うつ病からがんの治療までオーソモレキュラー療法(栄養療法)の実際
うつ病、パニック障害、発達障害からがんの治療まで海外で広く実践されている「薬だけに頼らない」オーソモレキュラー療法を紹介します。投薬治療が中心のうつ病や統合失調症などに多くの実績があり発達障害にも応用されています。高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの治療に新しい可能性を提供します。

ご挨拶
溝口 徹

溝口 徹(みぞぐち・とおる)
自分にとって必要な栄養素を知ること。そして、その栄養素を十分に摂取すること。正しく、十分な栄養素が、自分の心と身体を、より良い状態に改善させます。
精神疾患の診断を受け、多くの薬を用いて対症療法の治療をされている方が多すぎます。最適な代謝が、脳内の神経伝達物質の分泌を適正化します。その結果、薬が必要であった症状の多くが改善することを、分子栄養学的なアプローチでは多く経験します。
このブログでは、日々の診療で経験する多くの患者さんの経過や、その背景にある学術的な作用を、できるだけわかりやすく伝えてゆきます。本来の自分らしさ取り戻すために、少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

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ジョブチューンのコメント補足
ジョブチューンをご覧くださり、ありがとうございました。
昨日の記事で予告した通り、脂肪酸に関するコメントの補足説明をします。

人の身体には自分で合成できない脂肪酸があり、それを必須脂肪酸と言います。
ω3系とω6系の二種類あり、それぞれ人の身体でなくてはならない大切な役割です。ω3系はαリノレン酸を出発点に魚油に多く含まれるEPAなどがあります。ω6系はリノール酸が出発点になり代謝されます。
これらについて話し始めるととても長くなってしまうので、ここではω3系の必須脂肪酸についてお伝えします。

一般的にはω3系の脂肪酸は魚油にふくまれるEPAなどが食材からの供給源になります。昔の日本人は魚をとても多く摂取していたので、身体はEPAリッチでした。いろいろな病気が少なかったイヌイットの方々もEPAがリッチであったことが知られています。
ジョブチューンでは、ω3系の脂肪酸をコンビニで売っているものから得るために、「クルミが良いですよ〜」とコメントしています。クルミにはω3系の出発点であるαリノレン酸がとても多く、他のナッツ類と比較して特出しています。
レシピ本などを共著で出版している管理栄養士の大柳さんによると、クルミを使った料理というのは世界中の山間部であるそうです。新鮮な魚を食材として得ることができなかった山間部では、世界中でクルミを料理に使いω3系の脂肪酸が不足しないようにしていたのではということでした。
αリノレン酸は熱に弱い特徴があります。東北地方ではクルミを使った”あん”がよく用いられますが、生のクルミをすりつぶしていますね!
昔の人たちの知恵は本当にすばらしいです。今でも多くのヒントが隠されていると思います。

☆ ジョブチューン 2016年3月26日の放送内容 へのリンク
http://www.tbs.co.jp/jobtune/archives/20160326.html
| ひとりごと | 23:00 | - | - |


ジョブチューン 明日3/26(土)19時〜放送
先週土曜には予定通りに世界ふしぎ発見腸脳相関について取り上げられました。視聴率も良かったようで、今週は問合せのお電話を多くいただいています。

明日の土曜は、19時からのTBS「ジョブチューン」“医者スペシャル”に栄養療法専門医として参加し、「花粉症」についてコメントしました。時間が少なかったのでどのようになるか分かりませんが、その中で触れた「脂肪酸」については補足説明をしたいので、放送終了後にあらためて記事をアップしたいと思います。番組視聴に加えて補足説明を読むことで、理解を深めていただければと思います。

■TBSテレビ「ジョブチューン」
 “医者スペシャル”
 3月26日(土)19時00分〜20時54分放送

番組HP http://www.tbs.co.jp/jobtune/


★ブログ管理者より★
「脂肪酸」に関する過去の記事を、参考までにご紹介いたします。
・脂肪酸と細胞膜:http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=42
・脂肪酸と細胞膜2:http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=70


| 花粉症 | 13:57 | - | - |


『世界ふしぎ発見』でうつ病、花粉症と腸脳相関を放映
JUGEMテーマ:健康


前回のブログでは、体中の粘膜がネットワークを形成していることをお伝えしました。粘膜は、身体にとって害のあるものとそうでないものを選択し、害のあるものはできるだけ身体に取り込まず排除する役割をしています。
どの物質が身体にとって有益であるのか害があるのかを判断している中心的な粘膜が腸の粘膜です。そして腸の粘膜で判断された情報が全身の粘膜に伝わり異物を排除するように粘膜が働きます。そのため腸のトラブルが全身のトラブルに関係することになります。ヨーグルトで腸内環境を整えると花粉症が改善するというのも、この理論が基本になっています。

