2013.10.23 Wednesday
IgGアレルギーの扱い
JUGEMテーマ:健康
従来のアレルギーとは、そばアレルギーやさばアレルギーなどのように食べると短時間で蕁麻疹や喘息などのような明らかなアレルギー症状がでるものと理解されていました。特に子どもの食物アレルギーでは、給食に含まれていたことによって大きな事故につながることが注目されています。このようなタイプのアレルギーは即時型アレルギーと呼ばれ、IgE抗体という免疫関連のタンパク質が関係しています。
ところがここ数年注目されるタイプのアレルギーに遅延型アレルギーと呼ばれIgG抗体が関係しているものがあります。
このIgGアレルギーの特徴は、症状が特異的なものではないことや食べてから症状がでるまで時間がかかることです。
そのため、多くの方が自分のIgGアレルギーがある食材を理解していません。
この考え方が理解されるにしたがい、以前の患者さんの通常では理解しがたい症状の経過も説明することができると思います。
ある統合失調症と診断されていた方は、歯科の治療のために歯科医からしばらく米の摂取を控えるように指導されました。祖父母と同居で毎日必ずお米を食べている生活をしていたので、その患者さんにとって米を食べない生活は、いままで経験したことがありませんでした。
ところが歯科医の指導に従い米を除いてみると、徐々にそれまで苦しめられていた幻聴や幻覚が明らかに改善したのです。
また別の患者さんは、便秘と下痢を繰りかえしうつ症状もともなっていたために便秘や下痢もうつ病にともなう身体表現性症状と診断され、数年間にわたり抗うつ剤による治療が行われていました。この方もあるときに乳製品をやめてみたところ、便秘や下痢などの消化器症状が改善しただけでなくうつ症状まで改善したのです。
これらの経過は、遅延型のIgGアレルギーが関与していた可能性が高い経過だと思います。
実際に数年前からIgGアレルギーの検査が可能になり多くの患者さんへ検査し、その結果を食事指導に応用するようになり、IgGアレルギーと身体症状や精神症状との関係が深いことを理解するようになりました。
腸は第2の脳と呼ばれ脳に存在する神経伝達物質の多くは腸にも存在し、脳から独立して精密な腸の機能を調節しています。そのため腸は脳から独立していると考えられてきました。
ところが最近になり、脳と腸は独立しているが綿密な情報伝達をするクロストークを形成していることが深く理解されてきました。日本語では腸脳相関と呼ばれています。そしてこの腸と脳の関連性に腸内細菌が深く関係していることも知られてきました。
人は頻繁に食べる特定の食材にたいしてIgGアレルギーを作りやすい傾向があります。
冷蔵庫をあけるとどこの家庭でもあるのが、牛乳と玉子ではないでしょうか?
特に小中学生のお子さんは給食で牛乳を飲む機械が多いので、ほぼ毎日乳製品を摂取していることになります。
これまで多くのお子さんのIgGアレルギーを検査してきましたが、ほとんどのお子さんに乳製品に対するIgGアレルギーが陽性になります。
人間の腸は、毎日同じ食材が食べられるように作られていないと感じています。