2016.05.23 Monday
うつなどと炎症の関係
JUGEMテーマ:健康
昨日は品川にて”がんと慢性炎症”のセミナーでした。
数年前から様々な症状や病気が継続してしまう原因として炎症という概念から説明されることが多くなり、定説が覆されてきました。
たとえば心筋梗塞や脳梗塞が起こるのはコレステロールが原因とされていたのですが、心筋梗塞を起こす人の約半数がコレステロールは正常の方々でした。心筋梗塞や脳梗塞を起こす血管の局所で炎症が起こることによって病気が発症することが分かり、説明がつくことになりました。
また糖尿病では目の網脈や腎臓の血管にトラブルがおこり失明や透析になってしまう合併症を予防することが大切ですが、血糖値のコントロールが良好な方でもこれらの合併症が起こるのは炎症が継続していることが原因であると分かってきました。
そしてこのブログのテーマの一つである、脳のトラブルにも炎症が深く関係していることが近年の研究で次々と明らかにされるようになりました。
脳には血液脳関門というものがあり、身体で起こったトラブルが脳に影響を及ぼさないと考えられていました。ところが全身に炎症があると血液脳関門にも影響がおこり、本来であれば脳に到達しない有害物質まで届いてしまうことになるのです。
IgGアレルギーで陽性反応がある食材を除去することでADHDの症状が軽くなったり、小麦を除去すると腸の調子が良くなるだけでなく精神症状にも変化があることなどの臨床的な変化は、血液脳関門の選択性が低下し本来は脳にとどかない物質も脳に影響していること(さらには、それが食材の除去によって脳への影響が軽減されること)でも理解できます。
これは通常の食物アレルギーや花粉症などでもいえることですが、「炎症反応をしずめ全身の粘膜の機能をあげること」によって脳のトラブルを改善させることができる可能性を示すものであると思います。アレルギーの治療は、除去することばかりでは根本的な改善につながらないことと同じですね。