本日の夜9時からは、TBS系の番組『世界ふしぎ発見』で栄養療法が取り上げられます。
今回の番組では腸と脳の関係について掘り下げて番組を作っているようです。腸粘膜のトラブルが全身の粘膜に影響することはお伝えしましたが、腸と脳にも深い関係があり腸脳相関と呼ばれています。

うつ病を始め、精神症状に対して処方される多くの薬は脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、GABAなどの神経伝達物質の代謝へ影響するものですが、それらの神経伝達物質のほとんどは腸にも存在し、実際には腸にある量のほうが、脳にあるものよりもはるかに大量に存在しています。この単純な事実からも腸と脳の相同性や相関関係があることは容易に理解されると思います。

今回はとくにうつ病と診断され、通常の薬物療法では改善することなく副作用にも苦しまれた女性の患者さんも取材に応じてくれています。数年間にわたりこの治療を継続され、とても元気になり、子育てに奮闘しながら充実した毎日を過ごされている姿が映像を通して伝わるものと思います。この患者さんは昨年末のBS-TBSの番組でも出演を了承してくれた方です。薬を使っても改善せず途方に暮れていたうつ病が改善した様子を見てもらうことによって、食事に気をつけて必要な栄養素を補充するこの治療のことが一人でも多くのかたに知っていただく機会になればということで顔を出しての取材を了承してくれています。
花粉症などのアレルギー症状やうつ病、統合失調症、パニック障害、発達障害・・・などの脳のトラブルといわれている症状や疾患でお困りの方、本日21時からの『世界ふしぎ発見』を見て、まずは食べるものに注意をはらう機会にしてもらえればと思っています。

★ブログ管理者より★
日時:3月19日(土)21時〜
番組:“世界ふしぎ発見! 腸内細菌ミステリー・パート2”
   アンチエイジングも!花粉症も!脳も!
   知られざる腸内細菌パワー!
番組HP:http://www.tbs.co.jp/f-hakken/
「次回の放送内容」ページ1ページ2
→ページ2には、勤務医の桑島靖子先生(第2・第4土曜外来担当)の画像も載っています
| うつ病 | 08:37 | - | - |


花粉症対策は粘膜強化
JUGEMテーマ:健康


寒い雨の日があったと思えば、急に暖かくなったりしています。今日も東京は良い天気で気温も20度まであがるとのことです。さらに風が強い予報なので花粉はかなりな量が飛ぶのではないかと思います。
ひどい花粉症であった自分も栄養療法をすることで徐々に軽くなり、ビタミンDの血中濃度を適切に保つようになってからはとても軽く済むようになっています。薬を使う治療ではないので、目や喉の違和感で“今日は花粉が飛んでるな”ということは感じるのですが、それで鼻水がでて困ったり、目がかゆくなったりということはありません。もちろん薬を使っていないので、副作用の口渇感や眠気やだるさはありません。冬場からビタミンDは多めに摂取していたので、今年も予防注射なしでインフルエンザもかかりませんでした。
栄養療法的には花粉症をはじめとしたアレルギーへの対策は、体中の粘膜を丈夫にすることにつきます。目・鼻・喉・胃・腸、そして女性であれば膣など、実は身体は粘膜だらけです。そして粘膜は花粉だけでなくホコリや細菌、ウイルスなどに直接暴露する部分です。さらに粘膜は細胞の入れ替えが激しいため、身体のストレスや栄養状態の乱れによって、影響を受けやすい組織です。
さらに、体中の粘膜はネットワークを形成しているので、ある部分のトラブルが起こると身体全体の粘膜にも影響が及ぶのです。逆を言うと、ある部分のトラブルを解消すると身体全体の粘膜の機能が改善し、花粉だけでなくあらゆる異物から身体を守ることにもつながるのです。

