うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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大晦日ですね
JUGEMテーマ:健康


今日は、大晦日です。
趣味のつりに行こうと思って出かけたのですが、今日は波が高くてダメでした・・・・残念。
みなさまは、どんな年末をお過ごしでしょうか?

今年は、いろいろな意味でこの治療について変化があったと思います。
なんと言っても、糖質制限食が糖尿病やダイエットの分野でかなり知られマスコミで取り上げられることが増えたことでしょう。マスコミの場合には、つねに話題作りのために新しい食事や栄養についてを取り上げますが、糖質制限食は基本的に人の身体にとってやさしい良い食事方法なので、今後も地道に取り上げてもらいたいと思います。

このブログをお読みの方々には、『糖質制限+たん白質アップ』 が大切であると覚えておいて頂きたいと思います。その食事が、うつ・パニック障害・統合失調症などのいわゆる精神疾患だけでなく発達障害や子供のトラブル、さらにはアトピーなどのアレルギー関連疾患の改善にとって効果が期待できるものです。
身体の中で一瞬も止まることなく行われている代謝関連の生化学的な反応を知れば知るほど、この食事が本来の生物種としての人類に適した栄養であるとが理解されます。
そして人の身体は、最適な環境を提供することで多くの病態を改善させるすばらしい力を備えています。

今年は一般的な食事の分野だけでなく精神疾患の分野においても、栄養障害と精神疾患の関連が多く指摘されてきたことです。これまでもω3系の脂肪酸やナイアシンとの関係について多くの報告がされていますが、今年は日本国内からの注目すべき報告や変化がありました。

ひとつは先日も紹介したビタミンB6不足と糖化が促進した状態と統合失調症の関連の報告です。
この可能性は栄養療法で多くの患者さまの治療で糖質制限を行いサプリメントを用いて糖化を抑制することを治療の中心に指導し、ビタミンB6を含めたビタミンB群を補充することで改善が得られることから納得するものです。さらに報告では統合失調症とビタミンB6不足の関連だけですが、うつ症状やパニック障害などの精神症状と深く関係することが臨床からの印象です。

もう1つは血糖調節のトラブルつまり(機能性)低血糖症と精神症状との関係です。
ブログをお読みいただいている皆さんには常識なのですが、やっと権威ある精神科医や研究機関が注目し始めたということです。
国立精神・神経医療研究センターが、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)の方と健常の方にたいして国の予算をつかって糖負荷検査をおこない研究をはじめることになりました。在る意味画期的なことです・・・・・。
しかし、すでに2000人以上の方々に糖負荷検査を行った経験からみると、健常と思われる方々も実は糖負荷検査の結果は多くの問題を含んでいることが予想されます。比較対照が理想的なのですが、その形にこだわると本質を見失う可能性があると思っています。

新宿では、多くの患者さまに糖負荷検査を行いながら検査方法や検査項目で改善を行ってきました。
たとえば糖負荷の15分後の測定の追加や、同時期の1,5-AG などのほかの項目との関係、さらに糖負荷検査と同時に数名の方で持続血糖測定も行ってみました。30〜60分毎の検査ではわからないことが多いこともわかりました。

新宿では、これまでの膨大なデータを使って統計処理を行うことを始めました。
それらのデータをもとに、発表も行っていこうと考えています。

上記の国立研究センターの責任者は、精神科医の方で臨床の経験も豊富な研究者です。
その先生が、2010年の精神医学という雑誌の中で書かれている文章を紹介したいと思います。

それは『メンタルヘルスと病態栄養〜基礎から臨床まで〜』とうタイトルのシンポジウムを終えた後に、栄養学の分野では栄養障害が多くの精神症状と関係していることが知られて居るにもかかわらず、本来の専門家である精神科医があまりにその分野について無知であったことからの表現になっています。

”精神医学が栄養学に対して鎖国を続けることはもはやできないことは確かである”

限られた心ある精神科医だけでなく、一般的な精神科医や心療内科医にこの考え方が受けいられるためには権威ある施設の権威ある医師からの報告が一番効きます。
今年はその一歩が踏み出されたと言えるでしょう。
| ひとりごと | 11:29 | comments(1) | trackbacks(0) |


ビタミンBと精神症状
JUGEMテーマ:健康


古くてあたらしいビタミンB群の働きについて紹介してきました。
まだまだビタミンB群については新しい知見が出てきています。
そのなかでも、とくに注目すべきはビタミンB6の不足が統合失調症の原因の1つである可能性についての発表でした。
たしかブログでも紹介したと記憶していますが、この研究は東京都精神医学総合研究所の新井先生が中心になって行われています。

統合失調症の患者さんの中には、血液中のペントシジンという物質が増えてビタミンB6が減っている方々がいらっしゃる。そのような方々にビタミンB6を投与することによって症状の改善が得られるというものです。

