、この種の薬は急な減薬によって多くの身体症状・精神症状が出るので注意が必要なのです。

効果がないのに、やめるときに離脱症状がでるなんて・・・・あるいみ麻薬よりもたちが悪いですね。

そして検査データでうつ症状を呈する検査データの異常がないかを正しく評価し、栄養アプローチを組み立てます。
この患者さんの問題点は、やはり鉄欠乏を中心とした栄養障害でした。

| うつ病 | 14:09 | comments(0) | trackbacks(1) |


糖質制限中の主食
JUGEMテーマ:健康


ブログの中心的な話題のひとつは低血糖症です。
低血糖症から想像する、血糖値が低いということではなく血糖値の安定した調整が上手くいかないというのが低血糖症になります。

そんな低血糖症が、うつ症状、パニック症状などと深く関係することは、読者の皆さんならよ〜〜くご存じことです。うつ病やパニック障害の専門医には知られていませんのでご注意ください。

「私は低血糖症です」

と言おうものなら、”そんなことはあり得ない”とか”甘い物でも食べていなさい”といわれるのがおちですので。

さて栄養療法で重要なのが、血糖値を安定化し自律神経の変動を作らないようにすることです。
そのためには、糖質制限という食事方法が必要になります。

糖質制限食は昨年ぐらいからは糖尿病の治療の分野で、まさに急速に知られるようになりました。
多くの一般の方々が読むような雑誌にも医師の学会などでも糖尿病治療と糖質制限食の関係は話題になりました。

簡単に言えば、血糖値を上げるものを食べない食事になります。
避けるべき物が

・米
・パン
・メン
・いも
・甘い物
・果物

です。
そんな指導をすると、米とパンの制限がどうしてもできないという方が多くいらっしゃいます。
以前もこのブログで紹介しましたが、糖質制限食実行中の主食対策として以前紹介した

bnr_teitou02.gif 【低糖良品

というサイトです。
先日、このサイトからパンデスマートの粉を購入しました。
パン焼き機は、アマゾンで一番安いやつです。
十分に美味しいパンが焼けます。バターをたっぷり塗ったり、クリームチーズとハムを乗せたりGoodです。

そして先日、サイトの運営者さんから”おいしくごはん”の試供品を頂きました。
これまたとても美味しく炊けます。

自分としては普通の白米よりも美味しいと感じるほどです。
なんか久しぶりの茶碗でご飯を頂くことをしたので、妙に新鮮な感じでした。

糖質制限中には、おかずによってはどうしてもパンやご飯をたべたいと思われることは理解できます。
また日々の食事にパンやご飯が欠かせないという方もいらっしゃるでしょう。

そんな方々に、自宅で簡単にパンがつくれたり、普通に炊飯器で血糖への影響が少ないご飯を炊けるのは、糖質制限食を続けるためには助けになると思います。

是非、お試しください。
| 低血糖症 | 17:32 | comments(0) | trackbacks(0) |


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