先日収録したTBSのジョブチューンでは栄養療法専門医という立場で花粉症についてコメントしたのですが、持ち時間がとても少なく、今回のような大切なことを伝えることができませんでした。
花粉がまだまだ飛ぶ時期です。栄養的な対策を何度かお伝えしたいと思います。

明後日の土曜日は、『世界ふしぎ発見』に取り上げられる予定です。どのように放送されるのか楽しみです。みなさんもよろしかったらご覧ください。

★ブログ管理者より★
上記ジョブチューンの収録内容は、以下の日時に放送予定です。

■TBSテレビ「ジョブチューン」
 “医者スペシャル”
 3月26日(土)19時00分〜20時54分放送

番組HP http://www.tbs.co.jp/jobtune/ に「次回放送内容」がアップされたら、あらためて詳細をお知らせいたします。
| 花粉症 | 08:44 | - | - |


昨日はセミナーでした
昨日の日曜日は、医師向けのセミナーが開かれました。
通常行う「血液検査データの栄養療法的な読み方」のアドバンス編です。
80名以上の方々に参加いただきました。名簿をみると古くから栄養療法に取り組んでいただいているドクターから、最近この治療を知りベーシックセミナーへご参加いただいた方までいらっしゃいました。

内容は通常行っている「血液検査データの項目から、どのように栄養の過不足や代謝の乱れを読み取っていくか」というもので、より実践的な内容にして欲しいと言うことと、これまでのセミナーとは違ったものも扱って欲しいという依頼が主催者からあり、資料もリニューアルして準備して臨みました。
いままで使用していたテキストは、6年ほど前に作ったものです。内容を見返してみると、古典的な検査項目なので大きく変えることはあまりありません。ところが、ここ3〜4年扱っていた腸内環境というところから古典的なデータを見返すと大きく評価が変わるところもありました。

腸内環境というと、腸内細菌をはじめとしたプロバイオティクスやプレバイオティクスが注目されますが、今回改めて実感したのは胃でした。自分たちの学生時代には胃のトラブルには胃酸あり!という考え方で胃酸の分泌をどう抑制するかといことが治療のベースにありました。いまでも胃酸を抑える薬は、胃の様々な不快な症状を軽減してくれるため、以前の薬に比較して格段に強く胃酸の分泌を抑制するものに変化してきています。
クリニックを受診される患者さんにも、胃酸を抑える強い薬が処方されていることが多く、食事やサプリメントからの栄養素の吸収に影響が予想されることも少なくありません。(★参照)

胃の環境が、様々な症状やアレルギーなどの原因となるLGSや小腸の腸内細菌の乱れをつくるSIBOなどの原因の一つになっていることは知られています。LGSについてもSIBOについても、有効と言われている栄養療法的なアプローチで改善する方もいらっしゃいますが、頑として変化しないこともあり、まだまだ勉強する必要があるなぁ・・と感じるところです。

★ブログ管理者より追記★
胃薬で胃酸分泌が低下させることによる栄養素の吸収への影響については、以下の記事を参考にどうぞ
http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=76

JUGEMテーマ:健康
| LGS腸管壁浸漏症候群 | 08:51 | - | - |


世界ふしぎ発見! の取材、放送決定!
昨日のブログで予告した、「腸と脳の関係」を取り上げた番組の詳細告知です。

日時:3月19日(土)21時〜
番組:“世界ふしぎ発見! 腸内細菌ミステリー・パート2
   アンチエイジングも!花粉症も!脳も!
   知られざる腸内細菌パワー!
   ・番組HP:http://www.tbs.co.jp/f-hakken/
    「次回の放送内容」ページ1ページ2
内容:新宿溝口クリニックでの栄養療法について、さらには実際に治療し改善された患者さまへの取材映像が放送される予定