ここで言うペントシジンという物質はこのブログでも何度も紹介した糖化によって体内で生じる糖化最終産物(AGE)の1つです。
この所見から見ても、統合失調症の患者さんが糖質制限の食事を行い食後の血糖上昇を抑えることで症状が改善することが理解できます。さらに充分量のビタミンB群をサプリメントで補給することの重要性もまた理解することができるのです。

身体で起こる糖化反応は酵素やホルモンが介在するものではなく、血液などの液相に含まれる糖の濃度に依存しているものです。つまり単純に血糖値を上げなければ進まないということです。
そしてどんなに糖質制限をして血糖値を上げないように一定に保たれていても、糖化反応は液相に糖が存在することで糖化は起こります。糖化反応は常に起こっている反応であり、その過剰な反応が統合失調症の1つの原因になって居る可能性があるのです。

低血糖症には血糖の乱高下にともなう各種ホルモン産生によって症状が起こることが中心です。糖質制限は血糖の乱高下を防ぎ、無用なホルモン産生を抑え症状を改善させます。
それと同時に、糖質制限による血糖の安定化は糖化によるペントシジンの産生を抑制し精神症状の発症を防ぐ機序が考えられます。

| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 16:23 | comments(0) | trackbacks(1) |


ビタミンBの続き
JUGEMテーマ:健康


木曜日は、午前・午後とも新宿での外来診療です。
多くの患者さんへ検査データの説明をし不足栄養素の説明をしています。

検査データの説明でビタミンB群の不足を指摘される患者さんのなかには、すでにビタミンB1、B2、B6などを飲んでいる患者さんやビタミンB群を飲んでいる患者さんもいます。それでもデータで不足が指摘されます。
よほど不足が重度であり飲んでいても足りていないのか、それとも飲んでいるものがあまり効いていないのか・・・どちらかが理由です。

身体の中でのビタミンBの働きを考えるといくつかのポイントが見えてきます。
従来のビタミンBの作用の中心と思われていた補酵素としての作用を考えると核酸をともに補う事が重要であるということです。

また最近指摘されているビタミンB群の働きのひとつである、脂質の酸化を防ぐ働きを見てみると、ビタミンBは全ての仲間を群(コンプレックス)として投与するということです。

エネルギー産生の流れをみても、多くのビタミンB群が互いに協調して作用していることコンプレックスの重要性がわかります。

脂質の酸化を防ぐ働きは、ビタミンB1、B2,葉酸、ナイアシンは最初の1週間は脂質の酸化を促進し、その後に酸化を抑制する作用があります。ビタミンB12は、最初の2週間までは酸化の抑制も促進もしませんが、その後から酸化を抑制する作用が強まります。ビタミンB6は、最初の1週目から酸化を抑制する作用を呈します。
自然界に存在する物質はこのように通常では説明できない調節機能があるのです。必須脂肪酸と炎症の関係にも似ています。

脳にはビタミンB群が大量に必要です。多くの神経伝達物質の合成に必要不可欠だからです。
脳には血液脳関門が存在し脳の神経細胞には血液から直接物質が出入しないように厳しい選択が行われています。つまり脳神経細胞に作用する物質を通さないで保護しているということです。
ビタミンB群には、血液脳関門が作用せず積極的な取り込みを行っていることがわかってきました。つまりビタミンB群は脳神経細胞にとって直接の作用はなく、しかも安全であるということを示しています。
また血液中から積極的に輸送体を介して取り込んでいるということは、いつも脳はビタミンB欠乏状態であるということもいえるのかもしれません。

ビタミンB群の不足は脂質を酸化させ老化を促進し、さらに脳の伝達物質のバランスを崩し多くの精神症状の原因になるのです。重要ですね!
| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) |


見直されるビタミンBの働き
JUGEMテーマ:健康


栄養素を用いた健康管理の分野では、常に話題になっている栄養素があります。
いつも思い出すのがコエンザイムQ10ブームです。ゴールデンタイムの健康番組でコエンザイムQ10が紹介された翌日からなぜか大手化粧品ブランドがコエンザイムQ10入りのクリームを大々的に発売しブームになってしまいました。大量の良質の原材料が大手メーカーに買い占められ治療で使っていたサプリメントの入所が困難になってしまったほどです。

そんな健康番組も次々と姿を消しマスコミに作られるブームは減りましたが、常に話題になる栄養素のサプリメントがあり薬局をにぎわしています。

そんなことが繰り返されているときですが、最近自分の中ではビタミンB群のすばらしさを見直しています。
ビタミンB群は補酵素としての働きが中心であり、その他に知られている反応はあくまで補助的で人の身体にとって余り重要なものではないと考えられていました。