このブログやセミナーなどでは、脳のトラブルを改善させるためには腸を整えることが重要であることは以前から伝えていたのですが、メジャーなマスコミで取り上げられることは無かったのではないかと思います。
番組スタッフの方から取材依頼を受けたときには、まず制作スタッフの方をドクター向けの勉強会に招待し、「どのような理論で、脳のトラブルに対して“腸内環境を整えることを含めた”栄養療法を行っているのか」を理解していただくことから始めました。そのためか、結果だけをセンセーショナルに扱うようなものではなく、しっかりとした内容になっているのではないかと思っています。
取材にご協力くださった患者さんは、今回のインタビューで「栄養療法と出会う前の、精神科の投薬治療中心だった頃の辛さ」を話してくれています。(オンエアーされると良いのですが・・)そして、栄養療法を開始して数年後の現在、2人のかわいいお子さんのママとなり、充実した日々をすごされていることも、きっと映像で流れることでしょう。
クリニックで治療されている患者さんには、テレビや雑誌などの取材に応じてくれる方が多数いらっしゃいます。そのような患者さんに共通することは、「投薬を中心とした従来の治療とは違う自分の改善の結果を他の方々にも知って欲しい」という気持ちが根底にあってご自身の体験を語ってくださることです。
自分も、一人でも多くの医師をはじめとする医療関係者、そして苦しんでいらっしゃる方々へ、このような考え方や治療法があること伝えていくよう頑張ります。

JUGEMテーマ:健康


| LGS腸管壁浸漏症候群 | 22:12 | - | - |


腸内環境に関する取材
5年前の今日、東日本大震災を経験しました。
今朝のテレビでは、津波で被害を受けた地域の方が、津波で辛い経験をしたけど海をみるとふるさとを感じる・・・
ということを話されていました。
私達も決して忘れることができない出来事であり、今日をこうして過ごすことができることに感謝しなくてはならないと改めて感じました。

さて今年は、年明けのブログでもお伝えしたように「情報を積極的に発信」する姿勢で臨むことを決意しました。
「腸内環境」がマスコミでも注目されるようになり、私のところにも取材の依頼が増えています。

既に発売されたものとしては、雑誌『健康』 2016年3月号での腸の漏れ(リーキーガット症候群) に関する記事
http://www.shinjuku-clinic.jp/news/1001.html
『日経ヘルス』 2016年4月号での「グルテンフリー」に関する記事があります。
http://www.shinjuku-clinic.jp/news/1018.html


さらに、近日中にこのブログで詳細を発表予定ですが、「腸と脳の関係」を取り上げたテレビ番組でも、当院での栄養療法について、そして実際に治療し改善された患者さまに対する取材を受けました。

これらの取材を通して、一人でも多くの医師をはじめとする医療関係者、そして苦しんでいらっしゃる方へ、栄養療法の考え方や治療法について伝えていくようがんばります。
明後日の日曜日は、80名を超える医師の参加があるセミナーで話をします。人の身体のすごさと、トラブルへの栄養療法的な対応について話をする予定です。


JUGEMテーマ:健康


| LGS腸管壁浸漏症候群 | 15:47 | - | - |


副腎疲労とLGS(リーキーガット症候群)
JUGEMテーマ:健康


前回少し触れた副腎疲労症候群とLGSは切り離せない関係にあります。というよりも、慢性的なストレスに身体が暴露される結果として副腎疲労が形成され、さらに症状や病態を複雑にすることになるのですが、腸にトラブルがおこるとそれが慢性炎症として身体へのストレスになります。
特に腸のトラブルは、本来の身体に害のある異物は吸収しないというバリアー機能が破綻するLGS(leaky gut syndrome 腸管壁浸漏症候群) を引き起こします。その結果として異物が吸収されてしまうことになります。またLGSの多くは腸管粘膜に炎症を伴っているため、その炎症によって産生されるサイトカインという物質が栄養とともに吸収されます。小腸は栄養素を吸収する大切な場所なので、そこから異物も吸収され炎症性のサイトカインも吸収されてしまうことになるのです。
小腸から吸収された栄養素だけでなく異物や炎症性サイトカインたっぷりの血液は、門脈を通り肝臓に運ばれます。つまりLGSは肝臓に大きな負担をかけることになります。肝臓は肝心要の臓器なので、LGSは全身へ大きな影響を及ぼすことになるのです。
副腎疲労を指摘され、副腎のサポートを行い何らかの改善を実感されても、もし腸にトラブルが継続していると、副腎のサポートを止めてしまうとすぐに元の症状が戻ってしまいます。

☆ブログ管理者より追記☆

溝口院長の著書『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』では、
・「糖質摂取による身体の反応」にともなう「副腎疲労」や
・LGSに対する治療にもなる「腸を整えること」について
詳しく紹介されています。
http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=1108
腸を整えることは、全身の粘膜における防御機能を正常化させます。この季節、花粉症にお悩みの方にもお勧めの一冊です
| 副腎疲労症候群 | 08:41 | - | - |


グルテンフリーの治療への応用
JUGEMテーマ:健康


ただいま発売中の日経ヘルス2016年4月号にも、簡単ですがグルテンフリーについて取材を受けた記事が掲載されています。同じ記事に副腎疲労で有名な本間先生のコメントも掲載されています。

グルテンの問題は、それ自体がアレルゲンになることだけでなく、小腸の粘膜上皮に持続的な炎症を継続させることにあります。小腸の粘膜に持続的な炎症が起こると、それがリーキーガット症候群(LGS)を引き起こし、多くの抗原に対するアレルギーの原因を作ることになります。
このような作用は乳タンパクに含まれるカゼインでも起こる可能性があります。

そして小腸で起こるトラブルは、実は全身の粘膜における免疫反応にも大きな影響を及ぼします。
“乳酸菌で花粉症が良くなる”という現象は、

乳酸菌の摂取⇒腸内フローラの改善⇒小腸粘膜の機能改善⇒腸内環境の改善⇒全身の粘膜免疫の改善⇒花粉症の改善

という流れで説明できます。
ですので乳酸菌をヨーグルトでとり続けると、カゼンインに感受性がある場合には、上記の流れが進まずにかえってカゼインによる粘膜の炎症が起こり、アレルギーの増悪が起こることも考えられます。

またグルテンやカゼインを除去するだけで小腸粘膜が改善するかというとそうでもありません。小麦や乳製品に感受性があることを知らずに、数年〜数十年にわたり継続して摂取してしまうと、腸の粘膜はある意味でボロボロです。粘膜を荒らす原因になっているグルテンやカゼインを除去することは必要ですが、ボロボロになってしまった粘膜を修復させることが何よりも大切になります。
この修復作業が、あらゆるアレルギーの改善につながり、LGSでお悩みの患者さんへの栄養療法の基本にもなります。この分野の治療では、化学物質過敏症と診断された患者さんへの治療にも応用し、実際に改善されている多くの患者さんがいらっしゃいます。


| LGS腸管壁浸漏症候群 | 08:34 | - | - |


腸と脳の関係:グルテンフリーから
先月、青春出版社からグルテンフリーの本が出版されました。
グルテンフリーは、いわゆるダイエット法の1つとして日本でも知られるようになっていますが、テニスプレーヤーのジョコビッチ氏が長年苦しんでいた様々な不調が改善した経緯が紹介されたこともあり、体調を良くする治療的な意味を含めた食事法の1つしても認識されています。
今回の『2週間で身体が変わるグルテンフリー健康法』では、実際に小麦に含まれるグルテンや乳製品に含まれるカゼインを除去することを治療法の1つに取り入れた患者さんの経過を多く紹介しています。またどうして小麦や乳製品が人の身体に悪い影響を与えるのかについても理論的に書きました。
この小麦や乳製品を除去する食事方法は、グルテンフリー・カゼインフリーからその頭文字をとってGFCFダイエットとして古くから治療で用いられています。とくに自閉症や発達障害などのお子様の栄養療法では、まず試みるべき食事法となっています。実際に取り組んでいただくと、本で紹介したように劇的に改善される患者さんがいらっしゃいます。
GFCFダイエットは、脳のトラブルだけでなく腸のトラブルでお悩みの方も試みてもらいたい食事方法です。自閉症のお子様は、とても多くの場合に腸の調子が悪くこの食事方法でまず便通が改善することも多くあります。
以前書いた本『こどもの「困った」は食事で良くなる』でも紹介していますが、脳と腸は密接な関係があり、腸脳相関という言葉があるぐらいです。古くから日本では、「腹の虫がおさまらない」、「はらわたが煮えくりかえる」「腹の座った・・」などのように腸と脳(メンタルの状態)の関係について多くの表現がありますし、実際の経験でも緊張すると下痢をしたりなどの経験がある方もいらっしゃるでしょう。自分も緊張すると下痢がひどくなるタイプです。
腸と脳の関係や腸とアレルギーの関係については、数年前からセミナーで取り上げたり著書で紹介したりしていたのですが、このところとてもブームのようです。昨年末から、腸とアレルギーの関係についての取材やテレビ出演の依頼が急に増えています。このブログでも記事の掲載やテレビの放映などについてもお知らせしようと思います。


| 脳の機能と栄養 | 08:54 | - | - |


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