いままでの自分の本や講演会、ブログで紹介するビタミンB群の働きの多くは補酵素としての働きでした。
脳内で重要な働きをする神経伝達物質はビタミンB群が補酵素として働く酵素によって作られます。

グルタミン酸、GABA,ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、メラトニン・・これらはビタミンB群が不足すると合成に必要な酵素活性が落ちバランスを崩してしまうことを理解することができます。
特にGABA不足による症状は著明に現れるようです。そのため血液検査データでビタミンB群の不足が著明なときには、充分な量のビタミンB群を補充することで早期に睡眠や焦燥感が改善します。これらの働きは、基本的には補酵素の働きなので、ビタミンB群と核酸の共同作業になります。

そしてこの治療でビタミンB群が必要不可欠なのは、血糖の乱高下を抑制し低血糖を防ぐための主役になることです。
低血糖症の方々は、脂肪肝や薬剤性の肝臓への負担があるためグリコーゲンの貯蔵が乏しくなります。また糖質制限をしっかり行うと、グリコーゲンの貯蔵は当然乏しくなります。
そのため主に筋肉に多く含まれるアラニンというアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生が血糖値を維持するために大変重要になります。この反応を触媒するこそがアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)でビタミンB6を補酵素とする酵素です。
この反応が円滑に得られないと、いつまでたっても頻繁な補食をしなくては血糖値が維持できなくなるのです。

まず症状を改善させ、血液検査データの改善を確認してから筋トレをお勧めするのはこのことが理由になります。



| オーソモレキュラー療法(栄養療法) | 23:23 | comments(0) | trackbacks(0) |


本日の座談会から
JUGEMテーマ:健康

今日は、第一火曜日です。
水曜日を休診日にしてから、スケジュールを調整してこれまで行ってきた座談会は第一火曜日の午後に行うことにしました。

次回は、来年の2月5日火曜日 午後になりますので気軽に参加してください。
対象は、新宿か全国のクリニックでこの治療を行っている患者さんと患者さんのご家族の方々です。入場は無料です。

今日は、復帰第一線ということや師走に突入ということで参加いただく方がちょっと少ないという報告を受けています。

さて、今日の座談会では何をお伝えしようか・・・・と考えて作った資料は、この栄養療法の歴史を選びました。
その歴史には、現在〜未来も含みます。

この治療を語るうえで必ず紹介しなくてはならない方々

・ライナス ポーリング
・エブラム ホッファー
・ヒュー リオルダン
・マイケル レッサー

これらの巨人の業績や、ポーリングを除いた3名は直接お会いしたことがある方々なので、その先生の印象などについてを紹介しようと思っています。

そして現在については、世界で大きな流れとなりつつある疾患と治療の概念についてを紹介します。
これまでの医療は、病気を器質的なトラブルとして扱っていました。今でもそうです。
器質的な疾患とは、病気を感染症をはじめとする急性疾患や組織や臓器のトラブルとして扱い治療する方法です。もちろんこの分野は必要不可欠の治療です。
たとえば細菌感染による重篤な肺炎では抗生物質を適切に使用することが予後を左右します。
急性心筋梗塞で詰まった冠動脈にたいしてはなんらかの処置によって血流を再開しなければならないでしょう。
脳梗塞についても発症超早期であれば、血栓溶解することで後遺症なく治癒も可能です。そして心筋梗塞や脳梗塞などでは、血液をサラサラにする投薬を続けることになります。

一方、海外で注目されている医療分野は、機能性医学という概念です。
この分野では、これまで扱ってきた疾患を機能的なトラブルとして捉えることによって新しい治療法を提供します。
特に慢性疾患については優れた治療効果がすでに上がっています。
先ほどの例をあげれば、心筋梗塞や脳梗塞を心臓や脳の病気ととらえるだけでなく、症状が発症する以前からあった慢性的なトラブルの結果として捕らえることを可能にするものです。

新宿のクリニックでは、うつ病をはじめとする精神疾患と診断された多くの患者さんが栄養療法に取り組まれています。新宿で行っている栄養療法では、精神症状を脳内機能性分子のトラブルとしてとらえ、その改善のために栄養素を使用しています。
最近では、これらの精神疾患も代謝性のトラブルや炎症性のトラブルとして考えることが始まり、これまでの診断や治療と異なる新しい根本的なアプローチが可能になりつつあります。

ただ・・・・これらの新しい概念や治療法は、その分野の専門家といわれている先生方に認められ、取り入れられるには、科学的ではない多くのハードルが存在しているのも事実です。

今日の座談会で紹介する多くの巨人たちも、その非科学的なハードル(誹謗中傷)に直面し、それでも真理を追究されてきた偉大な科学者たちなのです。



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